9月議会終了ー議案の閉会中の継続審査

2019年10月5日[カテゴリ:市役所改革

8月30日に開会した西宮市議会(第2回定例会)は、
9月議会と呼ばれていますが、10月3日に閉会しました。

西宮市では、9月議会で、
前年度の各会計決算の審査を行います。
予算の審査と同じく、
決算審査のための特別委員会を設置して、
集中的に決算の検証をすることになっています。

PDCAサイクルの「C」にあたり、
税金の使い道や政策の効果を検証して、
次年度の予算に改善すべき点を反映させるため上で
非常に重要な審査です。

■平成30年度一般会計
歳入1737億円(29年度1723億円)
歳出1727億円(29年度1694億円)
翌年へ繰り越すべき財源を除いて、
約7億円の黒字となりました。

介護保険や国民健康保険などの特別会計を加えると
歳入が2611億円、歳出が2587億円となります。

また、9月議会では、
市長の退職金不支給条例が可決しましたが、
恒久的に市長に退職金が支払われないという内容ではなく、
石井市長の1期目だけ支給されないという内容です。
次の市長選でもおそらく、
退職金不支給という公約を掲げる候補者が現れることでしょう。

そして、
公共施設の使用料を改定する内容の
17議案が「閉会中の継続審査」という結果となりました。
直ちに賛成すべきという意見も少なからずありましたが、
半数以上の議員が、
「もっと慎重に審査しなければならない」と判断した結果です。

行政が適切な説明もなく、
市民に負担を押し付けるようなルールを提案してくるのであれば、
納得がいくまで審査するのが議会の本来の役割です。
定例会の会期中に、適切な説明がなされる見込みがないと判断すれば、
閉会中の継続審査に付し、次の定例議会以降で結論を出す。
という判断もまた、必要な意思決定だと思っています。

議会によるブレーキが、機能した結果とも言えます。

9月10日に行った議案に対する質疑の内容と合わせて
継続審査とした理由をご覧ください。

========ここから、本会議場での発言=========

ただいま上程中の議案第35号ほか16件につきましては、
継続審査とすべきとの立場から意見を申し上げます。

いずれの条例も、
本年7月に発表されました
「西宮市施設使用料指針」に基づいて使用料を算定し、
改定する内容となっております。

しかし、
先般の本会議質疑におきまして、
政策局は、その指針の策定目的を
「全庁統一のルール化」としながらも、
その指針が「統一性」を欠いていることを指摘致しました。
そして、常任委員会におきまして、
各条例について詳細に審査されましたが、
整理すべき事項が残されています。

そして、
肝心の施設使用料指針も、
市民に対していまだ公開されておらず、
今回の条例提案は拙速なものであったことは否めません。

今後、維持管理コストの妥当性や、
施設ごとの使用料の妥当性をさらに精査し、
市民に対して説明責任を果たす必要があると考えます。

その整理すべき事項として、
私からは大きく2点あげたいと思います。
(1)施設使用料の算定基礎となる施設ごとの維持管理コストや管理体制の精査及び改善方針の策定が先である。
ということです。
維持管理コストが、近年どのような変化をしたのかも示されておらず、
また、維持管理コストに関する他市との比較もできていません。
全ての施設において、
市がまずすべきことは、
受益者負担割合に大きく影響する、
維持管理コストの妥当性の検証と対策の明示
であったと考えます。

また、
このたび発覚しました勤労会館の受付業務における
職員の不正行為の再発防止策が示されておらず、
他の施設でも発生しないとは言えないことから、
未然防止策が講じられていない施設の使用料の増額改定など論外
と言えます。
至急、全施設の受付体制、使用料の管理方法について点検し、
必要に応じて不正や盗難の未然防止策を講じるべきであります。

(2)減免の考え方及び政策的配慮の取り扱いも統一すべきである。
ということです。
公共施設には元来、
税金を投入して設置する目的があります。
その施設の設置目的に合った活動に対して、
使用料を減免することには異論はございません。

しかし、
その減免の適用ルールが
統一されていないことを問題視しています。
特に、文教住宅都市である本市において、
文化・芸術の振興やスポーツ推進、
市民の健康増進や子どもの健全育成を妨げるような、
説明がつかない負担増は認められません。

まずは、
本会議質疑におきましてご答弁がありました通り、
負担軽減策を明示して頂けるよう求めます。
また、
稼働率の高い施設と低い施設での使用料の差は、
受益者負担の観点からは、
論理的に説明がつくものとはなっておりません。
これは立地条件や稼働率への配慮などの
政策的配慮についての取り扱いが統一されておらず、
算定式もないことから、
根拠が明確に示されていないことに起因すると考えられます。
今後、3年をめどに定期的に使用料の見直しを実施するということですから、
減免の考え方や算定方法、政策的配慮の考え方や算定方法を早期に整理すべき
と考えます。

また、整理すべき事項ではございませんが、
指針の策定によって見込まれる効果として、
「職員のコスト意識は当然のこととして、
市民の維持管理コストへの理解を深める」とのご答弁がありました。
ですので、条例の審査にあたって、求めがなくとも、
・年間の減免額や、
・施設ごとの受益者負担割合、
・使用料負担の平米単価を算出して明示するなど、
利用者負担の状況を明確にするための工夫をすべきであった
と指摘しておきます。

以上、提案者である市長、
そして、市当局におかれましては、
統一性に欠いた指針に基づいて
安易に使用料だけを改訂するのではなく、
慎重かつ丁寧に対応されることを求める
ものです。

そして、私たち政新会も、
施設を使用する市民への説明責任を果たすために、
以上挙げました2点は、
少なくとも整理されることが必要であると考え、

ただいま上程中の議案を継続審査とすべきと判断しました。
以上、意見と致します。

=======ここまでが、本会議場での発言========

7月に「指針」を発表したのであれば、
まずは、「指針」に基づいて各施設についての考え方について全庁で統一化を図り、
9月議会の各常任委員会で条例ごとに所管事務報告し、
市民を代表して「判断を委ねられた議会」の意見を聞くべきでした。

そして、
毎年秋口に実施している市長の公聴会などで市民の反応、意見を確認し、
それらの意見を集約して反映させ、
12月議会で条例を提案するというのが、
最低限必要な意思決定プロセスであったと思っています。

公共施設の管理については、
公共施設マネジメントが導入されています。
しかし、
先日の6月議会でも明らかになりましたが、
道路・公園等インフラも含めて
公共施設の維持管理について、
全庁的に考え方が整理されていないことが多いです。

・防犯カメラの設置状況
・消防施設の安全管理の状況
・LED化の状況
・使用料の設定に関する考え方
・現金の取り扱い方法

などなど、

いずれも、
所管している部署によって各々で管理されているため、
施設情報が一元的に把握されていません。

ですので、
何か問題があっても、
全庁的な検証ができていない状況にあります。

過去に、
留守家庭児童育成センターで現金の盗難事件が発生してから
1年経つか経たないうちに
平成29年度に公民館でも現金の盗難事件が発生するということがありました。
施設ではありませんが、同じ時期(平成28年度)に
市の事業として現金を扱っていた観光案内所でも
現金の盗難事件が発生していました。
そして、
今年8月には、
勤労会館で職員による使用料の横領事件が発覚しました。

いずれも、現金の取り扱いに関する事案です。

市の事業、施設における現金の取り扱いについて、
全庁で統一した対応がなされていれば、
防ぐことができた、
公金を無駄にすることはなかった
と言えると思います。

使用料改定の是非と合わせて、
公金の管理方法についても、
閉会中にさらに調査を続けます。

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