部活動指導員の活用ー平成31年3月議会代表質問

2019年5月6日[カテゴリ:スポーツ推進, 学校教育, 質問

 平成29年4月1日より、学校教育法施行規則が改正され、正式に「部活動指導員」が制度化されました。

学校教育法施行規則第78条の2
 部活動指導員は、中学校におけるスポーツ、文化、科学等に関する教育活動(中学校の教育課程として行われるものを除く。)に係る技術的な指導に従事する。

という条項が新設されました。

 そして、国の通知の中では、以下のような留意事項が示されています。一部ピックアップしてご紹介します。

部活動指導員の職務
 部活動指導員の職務は、部活動に係る以下のものが考えられる。なお、部活動指導員が置かれる場合であっても、これらの職務を教諭等が行うことを妨げるものではない。
●実技指導
●安全・障害予防に関する知識・技能の指導
●学校外での活動(大会・練習試合等)の引率
●用具・施設の点検・管理
●部活動の管理運営(会計管理等)
●保護者等への連絡
●年間・月間指導計画の作成
↑部活動指導員が作成する場合は、学校教育の一環である部活動と教育課程との関連を図るためなど必要に応じ教諭等と連携して作成し、校長の承認を得ること。
●生徒指導に係る対応
↑部活動指導員は部活動中、日常的な生徒指導に係る対応を行うこと。いじめ暴力行為等の事案が発生した場合等には、速やかに教諭等に連絡し、教諭等とともに学校として組織的に対応を行うこと。
●事故が発生した場合の現場対応
↑部活動指導員は、事故が発生した場合は、応急手当、救急車の要請、医療機関への搬送、保護者への連絡等を行い、
必ず教諭等へ報告すること。特に、重大な事故が発生した場合には、学校全体で協力して対応する必要があるため、直ちに教諭等に連絡すること。

 ↑最後の2項目は、学校の先生でも適切に対応できていたのか、疑問はあります。
 ですので、部活動指導員として外部からお越しいただくことで、現状が改善する可能性も期待できます。

 なお、活動中の事故については、以下のような留意事項も示されています。

生徒の事故への対応
 学校の管理下において部活動指導員が部活動の指導を行った際に生徒に負傷等の事故が発生した場合であっても、独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度の適用となること。

 そして、部活動指導員の質の向上の取り組みについても留意事項で示されています。

部活動指導員に対する研修
 学校の設置者及び学校は、「運動部活動での指導のガイドライン」(平成25年5月)等を踏まえ,部活動指導員に対し、事前に研修を行うほか、その後も定期的に研修を行うこと。
 研修においては、部活動が学校教育の一環であること等部活動の位置付けや部活動が生徒の学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであること等教育的意義のほか、
・学校全体や各部の活動の目標や方針を熟知すること、
・生徒の発達の段階に応じた科学的な指導を行うこと、
・安全の確保や事故発生後の対応を適切に行うこと、
・生徒の人格を傷つける言動や体罰が禁止されていること、
・服務(部活動指導員が校長の監督を受けることや生徒、保護者等の信頼を損なうような行為の禁止等)を遵守すること
等について十分に理解させること。

この研修を教育委員会任せにすると、政策は浸透しないのではないかと危惧しています。学校現場に新たな業務が発生し負担が増すからです。

 これらがうまくできれば、現在よりも格段に部活動環境が良くなる可能性があります。
 今後、子供の育ち、スポーツ推進や文化振興の政策として、市全体でバックアップする体制が必要です。

生徒・保護者及び地域に対する理解の促進
 学校の設置者(市)及び学校は、部活動に対する生徒や保護者、地域の関心が高いことから、部活動指導員の配置に当たっては、事前に情報提供を行うなど、生徒や保護者等の理解を得るよう努めること。
 また、学校の設置者(市)は、部活動指導員の確保に資するため、地域の体育協会、スポーツ団体及びスポーツクラブ等との連携を積極的に図ること。

人材が確保できなければ、国による部活動指導員の制度化は意味を成しません。私は、民間団体等との協働体制を構築できるかどうかが鍵を握っていると感じています。

 こうした状況も踏まえ、市長の施政方針で触れられた「部活動指導員」について平成31年3月議会の代表質問において取り上げ、今後の市の取り組みについて確認しました。

====本会議場での議論の概要====

平成31年3月議会代表質問

3.教育環境と子供の育ちについて
(部活動指導員の活用による部活動の活性化と教員の負担軽減)
■質問の背景(田中まさたけ)

 施政方針におきまして、部活動指導員の配置を拡充するとありました。中学校での部活動は、技術力の向上以外に、人間関係の構築やコミュニケーション能力の向上など、さまざまな教育的効果が期待できることから、一層推進するべきと考えます。

■質問1(田中まさたけ)
 生徒数の減少や教員の負担が過大となり、休部や廃部となる部活動がある中で、全ての中学校に速やかに部活動指導員を配置すべきと考えますが、課題をお尋ね致します。

■教育長の回答
 本市においても、部活動指導の充実と教員の負担軽減を図ることを目的に、部活動指導員の活用を推進しております。
 本年度より3校に配置し、その効果について、部活動指導員、管理職、顧問の教員にアンケートを行いました。その結果からは、生徒の変化として、専門的な技術や技能が向上した、部活動に対し意欲が向上したという効果が読み取れます。また、顧問の負担軽減の面では、生徒の引率の負担軽減や会議や出張など不在時に指導に当たっていただけるので安心感があるなどの意見が出されています。

 しかし、部活動指導員の活用には、全国的に共通する課題として、夕方の限られた時間帯のみの任用を希望する人が少ない状況があります。また、生徒指導上の問題や、事故が発生した場合には現場対応などの責任を負うことや、生徒や保護者と良好な人間関係を築けることが条件となるため、人材の確保が難しくなっています。

■質問2(田中まさたけ)
 適切な指導員を確保するために、運動部については本市のスポーツ行政に大きく貢献していただいておりますスポーツ推進委員協議会や西宮市体育協会などのスポーツ関係団体に、また、文科系のクラブについては西宮市文化振興財団に、指導員のマッチング事業を委託するなど、関係団体との連携について協議を始めるべきと考えますが、教育委員会の見解をお尋ね致します。

■教育長の回答
 本市には、市内の部活動の課題や方針について話し合うために、教育委員会と学校の管理職、教員らで組織する中学校部活動推進委員会があります。今年度、近年の課題を整理・検討するために、中学校部活動推進委員会を再開し、部活動方針を中心に検討しました。
 次年度(令和元年度)以降は、生徒のニーズを踏まえた部活動の設置や部活動指導員の人材の確保などを取り上げ、議員御指摘のような関係団体との連携も視野に入れ、さまざまな課題の解決に向けて、近隣市の状況も調査し、協議してまいります。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

●人材の確保とコーディネート(各学校への適正配置)機能の構築
●部活動を運営していくための財源の確保
●活動場所の確保
●部活動として推進する種目等

などの課題が考えられます。

 部活動の課題解消に向けた対策が講じられるまで、子供たちの成長が待ってくれるわけではありませんので、迅速に対応しなければならないと考えています。

 最初から完璧な状態を求めるのではなく、できる学校・地域から、できる種目から、順次始めていくべきです。

 今後も動向を見ながら、議論を続けてまいります。

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