学級崩壊の対応②-長期化を防止するために

2013年3月3日[カテゴリ:学校教育, 質問

学級崩壊への対応の続きです。
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平成24年12月議会で取り上げました「学級崩壊」に関する議論の最後は、学級崩壊の未然防止と長期化防止策の提案です。

=======ここから、本会議場での議論の概要=======

平成24年12月議会一般質問より

1.公立学校における学級崩壊の現状と市教育委員会の対応について
■質問の背景・田中の主張(再掲)
今回、この問題を取り上げるきっかけとなりました保護者から相談を受けたケースでは、年度当初に臨時講師が担任を受け持ち、子供たちが言うことを聞かない状態に対応できずに悩み、5月上旬から休みがちとなり、そして、5月下旬には退職をされたそうです。
その後、6月に担任に配属された臨時講師も、適切に対応ができずに、2学期の半ば過ぎまで解決できずに来たという内容でした。

その代替教員に変わってからも、子供たちの声によりますと、

・授業の内容がわからない、
・先生に質問しても答えてくれない、
・授業の準備が次の授業の時間に食い込んでしまう、
・連絡帳のチェックもままならない、
・次第に小テストの実施もできなくなる

など、目に見えた問題が生じていたとのことでした。

一方で、ある保護者が1学期に授業中に児童が騒いでいる状態を偶然に発見して以来、大半の保護者が子供たちへの家庭での指導を行うことを申し合わせるとともに、学校での見守り活動や保護者会の実施によって学校と対策を協議することを求めるなど、積極的に取り組んでいたそうです。

しかし、学校のとった対応では十分な成果が得られなかったと言わざるを得ない状況でした。

各学校には、配付資料の表1のとおり、さまざまな目的で加配教員が配置されております。
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学級がうまく機能しない状態が生じると、その加配教員で対応されている様子で、加配の趣旨を逸脱している状況も生まれています。今回は、複数の学級でうまく機能しない状態に陥ったため、県の加配教員でも数が足りずに、フォローし切れなかった状況だったようです。

また、学級が騒いでいる傍ら、いじめもあったそうです。
この問題を放置していれば、いじめも見逃してしまう可能性を秘めています。そして、子供たちの学力の低下を招かないためにも、迅速な対策を講じるべきです。

そのためには、各学校に対応の詳細は任せるにしても、一定、対応のマニュアル等基準を作成し、学校に対応を求める必要があると考えます。
例えば、授業が成立しなかった時間が発生した時点で、

ほかの先生に相談して助言を求めるといった対応をする超初期の段階、
校長へ報告し助言を求める段階、
学級崩壊と認定して教育委員会へ報告し、学年で対応するなどの措置が必要な段階、
保護者会を開催し、保護者の家庭での指導などの協力を求め、学校一丸となって対応する段階、
そして、人員強化を含めて問題が解消するまで教育委員会が対応する段階

といった基準と対応の義務化が必要と思います。

この対応の段階ごとに、1週間程度経過を見ながら取り組んだとしても、最終段階までいくと1ヶ月半もの時間を要します。そして、いずれかの段階で連続して数日間、成立しない授業が発生しなければ問題解消と判断して、次は、成立しなかった授業分の補習を実施する必要があります。教員は、来年も次のその学年の児童を教えることができるかもしれませんが、子供たちのその学年の時間は一生に一度しかありません。今回の子供たちに対する学習支援を含めたフォローと、二度ととこのように長引くような事態を生じさせないような対策を講じる必要があります。

■質問5
表3のとおり、教員の指導等のために定年退職した教員に登録していただいているアシスタントティーチャー制度がございます。県の加配教員を活用して学校内で対応ができなかった場合、市教育委員会がそうした制度を改良して活用するなど、学校を支援するための人員を配置する準備をしておくべきと考えますが、見解をお尋ね致します。

■質問5に対する教育委員会の回答
学校支援のための人員配置につきましては、現在、小・中学校教員を市独自で採用する仕組みがございませんので、配置はできておりません。学級運営に困難が生じる兆しが現れたとき、担任だけではなく、学校全体の問題であるとの認識のもと、学年や全校指導体制で対応しているというのが現状でございます。

