西宮市で保育所待機児童が解消される見込みは?ー平成27年12月議会一般質問

2016年5月2日[カテゴリ:子育て・教育, 質問

私の活動も4期目に入り、
日々、様々な日常生活におけるお悩みや
市政に対するご意見を頂けるようになりました。

「子供が保育所に入れない、何とかしてほしい。」
という切実なご相談があります。
藁をも掴む思いだと思います。
「市会議員に頼めば、すぐに入れてもらえるかも。」
という淡い期待を込めてのご相談なのかもしれません。
相談者の想いは、それでいいと思っています。

しかし、
市会議員の知り合いだけが救われるという状態にしてはいけない
というのが、議員の役割です。

市会議員に頼んでも、無理なものは無理なのですが、
市会議員に意見を言うことで、待機児童の解消の取り組みを加速させ、
結果的に、待機児童が解消されることが重要なのです。

立て続けに、
保育所に関する切実な声が寄せられ、
状況を市に確認すると、
確かに希望する保育所に入れない不承諾児童が1000人に近づこうとしているという
異常な状態になっていました。

そこで、
平成27年12月議会で、待機児童問題を取り上げました。

そして、
この質問をした1か月後に、「保育園落ちた、日本死ね。」というブログが話題となり、
待機児童問題や保活の話題が、マスコミにクローズアップされ、
西宮市でも今後3年間で1500名の定員を増やすとの方針が示されました。

======ここから、本会議場での発言の概要======
平成27年12月議会一般質問

1.子育て・教育環境の向上について
ア)保育所の待機児童対策
■質問の背景・田中の見解
資料の表1をごらんください。
本市では、平成16年度から平成26年度まで、約25億円を投じて
民間保育所や小規模保育所の新設、改築を進め、
2,144名分の定員を増やしてきました。

しかし、表2のとおり、
本年11月1日現在で、
希望する保育所に入所できない不承諾児童は887名にも上り、
そのうち夙川地域には207名
と、大変厳しい状況となっております。
また、
本年3月の待機児童と年度が変わる本年4月の不承諾児童を比較した
表3の状況を勘案すると、
来年度は、
年度当初から入所できない不承諾児童が
大幅に増加するのではないかと懸念しております。

市内では、待機が多い地域ほど保育所の建設用地の確保が困難であり、
保育所の新設が進まない状況になっていると推察されます。
また、多くの保育士や保育面積を必要とするゼロ歳児の需要が
非常に多いといったことを勘案すると、
さらに抜本的な対策を検討する必要があります。

■質問
(0歳~2歳児対象の)小規模保育所の新設募集に対する応募が見込みを下回り、
予算を減額補正しなければならない状況にありますが、
市は、課題をどのように考え、
どのような措置を講じようと考えているのか、お尋ねいたします。

■回答
本市では、これまでも、待機児童対策として、
民間保育所や小規模保育施設の整備、認定こども園の普及促進、
さらに、既存園の定員拡充などを実施してまいりました。

平成27年度におきましては、
保育需要の多い地域において重点的に小規模保育施設の募集を行い、
当初応募のなかった夙川地区においては、再募集を実施いたしました。
また、
現在計画中の民間保育園の増改築に合わせて定員の増も進めておりまして、
平成28年度は約170人の定員枠拡大を見込んでいるところです。

それ以降も200人近い定員枠拡大を検討しており、
大規模開発の際に公益施設用地の確保が見込める場合や、
市有地の有効活用ができる場合など、
機会を捉えて、
認可保育所や幼保連携型認定こども園の整備促進に取り組む
こととしております。
今後とも、増大する保育ニーズへの対応や地域偏在の解消のために、
引き続き効率的な施設整備を進めてまいります。

■再質問1
市長自身も、「子育てするなら西宮」ということを実感していただけるような取り組みを、
特にソフト面で力を入れようとされているのだと思いますが、
待機児童の解消ができないようでは、不満は募るばかりです。
回答の内容では、果たして本当に不承諾児童が解消できるのか、不安は拭えません。

夙川地域では、入所保留児童が、11月1日現在で207名いらっしゃいますが、
来年度は170名しか定員拡大が図られません。
来年度の年度当初の不承諾児童の解消の見込みについて、
どのようにお考えなのか、見込みが立っているか、お尋ねします。

■再質問1に対する回答
資料のほうにあります「不承諾児童」の中には、厳密に申し上げますと、
特定保育所のみを申請されておられるということでの不承諾というようなものもございますので、
その精査が若干必要になってまいります。
来年度当初の分ということですけども、それも含めまして、
先ほどの答弁の繰り返しにもなろうかと思いますが、
これからしばらくの間は、
年々180名程度の受け入れ枠の拡大が必要になってこようかと予測をしております。
これにつきましては、この3月に策定いたしました
「西宮市子ども・子育て支援事業計画」でも、
今後5年間の保育の必要になってくる見込みを載せております。

これに加えて、
本年度、平成27年度の直近の実績なども補正致しましても、
概ね180名程度の受け入れ枠拡大を
毎年考えていかなければならないなというふうに考えておりまして、
そういう意味では、先ほど申し上げました200名程度の受け入れ枠を増やすような施設整備を
進めていくということで、概ね対応できているものと考えております。

■再質問2
(対応はできていないと思います。)
概ね対応できるだろうという回答でしたが、
その計画でも、見込みと実態が乖離していると感じておりまして、
例えば、今年の4月現在でも、既に年度当初で不承諾児童が420名もいます。
今年の4月のことです。
国が定める待機児童の定義によると、
76名ということになっています。
こうした状況が新年度も続くのかどうかということ、
今後の180人定員増の話ではなくて、
来年の4月の待機児童はどうなのか、
どう見込んでいるのかをお聞かせ下さい。

