「新たな行政経営改革」とは?
市役所は、時折意味不明な専門用語を使いますので、
注意が必要です。
平成15年6月議会一般質問において、
第2次行財政改善実施計画を遂行している段階での
この「新たな行政経営改革」という謎の取組みについて質問しました。
======ここからが、本会議場での議論の概要========
1.財政難の克服について
ア)新たな行財政改善計画
■主張
先行きの暗い財政状況の中で、
1年1年の財政のやりくりだけでも大変であることと思います。
将来のことも政策として考えていただきたいのです。
まずは、
さらに正規職員数を削減するべきと考えます。
これまでの第2次行財政改善計画などでの努力の結果、
約230人、効果額として全体で約49億円の人件費を削減することができたわけです。
本市の財政で重い負担となっている公債費が、
平成16年で約264億円とピークを迎え、
その後、徐々に減少して少し楽になりますが、
次に訪れる課題として団塊の世代の定年退職が挙げられます。
市職員全体で定年退職者が爆発的に増大し、
さらなる人件費の備えが必要となります。
以前の本会議でも
この課題については一般質問がされているようですが、
現在の年代別の職員数の資料によると
平成20年が退職者のピークと予想され、
退職手当が約60億円となっており、
本年度から平成20年度まで約260億円が必要と予想されております。
また、
財政収支試算表によりますと
公債費がこの6年間で減っていくかわりに人件費が増え、
結局、本年度から平成20年まで義務的経費が一番少ない年で約660億円、
一番多くなるのが平成16年の681億円とそれほど上下しないと予想されています。
少子高齢化が進み、
経済状況もよくなる見通しが立っていない中で税収はさらに減少し、
扶助費もますます増大する可能性が大いにあります。
今すぐにでも新たな福祉課題に取り組んでいかなければならない時期に、
まだまだ過去の負の遺産の清算に時間をかけなければいけないことは、
頭の痛いところであると同時に、
議会と行政のさらなる努力が必要であることを
改めて認識しなければならないことだと思います。
この退職者が増大する時期に
一気にスリムな行政の実現を図ることを計画に盛り込むべきと考えます。
人件費の一時的な削減のために
一律に給与を引き下げるとこれは職員の士気の低下にもつながると思います。
また、
年度によって全く新規職員を採用しなければ、
次世代へのスムーズな人材育成が困難になると予想されます。
当面のやりくり(目先の対応)を重視するのではなく、
退職者に対する人員補充のための新規正規職員の採用を控え、
正規職員数をさらに削減し
それに伴う当面の人員不足は嘱託職員の採用や
さらには民営化、民間委託化を進めることで解消し、
一気に行政のスリム化を図るべきと考えます。
■質問
行政のスリム化に関して、市はどのように考えているのか伺います。
■市の回答
(新たな行政経営改革計画の)策定に当たりましては、
団塊の世代の退職などの課題も十分認識し、
第2次行財政改善の取り組みの成果を踏まえ、
多様化する市民ニーズや社会経済情勢の変化に対応して、
質の高い行政サービスが提供できるよう
人、物、金といった経営資源を適正に配分する
「企業経営の観点」を取り入れた行財政運営への質的転換を目指してまいります。
そのためには、
引き続き適正な定員の管理に努める一方、
事務事業評価の結果を予算編成に反映できるような事務の流れをつくり上げてまいります。
権限と責任をさらに明確にし、
目的、目標の達成を重視する組織運営、
ITなどを活用した意思決定の迅速化が図れる組織体へと
転換もしていくことが不可欠であると考えています。
■まとめ・要望
平成20年までの5年間の新たな計画を現在検討中とのことです。
その中で、ぜひともスリムな行政の組織の実現し、
行政組織の再構築を図ることでの財政改善がなされるよう要望いたします。
私も、自分の課題として
研究をこれから深めていきたいと思っています。
将来的に見ると、
現在のこの大きい行政組織というのは改めるべきで、
組織が大きいとどうしても動きが鈍ってしまいます。
これは、民間企業でも非常に気をつけていることだと思います。
ここ数年間でスリム化のチャンスが訪れようとしているわけです。
平成17年から本格施行される予定の事務事業評価システム、
これを有効に使って、
民営化、民間委託化できる事業とか、
PFI手法が使える事業、
また必要性の薄い事業(の廃止)、
そういったところの見きわめを迅速に行ってもらって、
当面のやりくりとしての行財政改善策だけではなく、
将来的な視野を持って
財政の改善に努力していただきたいと思います。
=======ここまでが、本会議場での議論の概要=========
これからは、目先の対応のみではなく、
市役所の質的転換を目指すことが明らかとなりました。
これは、評価するべきことです。
本当に質的な変換が図られているのか、
今後の動向を注視する必要があります。
しかし、
同時に迫っている多額の財源不足に
この計画で対応できるのかどうか明確にはなっていません。
ですので、そうした質的な転換に合わせて、
財源不足を解消して財政破綻をきたさないよう、
今後も取り組む必要があります。
また、
行政のスリム化についても言及はなく、
適正な定員管理を行うという回答にとどまりました。
そして、
行政経営改革と行財政改善計画との違いもはっきりしていません。
次の質問の機会に、
さらに具体的に追及することになります。