保育所民間移管計画の実現性③-保育所行政の将来ビジョンが必要では?

2012年10月9日[カテゴリ:保育所政策, 質問

保育所民間移管計画の実現性②
(↑クリックしてご確認ください)
の続きです。

そもそも、待機児童が解消されない限り、保育所を民間移管できないという論理自体が理解できません。

これは、元々現地建て替え方式の
西宮市立保育所民間移管計画
から、先行整備方式の民間移管
西宮市待機児童解消計画 抜粋
へとすり替えられたことによる論理です。

むしろ、保育所の民間移管を最優先して財源を確保し、
民間の認可保育所を増やすことで待機児童を解消するべき
なのです。

そして、子供の減少が始まった現在、
少子化の影響を考慮した保育所のビジョンを策定するべき時期に来ています。

=========ここからが、本会議場での議論の概要========
平成24年6月議会一般質問

2.市民に信頼される公正で効率的な行政運営について
ア)民間活力の導入と職員の採用計画
(民間移管対象園の拡大)
■質問の背景・田中の見解(再掲)
私は、
効率よく全市の認可保育所の質を向上するためには、
現在計画されている3園にとどまることなく、
さらに民間移管すべき
とも考えています。

例えばお隣の尼崎市では、
平成10年から19年度の間に、
それまでに廃止した公立幼稚園の活用も含めて、15園を民間移管しました。
さらに、
平成21年度以降の民間移管の計画も策定され、
27年度までに、鉄骨造の保育所の建てかえに合わせて4カ所、
その他、原則、建築年度の古い鉄筋コンクリートづくりの保育所を7カ所、
合計11園の民間移管が予定されています。

反対運動はあるそうですけれども、
保育所の環境がよくなるのであればと
理解してくれているところもあるそうです。
また、29園ある公立保育所を、
3年から4年の短期計画を策定しながら、
最終的には9園まで減らす方向性
も平成18年に示されて、
取り組まれております。
本市においても、ぜひとも見習うべきと考えます。

本市では、西宮市幼児期の教育・保育審議会(以後「審議会」と言います。)
この審議会において、
公立保育所や公立幼稚園のあり方、そして適正配置について、
3年目に入った現在も議論がされています。
民間移管に関する裁判によりまして、
現在の入所者が卒園するまでは
民間移管ができないケースがあることから、
少なくとも現在計画されている保育所以外の保育所をさらに民間移管するためには、
一刻も早く市の方針を決定するべき
と考えております。

一方で、審議会へ報告することなく、
今年度は、耐震化のために公立のまま鳴尾東保育所の建てかえが行われます。

耐震化をいつまでも先延ばしにすることは許されませんので、
尼崎市のように、
建替えの際に民間の社会福祉法人を活用する方策を検討すべきであったものを、
その努力を怠って、計画、方向性も持たずに、目先の対応をされた当局の姿勢は、
今後改めるべき
と考えます。

そして、現在計画されている3園の民間移管のみならず、
公立幼稚園の保育所への転用や
民間移管を一層推進することで、
公約どおり効率的な行政運営を実現していただきたいと思っております。

■質問3
これまで待機児童の対策で後回しにされてきた老朽化対策や耐震化事業など、
施設の安全性の確保は喫緊の課題と思われます。
その財源の捻出のためにも、
一層国庫補助も活用できる民間による建替えを活用する必要がある
と考えますが、
財源の確保と民間移管について市の見解をお尋ねいたします。
あわせて、審議会の議論が長引いている中ではありますが、
市はいつまでに民間移管について結論を出すお考えなのか、お尋ね致します。

■質問3に対する市の回答
公立保育所の老朽化対策や耐震化事業と民間移管の関係についてですが、
公立保育所については、昭和40年代に建設された施設が多く、
耐震診断の結果、改修など何らかの耐震化が必要であると判定された園は、
23園中15園
となっております。

保育所の耐震化については、
入所児童の安全確保を図るという大変重要な課題であると認識しており、
今後、実施に向けた検討を進めていく必要があります。

耐震化を進めるためには多額の財源を必要とすることから、
耐震補強設計の結果などを勘案し、
建替えあるいは大規模改修の適否について総合的に検討を行っておりますが、
財源が限られる中では、
補助金を活用して民間法人による整備を行うことも
有効な手法の一つとして検討する必要がある
と考えます。

また、保育所の待機児童については、
平成25年4月の解消を目指していることから、
今後の施設整備や民間移管を検討する上でも、
一つの節目になると考えております。

西宮市幼児期の教育・保育審議会においては、
公立保育所が、地域の児童福祉施設として、
児童虐待やDV家庭児童など特別な配慮が必要な福祉的ニーズに対して、
一定の役割を果たすという機能の必要性について、
施設の適正配置における観点から審議を頂いているところです。

したがいまして、
今後の西宮市幼児期の教育・保育審議会での議論も踏まえ、
今年度中には公立保育所の民間移管についての方針を固めて参りたい
と考えております。

■田中まさたけの意見・要望
(民間移管対象園の拡大による財源の確保)
加えて、さらに民間移管をという私からの指摘ですが、
3園すら民間移管できないという状況で何を言っているのか
といった感もあったかもしれません。

そして、
今年度、公立保育所、鳴尾東保育所が耐震化のため建替えになったわけですが、
建築費に約1億5,000万円を要する
見込みとなっています。

これを尼崎市のように
民間移管と同時に建てかえを行っていれば、
事業費の2分の1を国が負担、
残りのさらに半分、4分の1を民間の社会福祉法人が負担するので、
市の負担は4分の1で済む、
つまり3,700万円程度で済んだ
と考えております。

この意思決定によって、市の財政だけを見ると
1億円以上のロスが生じたと言えると思います。

1億円も財源があれば、
先般、3月議会で報告のありました、
(耐震性評価で)Eランクの判定を受けている他の保育所の安全対策も
もっと短期間で図れた
と思います。

公立保育所の建替えや耐震化事業、
子供の安全を守る取り組みに、
ぜひとも民間の活力、
民間移管の方式を採用すべきである
と考えて取り上げました。

改めて次の3点を強く要請したいと思います。
 
まず1点目が、近年、2けた台の新規採用をされておりますが
今後の保育士の新規採用については、
公立保育所の今後の方針決定までは極力抑制して頂きたい
と思います。
 
二つ目が、現在計画されている3園の民間移管ですら
近年に実現不可能なようであれば、既にそれは計画とは言えません。
ですので、先行整備のこの方式、
この民間移管の進め方の方針の見直しをして頂きたい
と思います。

3点目、限りある財源を有効に活用するために、
民間を活用して、今後必要となる耐震化や老朽化対策を進めて、
少しでも早く子供たちの安全を確保して頂きたい
と思います。

以上3点を強く要請しておきたいと思います。

=========ここまでが、本会議場での議論の概要=======

民間移管対象園の拡大の見解を問う質問に対して、
「今年度(平成24年度)中には公立保育所の民間移管についての方針を固めて参りたい。」
との回答を得ました。

その場しのぎの回答でないことを祈ります。

今後も、注視しなければなりません。

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