市役所改革と外部の視点ー平成30年6月議会代表質問

2018年7月28日[カテゴリ:市役所改革, 質問

市役所改革。
 明確な定義はありませんが、よく使っている言葉です。
 私はこれまで、目先の対応に終始する場当たり的な行政運営、一度やったらやりっぱなしの事業推進、課題を他人事に考えて放置する「ことなかれ主義」など、「お役所仕事」の体質を変え、市民にとって頼りになると信じられる市役所を作ることだとイメージしてこの言葉を使い、これまで本会議場でも様々な観点から指摘、改善案の提案を重ねてきました。

 私が知る限りでも、市役所の改革は15年前と比較するとかなり前進した部分もありますし、一方で後退してしまった部分もあると感じています。

 新市長になって、改革しなければならない部分があると感じるのは当然のことであり、むしろ、改革に終わりはなく、常に状況に応じて普段の改革を進めていくべきだと思いますので、新市長にも改革を進めて頂けることを期待しています。

 そして、市長はその改革を進めるためにまず外部の視点を入れるとおっしゃっています。
 
 私は、その市長がイメージする「外部の視点」は、民主党政権時代の「事業仕分け」と同じく、単なるパフォーマンスで終わるだけになり、時間と費用と職員の労力を無駄にする可能性が高いと考えています。

 というのも、議会からは議員から、審議会では専門家や市民から、パブリックコメントでは市民から、市役所の外部の視点でこれまでも改善の指摘や提案、ご意見を頂いてきたはずですが、市役所職員に都合の悪いことは特にですが、その多くが受け入れられていない現状があるからです。
 
 まずは、市長も外部の方でしたから、その視点で何を変える必要があると感じたのかを明らかにして、そのために今の仕組みでは外部の方からご意見を頂ける環境にないなど、目的を明らかにしてから適切な「外部の視点」を取り入れるための取り組みを進めるべきであり、現時点では、時期尚早と考えています。

 平成30年6月議会代表質問では、市長が考える「外部の視点」の内容をもう少し明らかにしたいと思い、取り上げて議論しました。

====本会議場での議論の概要====

平成30年6月議会代表質問

4.市役所改革について
〇外部の視点について
■質問の背景

 所信表明では、市役所改革を進めるために外部の視点を取り入れるとのことでした。議会も外部の視点だと思っています。いろいろと他市の視察をしながら、市に対して提言も粘り強く繰り返しております。
 しかし、市当局には「できない理由」をつくられ、受け入れられなかった経験を多数してきました。市民も、市役所から見れば外部の視点なのかもしれません。市民からも、パブリックコメントや市民の声などを通じて非常に多くの提言が寄せられておりますが、パブリックコメントの結果を見れば一目瞭然、そのほとんどが受け入れられていない現実があります。
 既に計画策定の際や審議会において外部の専門家の方に入って頂いています。現在本市に必要なのは、外部の視点を新たに増やすのではなく、(頂いた提言や指摘を実行するための)職員を率いる市長のリーダーシップと決断力が必要であると私は考えています。

■質問(田中まさたけ)
 市役所改革を進めるにあたって取り入れようとしている外部の視点とは、どのような人で、どのような成果を求めているのか、お尋ね致します。

■市長の回答
 私自身が外部から来た人間として、現在の西宮市政には西宮市以外の先進的な取り組みや有識者などの外部の視点を効果的に取り入れる余地が十分に残っていると感じております。
 同じ課題を抱える全国の自治体の取り組みなどを研究し、他の自治体の改革に携わった経験をお持ちの有識者など、さまざまな知見を活用して、より効率的な行政経営に向け、本市市政を改革したいと考えております。
 市長として目指す方向性やその結果も重要ですが、それと同じくらい、そこに至るまでの過程も重視をしております。その時々に応じて外部の視点で助言を得られることに大きな価値を見出しております。
 また、議会から頂戴しましたこれまでの提言も参考に、今後もさまざまな御意見をいただく中で、政策に取り入れるべきと判断したものは当然のことながら反映させていきたいと考えております。

■意見・要望(田中まさたけ)
 外部の視点、こちらにつきましても、私どもの主張は理解して頂けなかったと感じています。御答弁にもありましたとおり、外部の視点を入れる余地というのはもちろんあると思います。しかし、今本当に必要なのは、新たな外部の視点を入れるのではなくて、壇上でも言いましたけれども、(すでに議会や審議会等からの提案を受けた政策も多数ある中で)市長のリーダーシップと決断力、これが必要なのだと私は思っています。これまでの外部の意見に対する市の取り扱いを改めてよく検証していただきたいと思います。
 その上で、費用をかけずに効率的に実施して頂きたい、要望しておきたいと思います。

====ここまでが本会議場での議論の概要====
 
 「より効率的な行政経営に向けて市政を改革したい」とのことでした。

 重要なことだと思います。であれば、これまで包括外部監査によってさまざまな効率化や効果を上げる方法の提示を受けておきながら、実行できていないことが多くあると思っていますので、まずは、そこから「すべての指摘を実現する」くらいの意気込みで職員を動かすべきであり、現時点で外部の視点を入れることはかえって非効率とも言えます。

 何か変えたい市役所業務があって他市の先進事例の調査等が必要なのであれば職員を派遣すれば済む話ですし、市議会の施策研究テーマに「各部局の効率化」を取り上げるよう要請してもらえれば、議員が調査して改革の妥当性を判断して、市に対して提言することも可能な仕組みにしています。
 審議会も多数設置されていて、そちらに相談することも可能だと思います。もし、それらが不足だと感じているのだとすれば、欠けているのはスピード感だと感じています。

 そして、そうではないということでしたら、いよいよ市長の恣意的な人選によって外部の人材を連れてきて、秘書的な調査業務を公費で行うことが目的と思われても仕方がありません。であれば、市長給与を削減せずに、その分を個人の秘書に支払って調査をして頂いた方が、自由度が高く効率的で、効果的ではないかと考えます。

 新たな外部の視点をどうしても公費で賄う必要性があるのであれば、どのような外部の視点が必要なのか、なぜそれを公費で賄う必要があるのか説明ができるようにして頂いてから、議会が予算の審査を通じて判断するのがルールだと思います。

 今後も、しっかりと議会の役割の一つである監視機能を果たしていかなければならないと感じています。

記事一覧