西宮市の医療政策ー市の保健医療計画(地域医療に関するビジョン)の策定

2014年5月16日[カテゴリ:医療・福祉, 質問

平成25年12月議会 一般質問より

=====ここから本会議場での発言の概要=====
1.市の医療政策について
ア)市の保健医療計画
「医療・介護の提供体制の将来像の例」を掲載しておりますので、御参考までにご覧ください。

■質問の背景
河野市長は、本会議において、
全国的に地域医療の弱体化が問題となる中、
公立病院としての責務を放棄すべきではないと述べられ、
市立中央病院の移転新築に注力されておられます。
しかし、私は、
単に公立病院を設置するだけで、
市民が享受するための地域医療に対して市が公的責任を果たしたと言える時代は
とっくに終わっており、
市としての将来の医療ニーズを勘案した医療政策に基づいて
公立病院を経営しなければ責任を果たせない
ということを
昨年の12月議会でも指摘いたしました。

一方、県の保健医療計画が昭和62年に策定され、
本市では、昭和63年、八木米次市長の時代に市の保健医療計画を策定し、
取り組まれておられました。
その計画の中では、
既に、医療と福祉と保健の連携、
現在取り組まれている地域包括ケアシステムに近い内容など、
まさに30年先を見据えた内容が掲載されており、大変驚きました。
そして、本会議の議事録を見ますと、
平成7年当時、改定を検討していたことがうかがわれますが、
改定されることなく、忘れ去られております。
その後、
保健や福祉に関しては個別に計画が策定されているものの、
医療の分野だけが個別計画がない状況になっています。

現在は、市の単位で医療政策を盛り込んだ計画を
策定している自治体は少ないようですが、
和歌山市、大津市、川越市などの中核市、
そのほか、町田市、志木市などでも、市の医療計画が策定されています。
平成19年7月20日の厚生労働省の通知でも、
医療計画の作成及び推進に当たり積極的な役割を果たすこととされています。

そして、兵庫県保健医療計画が本年4月に改定され、
推進方策が示されました。
市や医療機関が担うべきとされている項目について、
救急医療体制や在宅療養の環境整備など、市の課題を分析し、
その方策や目標、方向性を市民に対して示す必要がある
と考えます。
 
■質問
兵庫県保健医療計画に基づいて市の医療政策を具現化した地域医療に関するビジョンを示すべきと考えますが、市の見解をお尋ねいたします。

■市の回答
医療政策は、国、都道府県、市町村が
それぞれ法律や各種計画などに基づいて推進しています。
本市では、第4次西宮市総合計画や、
健康増進計画を初めとする部門別計画に基づいて、
各部局でさまざまな保健医療施策に取り組んでおります。
また、新たな課題が生じた際には、
必要に応じて新たな部門別計画などを策定した上で、
施策、事業を展開しています。
これらの施策、事業の実績や課題、今後の方向性などは、
毎年、施策評価報告書、事務事業評価結果報告書や
各種の実績報告書などで公表しています。
また、長期的には、
総合計画や部門別計画の中間見直しの際に適宜修正を行っています。
このように、本市の保健医療に対する取り組みについては、
できる限り情報提供に努めておりますが、
指摘の保健医療を軸にした施策、事業の実績や課題、
今後の方針などを取りまとめたものがあれば、
本市の地域医療に関するビジョンを
よりわかりやすく市民にお示しすることができるものと考えます。

今後、高齢化の進展や若い子育て世代が増加していく中にあって、
市民の健康づくりや医療サービスの充実についての関心も
一層高まってくるものと考えております。
このためにも、市民が健康に生活することができ、
必要が生じた場合には、身近なところで
適切な医療サービスを受けることができる環境を整えることは、
自治体としての果たすべき役割であり、
今後、県や西宮市医師会などの関係機関と連携を図りながら、
安全・安心なまちづくりに取り組んでまいります。
今後、こうしたまちづくりを進めるためには、
その手法について、地域医療に関するビジョンの策定も視野に入れて
検討してまいりたい
と考えております。

■意見・要望
これまで、中央病院の移転の検討を進めてきまして、
私も、その特別委員会に入らせてもらいまして、
市の医療環境を知りたいと思っても、
なかなか情報が出てこないということが問題であると感じてきました。
ですので、
中央病院が全て市の医療政策を考えるというのは無理があることから、
保健所のほうで市の医療計画の策定を通じて、
市の医療政策を示していくべきである
とずっと考えていました。
市長は「公的な責任を果たすために」中央病院の移転を考えているわけで、
その背景として、市民の生命を守るために必要な地域医療を具体的に示していただかなければ、
私も「なぜ、中央病院がそんなに優先して移転が必要なのだ?」
という疑問に対する説明ができません。
市長が、「市の医療政策を具現化した地域医療に関するビジョン」によって、
市民に示していかなければ伝わらないと思っておりますので、
検討していただきたいと思います。

中央病院を建て替えれば、今後何十年も病院経営が続くわけでして、
その間には、当然、市長もかわりますし、院長もかわります。
どのような市長になっても、どのような院長になっても、
この病院が地域医療に貢献をしていくという風土がなければ、
建替えて新しくなっても
将来的に市民から必要とされない病院になる
と私は懸念しております。
市は、時代が変化する中で、
医療環境、医療ニーズがどのように変化しているかということも
ビジョンの策定を通じて、分析、把握し、
それを見ながら病院を経営していかなければ、
単に病院を設置しているというだけでは、
地域医療に貢献できるとは考えにくいと思いますので、
その点を踏まえて、十分検討してください。

=====ここまでが、本会議場での発言の概要=====

「地域医療に関するビジョンの策定も視野に入れて検討してまいりたい」と前向きの回答を得ました。
今後、このビジョンの策定を通じて、市内の医療課題を明示してもらえることを期待し、
その課題解決を市立病院しか担えないことを確認していかなければなりません。

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