2019年9月11日[カテゴリ:スポーツ推進, 市役所改革, 質問]
消費税増税により、
もうすぐ国民負担が重くなるというタイミングで、
西宮市は、
現在開会されている9月議会において
体育館や公民館など公共施設の使用料を値上げする内容の条例を提案しています。
公共による「便乗値上げ」と言われても仕方ありません。
消費税増税や最低賃金の値上げなども影響し、
管理費が上昇しているのも確かです。
そして一定の受益者負担も必要です。
受益者負担率を50%にするということは、
かかっている経費のうち半分を利用者が負担し、
残りの半分を税金で負担するという考え方です。
西宮市では、この経費には、
施設の建設費や大規模改修費は含めませんが、
修繕費は経費に加えられます。
ですので、
施設が古くなれば修繕費も増大することになり、
施設が古ければ古いほど使用料が高くなるという
納得のいかない感じにもなります。
公の施設の使用料改定
↑今回の改訂率はこちらをクリック
使用料算定の根拠となる経費には、
空調にかかる経費も含めたことから、
今回の条例改正で
冷暖房費を別に支払うことなく利用できることになります。
つまり、
使用料自体は現行より上がっても、
冷暖房費を別に徴収していた施設では、
冷暖房費がゼロになることで実質的な負担が軽減する場合があるということです。
そもそも、
100%の使用料減免を受けている団体については、
影響はありません。
公共施設は、様々な部署が所管し、
議会で決定する条例によって、
施設の設置目的や使用料等を定めています。
今議会で議論される条例を例に挙げると、
産業文化局という部署が、
「体育館等スポーツ施設やアミティホール等文化施設」を管理しています。
教育委員会は、
「公民館」を管理しています。
市民局という部署が、
「市民館や男女共同参画センター、市民交流センター」等を管理しています。
そして、政策局という部署が
「西宮市施設使用料指針」を策定し、
この指針に基づいて、使用料を改訂するということです。
「西宮市施設使用料指針」
↑指針の内容については、こちらをクリックしてご確認ください。
市民に負担を強いる内容でありながら、
市民に対して説明がつかない部分がありましたので、
本会議で議案に対する質疑をし、
市の考え方を確認しました。
=======ここからが、本会議場での質疑と市の回答=====
ただいま上程中の諸議案のうち、
施設使用料の改定が含まれた条例改正は18件ございます。
その全てをこの場で確認することは避けまして、
そのうち、多くの収入の増加が見込まれている、見方を変えましたら、
市民に大きな影響を及ぼすと考えられます、
議案第49号 西宮市運動施設条例の一部を改正する条例制定の件について、
この場では、質疑を致します。
■質問(指針策定の目的)
当議案の条例改正の提案理由は、
「西宮市施設使用料指針(以下、指針)に基づき、
使用料を改定するとともに、所要の規定の整備を行うため」となっております。
このたびこの指針を策定したきっかけ、目的、及び求める効果をお聞かせください。
■回答
本市の施設使用料はこれまで統一的な基準が無く、
各施設毎に類似施設や他の自治体の料金水準などを参考に決定してきました。
また、長期間にわたり使用料を見直していない施設もあり、
施設の維持管理に要した経費や利用実態、社会経済情勢等に応じ、
使用料を定期的に見直すための全庁的な統一ルールの必要性が課題としてありました。
そうしたなか、
平成25年度の包括外部監査
「使用料・手数料等に係る財務事務の執行について」の結果報告書において、
「市全体で統一された基本方針を整理し、市民に明示することが望まれる」
との指摘を受けて、具体的な検討を始めました。
指針を策定することで、
統一した算定方法により各施設の使用料を算定することが可能となり、
公平性・透明性が向上して、市民に対する説明責任が果たせるほか、
定期的に使用料改定を行う際に、
維持管理コストや稼働率の増減が使用料に直接的に反映されることから、
職員のコスト意識は当然のこととして、
市民の維持管理コストへの理解が深まるなどの効果を見込んでおります。
■再質問1(受益者負担割合分類の設定)
まず、指針策定のきっかけは、
平成25年度包括外部監査(以下、包括外部監査)での指摘であったとの回答でした。
この提案理由にあります「指針」において、
受益者負担割合の分類が示されておりますが、
包括外部監査結果報告書に示されたものから一部だけ変更されています。
具体的には、勤労者体育館、体育館、野球場、グラウンドの受益者負担割合は
(包括外部監査では)25%程度と示されたものから、
