PCR検査で陽性が確認されるまでの対応

2020年4月16日[カテゴリ:コラム, 危機管理

保育所に勤務する保育士が感染して、子供がお世話になっていた保護者が「その保育士の名前を出すよう求めた」との報道を目にしてしまいました。どのような理由があろうとも、あってほしくない行為です。保育士さんが気の毒で、悲しくなります。

私はずっと、感染者の行動歴を開示すべきと、このコラム(←クリックすると令和2年3月4日コラム「「公による情報公開と信頼」も危機管理の重要な要素」をご覧頂けます。)で主張してきました。

それは、まず自分が感染しないように気を付けることと、自分が他人を感染させないよう気を付けることができる環境をつくるためでした。そして、その大前提は、感染した方の名前や住所はわからないようにということでした。このことも、何度か書きました。(←クリックすると令和2年3月10日コラム「医療と介護施設の対策の状況に関する情報提供を」をご覧頂けます。)感染した人は悪くなくて、むしろ被害者であると。

しかし、「感染した人が悪いと責めるような人」が少なからずいるとなると、それは感染者の情報を全力で隠さないといけなくなり、それは即ち、私たちは、全てが隠された中でウイルスにさらされなくてはならないことになります。

最初に聞いたときは、本当に許せない行為だと思いましたが、それもきっと不安を感じてのことでしょうから、攻めてはいけないのでしょう。

敵は「ウイルス」。

国民皆で、懸命に知恵を出し合えたらと思って、私もこのコラムを書き続けたいと思います。

なお、西宮市内では発生していませんが、最近多発している病院における院内感染に関して、興味深い情報を頂きました。空調の影響です。
情報提供者には、対応が遅い!と叱られご理解頂けませんでしたが、調査をお願いするには、私なりにも咀嚼する必要がありますので、後日、このコラムで書ければと思っています。

さて、昨日も、西宮市内で新たな感染者が確認されました。市から送られた情報を以下に掲載しています。

中でも、43例目の方は、39例目の方の濃厚接触者となっていますが、同居人と推察されます。
39例目の方が38度の熱が出たのが4月2日でしたが、PCR検査を受けられたのが9日後の4月11日でした。ですので、43例目の方はそれまでの間、濃厚接触者には特定されていないはずですから、悪寒があったとしても仕事は続けることになります。

この発症からPCR検査を受けるまでの期間に、さらに感染を広げてしまう可能性を高めているのではないかと感じています。発症からPCR検査を受けるまでの日が長く、陽性が確認されたのが2回目以降の検査であった事例も西宮市では報告されていないことから、かなり慎重になっているように見えます。

一方で、兵庫県のデータでは、PCR検査の陽性率は8.7%となっており、決して高いとは言えません。なぜなのか。

感染拡大防止のために、躊躇せず、疑わしければPCR検査を受けてもらえるような環境へと改善すべきです。

そして、43例目の方は、明確な異変としての「味覚嗅覚異常」が出るまで仕事を続けることはせず、8日~10日の3日分、自発的に仕事をやめ、感染拡大を防止できたと評価されていいと思っています。

休業要請が出ていない仕事をしている以上、現在でも、自分で判断して仕事を休むことはなかなか難しい環境にあると思っています。

ですので、先日のコラムにも書きましたが、自発的な外出自粛や在宅勤務の推奨だけではなく、早く具体的なガイドラインを出して感染拡大防止対策を強化すべきなのです。

そして、今回のケースでは、43例目の方の発症後だけではなく、39例目の発症の段階くらいまでさかのぼって、濃厚接触者を早く特定して、可能であれば、その先の3次の接触者にまで連絡を入れて、外出抑制を要請するべきです。(しているかもしれませんが、その辺は明らかにされていません。)

以下、市から送られてきた情報です。

=====43例~45例目(4月15日(水))=====
〇43例目
(1)年 代 : 10歳代
(2)性 別 : 女性
(3)職 業 : 自営業
(4)居住地 : 西宮市内
(5)経過
 4月5日 寒気
 4月6日 頭痛、倦怠感、発熱感
 4月10日 味覚嗅覚異常
 4月11日 帰国者・接触者相談センターに相談
 4月13日 市内A医療機関(帰国者・接触者外来)受診、検体採取
 4月15日 PCR検査陽性確定
(6)その他
 現在の症状:寒気、頭痛、倦怠感、味覚嗅覚異常 
 勤務状況:4月7日まで出勤
 同居人:あり
 渡航歴:なし
 市内39例目の濃厚接触者

〇44例目
(1)年 代 : 70歳代
(2)性 別 : 女性
(3)職 業 : 調査中
(4)居住地 : 西宮市内
(5)経過
 4月5日~7日 発熱38度
 4月13日 息苦しさあり
 4月14日 市内A医療機関(帰国者・接触者外来)受診、検体採取
 4月15日 PCR検査陽性確定
(6)その他
 現在の症状:嗅覚異常、頭痛、倦怠感 
 勤務状況:調査中
 同居人:あり
 渡航歴:なし
 大阪市で発生した患者の濃厚接触者

〇45例目
(1)年 代 : 40歳代
(2)性 別 : 女性
(3)職 業 : 無職
(4)居住地 : 西宮市内
(5)経過
 4月10日 発熱37.4度
 4月11日~13日 発熱38度台
 4月13日 市内A医療機関(帰国者・接触者外来)受診、検体採取
 4月15日 PCR検査陽性確定
(6)その他
 現在の症状:発熱 
 勤務状況:調査中
 同居人:調査中
 渡航歴:なし
 
=====ここまでが、43例~45例目=====

最後に、昨日の市の会議報告です。現在4月16日午前11時半。9時解禁の情報がありましたので念のため記しておきます。

西宮市でも、認可保育所等が来週20日より特別保育に移行します。いろいろな仕事があるなかで、線引きに客観性を欠き、混乱するのではないかと心配しています。
特別保育の実施について(←クリックするとご覧頂けます。)

また現在、国が予算化を急いでいる持続化給付金のパンフレットも市から提供して頂きました。

持続化給付金チラシ(←クリックするとご覧頂けます。)
分かりやすいです。

支給額が決まる減収月は、2020年1月~12月の中からひと月を選べるようになっています。

=====市の会議報告(4月15日(水)21時)=====

1.第55回新型コロナウイルス感染症対策本部会議
・本日(4/15)の検査結果は6件中、3件が陰性。3件が陽性であった。
・昨日の相談件数は、健康医療相談が126件、一般電話相談が178件、融資等相談件数が45件であった。
(本日の健康相談が16時現在79件、一般電話相談が17時現在127件)
・認可保育所等の特別保育への移行について協議〈決定〉
→緊急事態宣言を受け、やむを得ない事情の場合に受け入れる「特別保育」に移行する。期間は令和2年4月20日~令和2年5月6日。
※5月6日までの欠席分については日割り計算する。
・持続化給付金(経済産業省)の給付内容等について確認した。
・住居確保給付金の支給対象拡大のための法改正と市民への案内について確認した。
・感染症対策の啓発等に活用できるよう、コロナ対策Ver の「みやたん」イラストを作成した。
・中央病院の健康診断を当面の間、休止することにした。
・公園施設等の休館・閉鎖情報を一覧にしてHPで発信する。
・「緊急事態宣言発令中」【別添】ポスター・チラシを作成した。
→ 市民等への啓発に活用する。

=====市の会議報告(4月15日(水)21時)=====

引き続き、地道に発信します。

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