学級崩壊の現状―平成24年12月議会一般質問

2013年3月2日[カテゴリ:学校教育, 質問

学級崩壊

文部科学省による『学級経営の充実に関する調査研究(最終報告は平成12年)』の中で「学級がうまく機能しない状況」を次のように定義しています。
「子供たちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず、授業が成立しないなど、集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態が一定期間継続し、学級担任による通常の方法では問題解決ができない状態に立ち至っている場合」

この「学級がうまく機能しない状況」を『いわゆる「学級崩壊」』と呼んでいます。

昨年の2学期が始まった頃になって、地域活動でご一緒した小学生の保護者から学級崩壊に関する相談がありました。
保護者の皆さんが集まって対応を検討し、学校とも協議をして保護者の方々が交代でクラスの様子を見に行ったりするなど対応して頂いていた中で、学校の危機感が薄いのではないか、学校の動きが鈍い、という指摘を受け、調査に入り、平成24年12月議会で取り上げ、教育委員会と議論しました。

=======ここからが、本会議場での議論の概要=========

平成24年12月議会一般質問
1.公立学校における学級崩壊の現状と市教育委員会の対応について

(学級崩壊の現状)
■質問の背景・田中の主張
今回、この問題を取り上げるきっかけとなりました保護者から相談を受けたケースでは、年度当初に臨時講師が担任を受け持ち、子供たちが言うことを聞かない状態に対応できずに悩み、5月上旬から休みがちとなり、そして、5月下旬には退職をされたそうです。
その後、6月に担任に配属された臨時講師も、適切に対応ができずに、2学期の半ば過ぎまで解決できずに来たという内容でした。
その代替教員にかわってからも、子供たちの声によりますと、

・授業の内容がわからない、
・先生に質問しても答えてくれない、
・授業の準備が次の授業の時間に食い込んでしまう、
・連絡帳のチェックもままならない、
・次第に小テストの実施もできなくなる

など、目に見えた問題が生じていたとのことでした。

一方で、ある保護者が1学期に授業中に児童が騒いでいる状態を偶然に発見して以来、大半の保護者が子供たちへの家庭での指導を行うことを申し合わせるとともに、学校での見守り活動や保護者会の実施によって学校と対策を協議することを求めるなど、積極的に取り組んでいたそうです。

しかし、学校のとった対応では十分な成果が得られなかったと言わざるを得ない状況でした。

各学校には、配付資料の表1のとおり、さまざまな目的で加配教員が配置されております。
(クリックして↑ご覧ください。)
学級がうまく機能しない状態が生じると、その加配教員で対応されている様子で、加配の趣旨を逸脱している状況も生まれています。今回は、複数の学級でうまく機能しない状態に陥ったため、県の加配教員でも数が足りずに、フォローし切れなかった状況だったようです。

また、学級が騒いでいる傍ら、いじめもあったそうです。
この問題を放置していれば、いじめも見逃してしまう可能性を秘めています。そして、子供たちの学力の低下を招かないためにも、迅速な対策を講じるべきです。

そのためには、各学校に対応の詳細は任せるにしても、一定、対応のマニュアル等基準を作成し、学校に対応を求める必要があると考えます。
例えば、授業が成立しなかった時間が発生した時点で、

ほかの先生に相談して助言を求めるといった対応をする超初期の段階、
校長へ報告し助言を求める段階、
学級崩壊と認定して教育委員会へ報告し、学年で対応するなどの措置が必要な段階、
保護者会を開催し、保護者の家庭での指導などの協力を求め、学校一丸となって対応する段階、
そして、人員強化を含めて問題が解消するまで教育委員会が対応する段階

