高齢化率が上昇する中で問われる介護予防事業の成果ー平成31年3月議会代表質問

2019年8月7日[カテゴリ:医療・福祉, 質問

西宮市議会では、
5つの常任委員会に分かれて
議案を詳細に審査する体制となっています。
そして、
各常任委員会の委員は、1年ごとに交代します。
(連続して同じ委員会に入る議員もいます)

委員が変わったタイミングで、
市の策定する計画や進行中の大規模事業、
重点施策や市が直面する社会問題等から、
日頃市民から寄せられているご意見やご要望を加味して、
その時に最も重要な課題と考えることを各委員が出し合います。
そして、その中から、
いま調査・議論しておくことが効果的であるという観点等から
出し合った課題を絞ってテーマを決め、
1年間、集中的に調査し、委員間でも協議し、
市に対して政策を提言するという仕組みを平成24年度から導入しました。

このテーマを、「施策研究テーマ」と呼んでいます。

今年度、
私の担当する健康福祉常任委員会の施策研究テーマは、

○地域包括ケアシステムを支える担い手について
○介護予防施策における参加率向上について

の2つに決定しました。

いずれも、
私がこれまで一般質問等で重点的に取り上げてきたテーマですし、
いずれも、高齢者の生活に密着した問題であり、
先日のコラムで紹介した「地域福祉」に関わる内容とも考えていますので、
精力的に調査を進め、市に対して提言したいと思います。

まずは、介護予防施策の現状を確認した、
平成31年3月議会の代表質問での議論を以下に紹介します。

=======本会議場での発言の概要=======
5.高齢者福祉について
イ)介護予防事業の効果検証
■主張
高齢者の健康寿命を延伸してQOLを高める取り組みは
今後ますます重要となり、
その実効性が問われる
と考えております。

■質問1
現在の西宮いきいき体操が始まってから6年が経過しました。
これまで西宮いきいき体操の効果を検証するよう求めておりましたが、
健康寿命の延伸の観点から効果を
どのように評価されているのかお尋ねいたします。

■質問1に対する回答
本市では、
高齢者になってもいつまでも地域で元気に過ごせるよう、
身近な地域において、
本人が自主的に取り組み、
継続して行える西宮いきいき体操を
介護予防の中心として実施
しております。

平成24年9月から取り組み、
昨年12月末現在、
市内全域で222グループが活動を行っており、
7,536人の方が参加
されておられます。

参加者には、
初回と6カ月後、1年後に
体力測定を行っておりますが、
ほとんどの方に体力の改善が見られ、
参加者自身もその効果を実感されておられます。
また、
平成29年3月から昨年3月までの1年間において、
体操参加者と非参加者の要介護及び要支援認定の変化について調査を行ったところ、
体操参加者の改善率が18.4%であったのに対し、
非参加者の改善率は13.2%と、5.2ポイントの差がございました。

さらに、
初回介護認定時の年齢について調査したところ、
西宮市全体では77.68歳でしたが、
1年以上体操に参加している人は78.37歳と、
0.69歳遅く認定されております。

西宮いきいき体操が
健康寿命を延ばす取り組みであるとする根拠を
科学的に示すのは困難でございますが、
このような調査結果が出ていることから、
一定の効果があるものと考えております。

■質問2
施政方針の中で、
健康づくりに関する各地域での多様な取り組みに対して、
市として実施すべき施策について研究するとありましたが、
具体的な内容をお尋ねいたします。

■質問2に対する回答
本市では、
新・にしのみや健康づくり21(第2次西宮市健康増進計画)に基づき、
健康づくりの基本的施策を検討するとともに、
庁内の連携体制を整えることにより、
総合的かつ計画的な健康づくりの推進を図ることを目的とした
庁内健康増進計画推進会議を設置
しております。

会議は、
庁内において健康づくり関連事業を実施する関係部局で構成し、
生活習慣病、がん対策、たばこ対策、歯科保健対策、自殺対策、フレイル対策の
五つの部会を設けて議論を行っております
ので、
この会議の場において健康づくりに関して
市として実施すべき施策について
研究
してまいりたいと考えております。
 

■質問3
西宮いきいき体操に関する課題につきましても、
体操で無理をして関節等を痛めて参加できなくなってしまった事例や、
一度は登録したものの参加しなくなってしまった事例など、
西宮いきいき体操自体の改善についても、
PDCAサイクルにより検証検討するべき
と考えますが、
市長の見解をお尋ねいたします。