しかしながら、学校の教員だけで限界が生じる場合は、県教育委員会に学級運営などの改善に係る非常勤講師の配置を要請したり、市教育委員会からは、指導主事や主任研修指導員を学校に派遣して指導に努めたりするなどの支援を行っています。

さらに、市教育委員会の事業であるアシスタントティーチャーを利用するなど、教員の指導力向上にも努めております。この事業は、西宮市立学校園を退職された教員がアシスタントティーチャーとして登録し、現職の教員の相談に応じたり、助言を行う事業でございます。ただ、学校のニーズとうまく合わないなどの課題から、十分な活用が図られていないため、今後、学校が活用しやすい制度となるよう見直しと工夫をし、適切な学校支援に努めてまいります。

■質問6
学級崩壊が発生している原因分析や対応マニュアルの作成などを現在行っているのか、また、行っていないのであればどのようにお考えか、見解をお尋ね致します。

■質問6に対する教育委員会の回答
いわゆる学級崩壊は、教師の指導力、教師と子供との人間関係、子供同士の人間関係、校内の指導体制など、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こるものと考えております。

教育委員会としましては、学級崩壊を起こさないよう、教員が指導の本質を踏まえた適切な指導を行うため、学習指導のための手引書を作成し、研修に生かしています。また、文部科学省も、学級経営についてのポイントを記した生徒指導提要や、学級がうまく機能しない状況にあるとした事例や回復事例、対処のための視点や取り組みなどをまとめた資料を作成しています。

これらの資料を活用しながら、開かれた学級経営の推進を促し、学級経営研修やカウンセリング研修を初めとするさまざまな研修の機会を通じて、教科の指導力のみならず、よりよい人間関係を築くコミュニケーション力や学級経営力の向上を図り、学級崩壊の予防に努めております。そして、今後も、学級崩壊が発生した際の対応につきましては、早期発見と早期対応を基本に、教育委員会として子供たちの教育を確かなものにしてまいります。

■まとめ・要望
御答弁の中で、予防に努めるということと、今後も学級崩壊が発生した際の対応は、早期発見、早期対応を基本にとお答え頂きました。

このお答えに期待をするものではありますが、これまでも、多種多様の研修もしてきましたという内容がございましたが、それだけでは予防につながっていない現状があるというのが一番最初のお答え(現在7校で学級崩壊が起こっているという事態)でございます
現在やっていることの検証や、具体的な改善をしていかなければ、未然に防ぐということも困難ですし、また、仮に起こった場合に、2学期の半ば、下手すると3学期も続くという可能性もまだありますので、その学年を丸々潰してしまうというようなことも想定されるわけです。

ですので、今日のお答えの中で、アシスタントティーチャー制度を活用しやすいように工夫するとありましたが、その前に、適切なタイミングで、例えば教育委員会のほうに学校から報告を必ず上げてもらう、長引くようなことになる前に早期に対応できるといった「対応マニュアル」、段階ごとにやるべきことがあるはずですので、そういったことを一定義務化、ルール化しておくべきと思います。鋭意検討して頂いて、学級崩壊が起こらないということをまず目標に、起こった際には長引かせないということを徹底して頂きたいと強く要望しておきます。

========ここまでが本会議での議論の概要========

子供にとっては、小学〇年生という1年間は、一生に一度しか過ごすことができない貴重な時間です。

にもかかわらず、教育委員会の答弁は、どこか他人事に感じます。

「学級崩壊の予防の対策」について、具体的に回答にありましたが、教育委員会の現在の取組みでは、小学校7校で7つ学級で学級崩壊の状態に陥っているという「結果」を重く受け止めるべきです。しかも、11月末現在の状況ですから、1年間の3分の2は、そうした状態が続いているのです。
つまり、学校の現在の人員体制では、教員個人の指導力をいくら高めても限界があると言わざるを得ないのです。

そして、教育委員会は、「いわゆる学級崩壊は、教師の指導力、教師と子供との人間関係、子供同士の人間関係、校内の指導体制など、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こるもの」と回答し、暗に、一律の「段階別対応マニュアルの策定」を否定しました。しかし、学級崩壊が起こった際の「早期発見、早期対応」に関する具体的な措置については、言及されていません。
私は、非常時の人的な支援については、もっと大胆な対応が求められていると感じています。
学校での問題は、学級崩壊だけではないわけですから、なおさらです。

引き続き、確かな「結果」を求めていかなければなりません。

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