■再質問2に対する回答
先ほどの繰り返しにもなろうかと思いますが、この420名程度の中には、
特定の保育所のみを御希望になっているというようなことで、
なかなかその中では対応し切れない
というようなこともございます。
あるいは育児休業中の方とかも入っておりますので、そういう分がございます。
厳密にそのあたりのところというのは、
新しい制度の中でも最終的には待機児童からは解消されるということで、
今年は76名ということになっております。
当然ながら、この76名を解消することだけではなくて、
受け入れ枠を少しでも多くふやすということで、
先ほど申し上げた本来は入らない部分についても、
できるだけたくさんのものを解消していけるように
整備のほうは進めていきたい
と考えております。

■再質問3
明確に来年度は大丈夫だという言葉はございませんでした。
ふたをあけてみないとわからないというところだとは思いますが、
私は、この待機児童の解消が、来年の4月にはできているというふうには、
今の回答では感じられませんでした。

市も努力をされていることは理解しているつもりなのですが、
一方で、市民の皆さん、保護者の皆さんにとっては、
今も入所を待っていて、新年度になっても入れないというのは、
やはり不安でもあり、かつ、つらいことだと推察されます。

利用者の目線に立って考えれば、
市は十分に頑張っているのだから、
それでも待機が出てしまうものは仕方がないでは済まず、
これを0にするようにしていただかないといけないということは言うまでもありません。
であれば、先ほどから何度もご答弁いただいていますが、
毎年180人程度の整備が必要だということなのですが、
それでは足りないということだと思います。
もう一度、再考していただかなくてはなりません。

現在の定員枠の拡大の方針で、
いつになったらこういう状況が解消できるのかということを示すべきです。

待機児童解消計画は、平成27年度までの計画としてはありましたが、
先ほど御答弁では、今後は、「子ども・子育て支援事業計画」の中で行うということで、
(待機児童解消計画の)改訂は行わないという方針が示されています。
つまり、現在の待機児童の解消の取り組みが、いつを目指しているのかということが、
平成27年度から先、分かりにくくなっている
のですが、その点、お尋ねいたします。

■再質問3に対する回答
事業計画のほうにも記載をさせていただいておりますけども、
現在、就学前児童数総数ということでは、
既に平成18年をピークにして徐々に低減しております。
一方、保育を必要とする割合ということについては増加を続けています。
この関係で、先ほど来申し上げますとおり、
保育の需要、保育を必要とする数につきましては、
年々まだ増加の傾向にあるということなのです。
しかしながら、
この就学前児童数の低減という傾向も含めますと、
一定、本市としては、
平成31年度ぐらいが保育需要のピークになるのではないかと考えております。
そこからは、一定数は若干ずつでも低減をしていくのかなというふうに考えております。

それまでについては、
引き続き、先ほど申し上げたように、我々としては、
200名程度の受け入れ枠拡大というのが必要になってこようかと思います。
それを続けていく中で、
先ほど来、申し上げています実績、それと現状との補正をしながら
整備を続けていきたいと考えております。

■再質問4
(いつ解消することを目指しているのか全く分かりませんが、)
平成31年度をピークに保育の需要もある程度落ちついてくるということでした。
これは今年(平成27年)の6月議会でも取り上げましたが、
現在示されている人口ビジョンの素案の内容と整合が図れているのか疑問です。
ある程度保育需要が下がってきて、保育所が必要なくなってくるという方針や政策と、
人口ビジョンによってその減少を食いとめなければいけないという政策があります。
ここが整合しない
と私は考えます。
これは、今まで明確な人口政策が市になかったことに起因すると考えるわけですが、
整合性については、どのように考えていらっしゃいますか。

■再質問4に対する回答
御指摘の人口ビジョンとの整合ということにつきましては、
現計画の中ではその整合というのはまだとられておりません。

ですから、今後、人口ビジョンに基づく対策によって、
現状・実績のほうがどう推移するかということについては、
これは当然見きわめながら、それによって必要な事業計画の補正というのは、
これは今後、当然していかなければならないものかと考えております。

■まとめ・要望
今回の質問によって、現在の市の姿勢では、希望する保育所に入れない状況が、
当面続くことが明らかになったといえます。
(保育所の)つくり過ぎもよくないかもしれませんが、
現在は明らかに、特に夙川地域で、大幅に不足している状況にありますので、
見込みを精査し、計画の見直しも含めて待機児童の解消について検討するよう要望しました。

(追加報告)
翌年の状況はこちらをご覧ください

=====ここまでが、本会議場での発言の概要=====

人口ビジョンによる人口減少を食い止める政策との整合が図れていないことも明らかとなりました。
これは、大問題であり、
市の人口政策・人口に関するビジョンが、
未だにあいまいであることに起因していると考えています。

まずは、保育所をしっかりと整備し、
安心して子育てしていただける環境を整備することで、
将来の人口減少を食い止めることにもつなげていくべきなのです。
それができるのは、子育て世代が増えている「今」しかありません。

そのことを理解しようとしない市に対して、
私は、問題提起と政策提言を続けなければならないと改めて感じました。
今後も、未来に誇れる西宮の実現に向けて、
少子化対策、子育て環境の向上について、重点的に取り組んでまいります。

■最終目標
少子化対策の実施
「子育てするなら西宮」の実現

■講じるべき手段
保育所待機児童の解消
保育所入所における兄弟枠(第2子以降の入所保障)の設定

記事一覧