カラス対策についてー平成15年6月議会一般質問

2005年6月15日[カテゴリ:環境衛生, 質問

西宮市では、ゴミステーション方式で、ごみの収集をしています。

近年、そのゴミステーションに出されたごみの中の食べ物を
カラスが取り出すためにごみ袋を破ることから、
食べ物以外のごみが周辺に散乱するという状況が
市内で散見されるようになりました。

「なんとかならないか。」

という苦情を当選する前から聞いてきました。

東京都のように、カラスを捕獲して処分し、
個体数を減らすべきだというご意見も頂いてきました。

そこで、初めての議会となる平成15年6月議会において、
抜本的な対策について、市に対して質問しました。

=========ここからが、本会議場での議論の概要========

平成15年6月議会一般質問

2.環境について
ア)カラス対策
(捕獲に向けた現状把握を。)
■質問の背景・田中の主張
現在、都市部ではカラスが増加し、
ごみを荒らしたり、鳴き声がうるさいといった苦情が
本市でも増えていると聞きました。

特に、ひながかえる3月から一人前になる6月までの間、
カラスはひなを守るため警戒心を強め凶暴になり、
人間に危害を加えるといったことも起こる
そうです。

人間が出すごみが、いい餌となって、捕獲される心配がほとんどない、
こんないい条件では増加するのも当たり前かもしれません。

これまで西宮市では、ごみの出し方の指導や啓発活動を行い、
集積場の使用者の責任でという条件はつきますがネットの使用を勧め、
それを対策にしています。

そのような中、
東京都では、テレビで特集されるほどカラスによる被害がひどく、
ついにごみの対策にとどまらず石原都知事の強烈なリーダーシップによって
プロジェクトを組んで捕獲に至っています。

現在のところ、大量捕獲を行っているのは東京都のみのようですが、
多額の費用がかかり、なかなか捕獲まではできないことは理解できます。

東京都のホームページに載っているものを調べました。

対策内容と捕獲に関しては生息数とその結果、
つまりどれだけ減ったかということのみ載っておりまして
平成12年9月にカラス対策プロジェクトチームを発足させるにあたり、
平成10年から苦情件数を把握し、
平成10年には500件ほどだったのが、
平成13年には約3,300件に増加したことを把握していました。

そして、生息数を把握し、都民からの意見を集めた上で
平成13年12月に捕獲作戦を開始し、
平成14年1月までの間に100基のトラップをカラスが集まりやすい公園に設置し、
2ヶ月間で4,210羽捕獲したそうです。

もちろん捕獲に至るまでの間には、
都民に対してごみの出し方を指導するなどのPRを強化し、
収集方法に工夫を凝らすといった施策は続けてきた様子でした。

そして、平成14年度から3年程度の中期対策を組んで実施されています。
当然ですが、カラスには行政圏など関係ありませんから、
本市が対策をすれば、カラスも賢いので、
他市に逃れるだけだとも考えられます。

ですので、
近隣都市や県の協力も求めなければならないのかもしれません。
だからといって、現在のように野放し状態を続けていれば
まちがますます汚れるだけにとどまらず、
人への被害が続発しないとも限りません。

まずは、客観的な判断材料として、
例えば生息数や苦情件数、被害状況といった数字を把握するべき
です。
それで必要と判断されれば、東京都を手本として、
近隣都市とも連携しながら捕獲に乗り出すべきと考えます。

■質問1
捕獲方法や費用対効果、処理方法等の研究を進め、いざという時に備える必要があるかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

■質問1に対する市(市民局)の回答
市民からのカラスに関する苦情、相談が
最近では年間50件程度寄せられております。

主な相談の内容は、
ごみ集積所等のごみの散乱に関するものでございますが、
そのほか、早朝からの鳴き声がうるさい、
ふんで周辺が汚される、
3月から6月ごろの繁殖期やひなの育ちの時期には、
巣に近づくと威嚇や、時には攻撃を受けて怖い
などでございます。

このように、市街地におけるカラスの被害は
都市での新たな問題となっているところでございますが、
都市にカラスがふえた原因は、
都市化の進行や生ごみなどの食べ物が豊富であること、
街路樹や電柱など巣づくりに適した環境が存在していることなどが挙げられ、
カラスは、都市の環境に順応しながら増加したと考えられます。

こうしたカラス問題の対策方法でございますが、
カラスに限らず野生の鳥獣は、
人と動物との共生を目的と致します「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」によりまして、
原則的に保護の対象とされている
ところでございます。

ただし、野生の鳥獣が住民の生活環境を悪化させる場合などには、
有害鳥獣として、市長の許可を受けた上、捕獲できる
こととなっております。

したがいまして、
巣がある樹木等の所有者や管理者などからの依頼により
捕獲許可申請がなされた場合、
必要に応じて現地調査等を実施致しまして、
捕獲許可を行っているところでございます。

また、カラスの攻撃を受けている場所では、
張り紙などで注意を喚起するなどの対策をとっております。

なお、昨年度は許可申請はございませんでしたが、
今年度は1件ございました。

今後、苦情の増加に備え、研究してまいりたいと考えておりますので、
御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。

=========ここまでが、本会議場での議論の概要=========

今回の質問によって発覚した問題点として
カラスが有害鳥獣と認められれば市民局(農政課)が対策を担当し、
ごみの管理、散乱自体の対応は環境局(対象はカラスではない)が担当していることから、
抜本的な対応が不十分となっていることが分かりました。

縦割り行政と呼ばれます。

長くなりましたので、まずは、市民局の回答を掲載しましたが、
東京都のように、捕獲の対応が必要か否かは、
具体的な数字が把握されていない現段階では判断できません。

市の回答にある
「生活環境を悪化させる場合しか、カラスの捕獲等の対策ができない。」
ということは、
「カラスが生活環境を悪化させている」という客観的な事実を
把握する必要がある
ということです。

ですので、まずは、市に対しては、
カラス被害に関する窓口を一つに絞るよう求めています。

そして、「ごみ」荒らしの被害について、
カラスやその他動物に起因すると考えられるものは、
現状を把握するという観点からも、
農政課が対応する方が合理的です。

環境局の回答は後日アップします。

記事一覧