平成31年度病院事業会計予算に対する質疑③-統合後の負担

2019年7月12日[カテゴリ:市立中央病院, 質問

平成31年度病院事業会計予算に対する質疑②の続きです。
↑クリックするとご覧頂けます。

統合新県立病院の建設までは、
国、県の支援により、お得な買い物になりそうでした。

しかし、そうは問屋が卸しません。

統合新県立病院への繰入金に対しても、
市は、必要な繰入金から地方交付税措置分を除いた金額の3分の1を負担することになっています。
その額、なんと年間4億2000万円と見込まれています。

今後20年間西宮市の人口の増減がないと仮定して、
488,000人の市民で割ると
市民1人当たり年間860円となります。

しかも、定額でなく、定率です。
この金額は、
経営状態や市民県民の健康状態によっても
毎年不確定となりますから、
年間1億円増減するごとに
市民1人当たり204円増減する計算となります。

病院の建設に負担をする金額は、
市民1人当たり631円
となりますから、
建設費と運営費の合計は、年間1,491円となります。

市立病院閉院に伴う見えない経費1,065円を合わせると
年間1,065円+1,491円=2,556円となります。

4人家族であれば、1世帯年間10,224円を20年間払い続けることになります。
つまり、20万4,480円支払って統合新県立病院を買うことになります。

20年間使わないかもしれない、
いざという時の「掛け捨ての保険」にしては、
躊躇してしまうような金額
にもなってしまうのです。

市立病院が単独で閉院して、
跡地に民間病院が来てくれるのであれば、
そして、
県立病院がそのまま六湛寺町に残るわけですから、
医療環境は変わらない。

となれば、
もったいないですが、
いずれ必要になる年間1,065円×20年間で、
市立病院を清算してくれた方がお得なように感じてしまう
のです。

さらに、病院の規模等の前提条件が変わってくると
この負担額にも大きく影響します。

令和元年3月議会における、
平成31年度病院事業会計予算に対して行った質疑の内容の続きです。
これから検討する病院の規模についての議論を抜粋しています。

======ここからが、本会議場での議論の概要=======
ただいま上程中の
議案第625号平成31年度西宮市病院事業会計予算につきまして質疑を致します。

■質問4
統合後の県立新病院の繰入金に対する市の負担は
年間約4億2,000万円となると試算されている中で、
基本計画の策定段階において過大な内容となって、
この市の負担額が大きく上回るようなことは許されません。

この金額を試算したときの医療内容をベースに
基本計画を策定することになっているのか、お尋ね致します。

■質問4に対する市の回答
市と県とで締結した統合に関する基本方針では、
統合新病院では、これまでの両病院の機能などを原則継承し、
地域の医療機関との役割分担を踏まえ、
本市及び阪神医療圏域における高度急性期・急性期医療を担う
中核医療機関としての機能の充実を図ることとしております。

統合新病院の診療機能や病床数は基本計画の段階で決定致しますが、
統合新病院は、両病院にある診療科の存続を前提に、
不足する診療科を補い、
救急・災害医療や小児・産科医療などの充実を図るなど、
地域の医療機関との連携のもとで必要とされる医療を提供し、
地域の医療の質向上を目指すものであり、
大学病院などで行う先進医療を中心に行う病院を想定したものではございません。

昨年6月定例会の健康福祉常任委員会での所管事務報告の際に
試算としてお示し致しました統合新病院の運営費に係る4.2億円の繰入金は、
市として統合新病院の病床数を600床程度と想定し、
同規模の全国の公立病院の地方交付税措置分を除いた実質負担額の平均値から算出したもので、
一定の目安にはなると考えておりますが、
基本計画で定める統合新病院の機能や患者数、
今後の総務省繰り出し基準などにより
増減が見込まれるものと考えております。

======ここまでが、本会議場での議論の概要======

基本計画で計算したとしても、
実際に6年とか7年後の阪神間の人口構成はおろか、
西宮市内の状況がどうなっているのか分からない中で、
繰入金の推移を正確に予想するのはほぼ困難と思っています。
現中央病院でも経営見込みや予想を外しまくっていることが
何よりの証拠です。

つまり、運営費(繰入金)に対して、
定額ではなく、定率で負担をするということは、
市立病院を経営するのと同じ、もしくは、
県立ですから、経営に関する意思決定権が県にある時点で、
リスクが高くなることも覚悟しなくてはならない
のです。

公立病院の経営に対して、私が悲観的過ぎるのでしょうか。
慎重すぎるのでしょうか。

県が、運営費に対する負担を市がしないのであれば、
新たな県立統合病院の建設はしないという姿勢を示している現在、
基本計画を策定するのと並行して、
中央病院単独での廃院、民間病院の誘致の可能性についても検討するべき
です。

その方が、兵庫県に対しても
これ以上の迷惑をかけずに済むと思います。

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