■質問3に対する市長の回答
これまでに3回、訪問してまいりました。
どのグループもとても楽しそうで、
生き生きと体操されている、
明るい雰囲気で、ある意味圧倒されたというような、
そういうようなことでありました。
そして、
今から局長が後に答弁させていただきますが、
数もまだふえているというような中で、
その面ではとてもよい取り組みである、
待機者が出ているグループもあるというふうに聞いております。

一方で、
もっと自宅に近い場所で体操に参加したいという声もあったり、
先ほど議員のお話にありましたように、
実際、関節を痛めてしまったとか、
そういうような事例があってしまうとか、
あとは、これは私の雑感でありますけども、
女性が多かったですよね、相当。
そういう中で、
もちろん女性がいきいき体操に行かれることは、
これはすばらしいことであります。
男性にももっと行っていただいたらと思う一方で、
もしかしたら、
男性の方にとってみたら、
いきいき体操でなく、
健康になっていただくような別の形の施策もあるんじゃないかと。
 
そういう意味で、
PDCAとおっしゃった中で、
一つは、いきいき体操を1万人というのが一つの数値ですけども、
政策の究極的な目標は、
いきいき体操を1万人にするということでなく、
西宮にお住まいの方たちが
より健康寿命を延ばすというようなことが
政策目標であろうと思いますから、
そういう意味で、いろいろな観点で検討を進めてまいりたい
と思います。

■質問3に対する担当局長の回答
西宮いきいき体操は、
高知市が考案したいきいき百歳体操をもとに、
本市が幾つかの項目を加えたものでございます。
高知市では平成14年から体操を始めており、
大変参考になることが多く、
高知市の担当者には頻繁に連絡させていただき、
さまざまなことについて教えていただいているところでございます。

そのほかにも、
岡山県の津山市や、
兵庫県内でも本市より先に体操を始められた
洲本市や姫路市など先進市の事例も参考にさせていただいております。
また、
各グループからの報告様式を変更し、
退会理由の把握に努め、
支援が必要となった人には地域包括支援センターにつなぐなど、
一人一人の状況に応じて必要な支援を行える体制づくりへの取り組みを始めました。

今後も、他市の取り組みを参考にしながら、
西宮いきいき体操が各地域において
より効果的に継続して取り組まれるよう研究してまいります。

■まとめ・要望
市長が御自身の言葉で述べていただきました。
大変わかりやすいお答えだったと思います。
 
ここで私が言いたかったのは、
みんなにいきいき体操を100%してもらったほうがいいよとか、
そういうことではなくて、
まさに今、市長がお答えいただいた、
いろいろな観点で検討しなければなりません。
目的は一つです。
「高齢者の方に生き生きと元気に暮らしていただく。」
これを実現するためにいきいき体操もやっているわけです。
そこをまず、行政は見失いがちなのです。

いつも言っているのですが、
まず、これがどれだけの効果を上げているんですかと。
効果がないとは一言も言っていません。
どれだけの効果がありますかと問うてきました。
(これまでは、具体的な数値を使っての回答が得られなかったのです。)

高齢者全体に対してどれだけの効果があるのかという状況を
まず見ないといけない。
そして当然、全員がいきいき体操をするわけではないので、
ほかのことも考えないと
介護予防の効果が上がらないのではないか、
というところが考えられていないと言いたい
のです。

その辺をまずは幹部の方が、
市長の今の答弁を部下の皆さんに実行してもらえるように
伝えていかないといけないと僕は思います。

そのことを指摘しておきたかったです。

======ここまでが、本会議場での発言の概要========

これまでの私の一般質問での提言の効果もあり、
介護予防の取組については、
客観的な数値による評価がなされ、
少しずつ、進化を遂げていることを実感します。

介護認定を受ける年齢の延伸ができているのか、
平均寿命と介護認定を受ける年齢が縮まっているのかという観点から
・普及が進んできた「西宮いきいき体操」自体の内容等の改善
・いきいき体操以外の介護予防事業の実施
について絶えず検討しなければならないと考えています。

そして次は、
65歳以上だけではなく、
それまでの健康増進、病気の予防に関する施策についても、
「健康都市」と評価される街を目指して、
具体的な提言をしたいと考えています。

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