体育館、野球場、グラウンドは、75%程度の分類へと割合が引き上げられ、
勤労者体育館だけは、25%程度のまま据え置かれております。
そして、
プール、テニスコートにつきましては、
(包括外部監査では)50~75%程度と示されたものから、
75%~100%の分類へと割合が引き上げられております。
一方で、
勤労会館、青少年ホームにつきましては、
(包括外部監査では)50%程度と示されたものから、
25%程度に引き下げられております。
その他は、変更はありません。
指針を策定する上で、
包括外部監査で示された分類を、
一部だけ変更した理由をお答えください。
■再質問1に対する回答
平成25年度の包括外部監査の報告書におきましては、
「(1)一部の使用料について受益者負担割合の見直しを検討することが望ましい」との意見の中で、
「受益者負担割合はあくまでも目安であり個々の施設において施策判断、
あるいは公益上の必要性についてそれぞれの考え方があることを理解した上で、
参考基準割合を示している」とされており、
本市において施設分類についての検討を行った結果、
一部について包括外部監査の報告書と異なる分類としたものです。
体育館、野球場の受益者負担割合を25%程度から50~75%程度へ、
プール、テニスコートは75%程度から75~100%程度へと引き上げた理由ですが、
市は市民の健康増進のためにスポーツを振興しておりますが、
体育館、野球場などの個別の運動施設は、
それぞれの市民が余暇を活用し
趣味やレクリエーションの場として選択的に利用する場面が多く、
個人の価値観や嗜好の違いにより必要性が異なる施設であることから、
民間による提供の可能性は指摘どおりとし、
施設の必需性について特定市民が対象となる施設に変更したものです。
また、プール、テニスコートについては、
民間が運営する施設が多く存在することから、
施設の必需性は指摘どおりとし、
民間により提供される可能性を高く変更したことによるものです。
(これは、公共で設置する必要性を自ら否定しているようなものです。)
一方で、
勤労者障害者教養文化体育施設を25%のままとした理由ですが、
設置目的が、障害者、勤労者の福利厚生施設であり、
民間に類似施設が少ないことによるものです。
ただし、一般利用者の使用料は2倍にすることで、
市内の同規模の体育館とほぼ同じ使用料水準を確保しており、
他の体育館との整合性は図れているものと考えております。
(中央体育館や地区体育館、野球場、グラウンドも市民の福利厚生施設であり、
健康増進や青少年の健全育成にも寄与する施設として設置しているはずなのですが。。。)
勤労会館、勤労青少年ホームの受益者負担割合を、
50%から25%へ変更した理由ですが、
設置目的が勤労者のための交流施設であり、
民間によるサービス提供の可能性が低く、
収益確保が見込まれるものでないことから、
公民館などと同様に、交流施設に分類したものです。
(会議室については納得。)
■再質問2(経費削減)
その包括外部監査では、使用料に対応するコスト、
これを原価と呼んでいますが、その原価を把握するよう指摘されており、
原価については、使用料を導き出す算定式に含まれる算定基礎に大きく影響し、
使用料にも影響します。
まずは、
原価となる人件費や物件費を抑制することで、
受益者負担割合を上げることも可能であったわけです。
この原価につきまして、
他市との比較、今後の対応等が示される予定はあるのか、
あるのであればいつなのか、お答えください。
■再質問2に対する回答
施設使用料を算定するうえで、
施設維持管理コストが最も大きな要素であることはご指摘のとおりであり、
施設利用者の負担抑制に向け、
適正な人員配置と業務の効率化や見直し等による経費節減に努めることは指針にも記載しております。
しかしながら、
他市とのコスト比較までは行っておらず、
本市のコストが適切かどうか検討する材料として、
自治体毎の施設の規模やコストの算定方法の違いなどを踏まえた
比較方法等について検討したうえで、早期に実施を致します。
■再質問3(政策的な料金設定/稼働率による受益者負担割合の差別化)
「統一した算定方法で使用料を算定することにより、
公平性・透明性が向上して、市民に対する説明責任が果たせる」とのご答弁がありました。
この指針では、「政策的な料金設定」が認められておりますが、
その例示にとどまり、具体的な算定式等が示されておりません。
例えば、利用者数を確保するために、
稼働率の高い施設と低い施設との間で、
条例で定める料金に差をつける考え方は、
受益者負担の考え方と相反するものであると同時に、
その計算方法が全庁で統一されていないと思われます。