といった基準と対応の義務化が必要と思います。

この対応の段階ごとに、1週間程度経過を見ながら取り組んだとしても、最終段階までいくと1ヶ月半もの時間を要します。そして、いずれかの段階で連続して数日間、成立しない授業が発生しなければ問題解消と判断して、次は、成立しなかった授業分の補習を実施する必要があります。教員は、来年も次のその学年の児童を教えることができるかもしれませんが、子供たちのその学年の時間は一生に一度しかありません。今回の子供たちに対する学習支援を含めたフォローと、二度ととこのように長引くような事態を生じさせないような対策を講じる必要があります。

■質問1
まず、学級崩壊の報告件数について、近年の状況をお聞かせください。

■質問1に対する教育委員会の回答
教育委員会が把握しております、「いわゆる学級崩壊」、または「教員の指導力に課題がある状況」は、平成24年11月初めまでの記録では、7小学校に7件ありました。昨年度は、3小学校、1幼稚園で合計4件、一昨年度は、3小学校、1幼稚園で合計5件ありました。

教育委員会では、主任研修指導員が若手教員や臨時的任用教員が配置された学校に出向き、管理職から様子の聞き取りや、該当教員の授業を参観、本人と面談・指導を行っております。今年度1学期に全学校を訪問し、2学期からは、校園長から要請を受けた学校を重点的に訪問しています。先ほどお示ししました数字は、そのような活動や校長からの報告を通して把握したものでございます。

■質問2
表2のとおり
(↑クリックしてご覧ください。)
小学校では、近年、55名から76名の新任の教員が配属されており、臨時講師は101名から188名の配属となっております。小学校では、新任の正規教員はもちろんのこと、臨時講師も担任を持たざるを得ない状況にあります。そこで、研修の機会が少ない臨時講師をフォローアップするための体制や研修は現在どうなっていて、課題をどのように考え、今後どのような対策を講じるお考えなのか、見解をお尋ね致します。

■質問2に対する教育委員会の回答
新しく採用された教諭には、着任直後の4月から法定研修があり、その中で研究授業を実施させ、指導案、授業の進め方、児童生徒への接し方など、指導主事がマンツーマンで直接指導する機会を設けております。

一方、臨時講師につきましては、法で定められた研修はありませんが、平成21年度から教育委員会として1学期と2学期に研修の機会を持っております。
また、主任研修指導員による指導は、正規の初任者に限らず、臨時的任用教員や経験年数が少ない教員に対しても、マンツーマンの直接指導を継続的に行っております。

そして、経験年数の少ない教員が参加する教科や分掌に関する研修は、受講者が参加しやすい時間帯に企画したり、経験10年前後の教諭が講師や相談役となり、学級経営や生徒指導についてディスカッションできる機会も設けたりして、工夫しております。さらに、各学校においても、着任直後の教員で指導上の課題が早期に発見された場合には、教頭あるいは同じ学年を担当する他の教員が同室複数で指導したり、学年合同の授業を実施したりして、OJTによる研修を行っております。

また、放課後等を活用して、経験年数に関係なく、教師が自主的に授業研究会や学級経営等についての研修会を開いている学校がございます。教育委員会として、その取り組みを市内に広められるよう、支援に努めてまいりたいと考えております。

========ここまでが、本会議場での議論の概要=======

学級崩壊の状況になる要因は様々であると言われています。学級崩壊の状態になっているクラスには、騒ぎ出す子供とその子供につられてしまう子供、そして、ちゃんと授業を受けたいと思う子供がいると考えられます。騒いでいる子供の輪に入らなければ、いじめられてしまうという恐怖感も生まれ、同調する子供もいると多数いると想像できます。このような状況を放置していると、いじめを発見しにくい環境が生まれますし、不登校の子供が増えることも考えられます。
そして、まともな授業を受けていないわけですから、塾にでも行っていない限り、勉強についていけない子供が増えていくことも懸念されます。何のための義務教育の学校なのかと、疑問を持たれても仕方ありません。

私が保護者から相談を受けた内容は、市内学校で起きていることの一部です。ですので、市全体の現状を質問した上で、今後講じるべき対策について提案しました。

次に続きます。

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