県立西宮病院と市立中央病院との統合に関する意見書

2018年10月11日[カテゴリ:市立中央病院

県立西宮病院と市立中央病院の統合にかかる経営形態、運営費負担等に関する意見書
意見書の内容は、↑をクリックしてください。

先日の決算に関する質疑におきましても、
(↑クリックすると「市立中央病院に関する事実⑤ー質疑のまとめ」がご覧頂けます。)
県との事務レベルでの調整結果(平成30年6月)で示された内容以外に、
整理しなければならない内容が明らかとなりました。

これまでの議論の経緯を後世にも伝えるために、
会派の幹事長として、
市議会として意見書を提出することに対する賛成討論を致しました。
以下、本会議場での討論です。

=====本会議場での賛成討論=====

ただいま上程中の意見書案第19号
「県立西宮病院と市立中央病院の統合にかかる経営形態、運営費負担等に関する意見書」提出の件につきまして、
政新会は、意見書提出に賛成する立場より意見を申し上げます。

当初、今回示された調整結果を拝見した際には、
それまで一切の情報がクローズの状態で事務レベルの協議がなされ、
議論の過程も知らないまま調整結果だけを見たこともありまして、
到底受け入れられる内容ではないと感じておりました。
と言いますのも、
確かに当初の統合案では、
市が単独で現在の病院を再整備するよりも約25億円の負担が軽減され、
運営費についても1.5億円の負担減となると試算されております。
しかし、見方を変えますと、
実質用地費を全て市が負担しながらも、土地は県の資産となり、
さらに、建設費を現在の病床比率である2対1の割合で市も負担しながら、
建物は県の資産となる内容でございます。

その上、
県立で運営されながら、
運営費についても現在の病床比率である2対1の割合で市が負担することについて
市民の理解が得られるような説明もなされておらず、
目的を明確にすることなく市税が投入され続けることについて、
将来の西宮市民に説明がつくものではないことは明白でありました。

つまり、
単に市立中央病院を廃院、清算するよりも、
県立病院と統合して頂いてから市税を投入し続けたほうが
後の市民の医療環境の向上のために有効なのか、
確信が持てない状況にございました。
 
とはいえ、
統合の協議を依頼した側の責任として、
また、市民の医療環境及び財政負担に関する意思決定を担うという意味でも、
一定の責任を負う市議会の一員として、
条件の修正を試みる努力もせずに統合を諦めることは適切ではないと考えまして、
これまで検討を続けて参りました。
 
ここからは、当初そのような感想を抱きながら、
この意見書を提出するに至った経緯につきまして、
これは将来の西宮市民にも伝わることを願いまして、
この本会議場で披露しておきたいと思います。

去る6月の代表質問を経まして、
8月1日には、非公開ではありましたが、
県の病院局の方々にお越し頂いての勉強会を開催して頂きました。
その際にも会派として質問をさせて頂きまして、
今回の調整結果が示された中での県の考え方を知ることもできました。
そして、
8月上旬に、健康福祉常任委員会より求めのありました会派からの意見募集の回答を作成する段階で、
これまでの質問に対する回答を踏まえまして、私たちの会派は、以下の意見をまとめておりました。
 
以下、意見募集にありました項目に沿って述べたいと思います。
 
◆政新会会派としての考え方

まず、
1、用地取得費につきましては、
市が公社から土地を購入して、県に対して病院用地として無償貸与する。
もしくは、県の病院事業債を活用したほうが有利なのであれば、
市がそれを完済した後に県より市へ土地を無償譲渡し、
その後、市は県に対して県立病院運営のために限り無償貸与することを
基本方針に盛り込んで頂きたいということです。

つまり、
将来的に病院用地として使用しなくなった場合の土地の用途については
市が単独で検討・決定できる状態にしておくことを
書面で明確にして欲しい
ということでございます。
 
2、整備費につきましては、
市が統合協議を持ちかけた経緯に鑑み、
県対市の負担割合を2対1とすることを了としました。
 
3、運営費につきましては、
本来は、県立県営で経営をするということであれば、市は運営費を負担しない。
ただし、現在西宮市が伊丹市に委託している小児救急の負担金のように、
または、尼崎市の例に倣い、救急等に要する費用を一部負担することなどについては
今後検討していくとしました。
つまり、
開院後も一定の負担をするにあたっては、
単純に現在の病床比率とするのではなく、
市が負担する明細を明示した上で金額を決定する
ということでございます。

仮に一般会計繰出金のうち地方交付税措置額を控除した残額を
県と市で2対1の割合で負担するということになるのであれば、
5年程度の後に負担割合について見直しや修正を行うこと。
 
4、県立西宮病院と市立中央病院の跡地等の取り扱いにつきましては、
県病院跡地に関しては、市が必要と判断した場合に限って市が買い取り、
不必要と判断した場合は県に用途を決めて頂きたいと思っております。

5、その他
引き続き県との協議の機会を設けて頂きたいと記しました。

以上のような内容でした。

その後、3回に渡り開催されました
健康福祉常任委員会における議員間の協議において、
各会派、議員が持つさまざまな意見、
これらの最大公約数をとって調整された上で、
今回の意見書案の作成に至っている
と認識をしております。

このような経緯を御理解頂きまして、
県におかれましては、
西宮市に住む県民の安心・安全のために
受け入れてもらえることを願っている
次第でございます。
 
★そして、ここからは市に対して申し上げます。
この先は、市の担当の方には一層努力をして頂かなくてはなりません。
先日の決算に関する質疑におきましても、
県との調整結果で示された内容以外に、
整理しなければならない内容が明らかとなりました。

改めて、まだ明らかにされていない、
例えば交付税措置等の影響も含めまして、
今回の統合にどれだけの市の財源が必要となるのか、
そして、財政に影響を及ぼすのか、
また、一般質問でも指摘がありましたが、
県立の施設、県立県営に対して
市が負担金を支出することが法的にクリアされているのか
につきましても、
明らかにして頂かなくてはなりません。

そして、
それらを明らかにした上で、
市民に対して、
統合することに対する意見を聴取する機会を設けて頂きたいと思います。
ここまでは、
遅くとも基本計画策定に係る予算を審議するまでには実施して頂きたい
と思います。

これまで西宮市立中央病院に対して一般会計からの繰り入れをしてきたのは、
ある意味、市立病院が存在していることが、
仮にその赤字の補填が含まれる場合であっても、
また、市税投入に対する効果が不十分であったといっても、
税金投入の理由は明確でありました。

しかし、
県立新病院に対する繰入負担金となりますと、
市が何の施策に対して税を投入しているのか、
その繰入内容もどこまで明らかにしてもらえるのかも今はわからない中、
そしてまた、経営形態がさらに変わるような場合はなおさらですけれども、
市税投入の必要性、必然性、そして法的根拠など、
今まで以上に説明する必要が生じるわけです。

そして、
単独移転や廃院よりも
県立病院と統合して新病院となったほうが
市民にとってメリットが多いことを市民に説明すること、
そして、将来の市民のためにも、
県立病院の運営費を西宮市民の市税で一定の負担をすることによって
市民に対してどのような医療環境、安心・安全を提供できるのか、
より具体的に市が説明責任を果たすよう強く求めておきます

 
これらを市が実現しなかった場合、
今後の統合に要する費用であったり、
返済されないかもしれない現在の中央病院に対する貸付金であったり、
企業債の返済に要する出資金の支出など、
予算に対する我々の態度は、
さらに慎重にならざるを得ない
ということを市当局に対しては申し上げたいと思います。

以上、意見書案に対する賛成討論といたします。

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