これでは、
結局、条例で定める使用料の設定について、
各所管局に委ねられる裁量が大きくなり、
指針が全市統一のルール化を図るものとは言い難いのではないかと考えます。
今後の対応をお聞かせください。
■再質問3に対する回答
指針に基づき算定した施設使用料は適正な額といえるものの、
使用料を最終決定するにあたっては、
近隣他都市、市内の類似・同一目的の施設の使用料との均衡や、
立地条件などを考慮する必要があると考えております。
指針におきましては、具体例として、
・近隣施設や類似施設における市場価格との均衡を図る、
・稼働率の向上を図ることを目的とした使用料を設定する、
・施設の立地条件や利用実態に応じた使用料を設定する、
ことなどをお示ししております。
実際には、
施設の設置目的、利用の状況など、
個別具体の条件を総合的に判断する必要がありますことから、
代表的な事例をお示しするに止めております。
今後、今回のご指摘を踏まえて、
政策的な判断はあくまで例外的な取り扱いであることを
改めて関係部局に周知するとともに、
政策的な判断の基本となる考え方につきましては、
判断理由についてより明確に説明できるよう整理してまいります。
■再質問4(減免・免除)
包括外部監査では、
減免・免除等に対する基準を整理すること、
つまり統一するよう指摘されていたわけですが、
今回の指針において、その部分については、
「具体的な指針」と呼べるものは示されませんでした。
今後、統一化を図るのかどうか、対応をお答えください。
■再質問4に対する回答
減額・免除の基準につきましては、
平成25年度の包括外部監査においても、
より効果的な減免のあり方を検討するなど、
基準の整理をすることが望まれると指摘を受けたところですが、
現時点では、整理には至っておりません。
今後、減額・免除の基準についての考え方を整理する。
とともに、
施設使用料の算定方法と同様、説明責任が果たせるよう、
透明化に努めてまいります
■再質問5(運動施設が果たすべき役割)
公共施設の使用料負担については、
特定の団体に対して、活動内容に応じ、
使用料の減免が50%、もしくは100%で設定されている施設が多くなっております。
運動施設についても、その施設の設置目的に照らし、
減免内容を拡充することで、
市民のスポーツ推進、健康増進を図ることも考えられますが、
運動施設においては、現在どのような政策的な配慮がなされ、
今後どのような対応を検討されているのか、お聞かせください。
■再質問5に対する回答
運動施設の使用料について、
施設を利用する団体のうち、
本市のスポーツ振興に果たす役割が特に大きい団体や、
本市が掲げるスポーツ事業推進の理念に沿って設立され
継続的に活動している団体などに対しましては、
市としても支援をする必要があると考えられますので、
負担軽減策について検討いたします。
■まとめ
現段階では、条例改正の理由とされている指針自体が、
策定目的である「統一性」に欠けていると言わざるを得ません。
まずは、そのことを指摘しまして、
続きは、常任委員会での議論に委ねたいと思います。
=======ここまでが、本会議場での質疑の内容=======
突っ込みどころ満載の市の回答でした。
指針における受益者負担の割合の決め方一つとってもおかしいです。
例えば、
プール、テニスコートを、
公的関与の必要性が低く、
民間により提供される可能性を高い施設と位置づけるのは、
公共で設置する必要性を自ら否定していると言っても過言ではありません。
また、
勤労者障害者教養文化体育施設の設置目的を、
障害者、勤労者の福利厚生施設で民間に類似施設が少ないというのであれば、
中央体育館、地区体育館、野球場、グラウンドも
市民の福利厚生施設であり、健康増進や青少年の健全育成にも寄与する施設で、
民間で安価に提供してもらえるような施設はないことから、
勤労者障害者教養文化体育施設と比較して受益者負担割合を50%も増やすというのは、
バランスが悪いと言わざるを得ません。
そもそも、
7月に「指針」を策定して、
9月議会で、その指針に基づいて18本もの「条例改正案」を
いきなり提案してくる市(市長)の事務執行の雑さが気になります。
政策的な配慮や減免の考え方、
設置根拠となる法令や他市の同類施設の使用料の比較など、
各施設によって異なることから、
18本の条例を一括りで可否を判断することはできません。
一つ一つ丁寧に精査する時間は欲しかったというのが正直な感想です。
今後、この流れが、3年に一度訪れるわけですからなおさらです。
3年ごとに値上げされるのですから。
常任委員会での議論を聞き、
条例の可否を慎重に判断したいと思います。