教育現場の対応力ー市立学校は5月31日まで臨時休業を延長

2020年4月30日[カテゴリ:コラム, 学校教育

国の緊急事態宣言の期限を待たずに、西宮市は市立学校の5月31日までの休業延長を決定しました。

国は、緊急事態宣言の期間を延長することを検討しているようです。前にも書きましたが(←クリックすると4月7日のコラムをご覧頂けます)、この3週間の動きを経験して、「緊急事態」という名称と実際にやっていることのギャップを痛感しました。
延長するのであれば、さらに具体的かつ迅速な対策が求められます。

「学校の9月入学・始業」についても知事会から提唱されるようですが、この緊急事態に乗じて出されることには「浅はか」との印象をもちました。緊急対策と社会構造の根幹に関わる内容をごちゃ混ぜにして議論、対応することに違和感を抱かずにいられません。冷静に対応するべきです。このことについては、コラムを分けたいと思います。

緊急時の行政の対応力の低さ

さて、
先週22日のコラム(←クリックするとご覧頂けます。)でも掲載しましたが、学校の方針を早めに決断をされたところまでは、学校現場で対応する時間が取れるという観点でよかったと思っています。

しかし、延長と同時に具体的かつ迅速な対策が求められる。とも書きました。
必要な予算があるはずですが、市から送られてきた文書には、それらの予算が明確に示されていません。

そして、市教育委員会から送られてきた文書を見ると、対応が1週間遅いです。

以下の内容が、4月28日(火)11時に送られてきた文書に記されていました。

=====市から送られてきた文書の概要(4月28日)=====

1.対象:西宮市立小学校・中学校・義務教育学校・特別支援学校
(※開始日や期間が異なりますが西宮市立幼稚園、高等学校も臨時休業となります。)
2.臨時休業期間 令和2年5月7日(木)~5月31日(日)
3.臨時休業期間中の登校可能日
5月18日(月)以降に1週間に1回の設定を予定
しています。
日程については、後日、各校から連絡させていただく通りです。

4.連絡事項
(1)臨時休業期間中の家庭学習について
  配付方法は、後日、各校から連絡させていただく通りです。
  課題内容については、5月11日(月)以降、各校のホームページに公開してまいります。
(2)授業時数の確保について
  夏季休業期間中に授業日を設定する。詳細は後日連絡します。
(3)6月1日(月)以降の教育活動の再開について
  後日連絡いたします。
(4)部活動について
  臨時休業期間は実施しません。

(5)小学校で実施している「預かり」について
  5月7日(木)以降も継続します。

5.ご家庭へのお願い
○各家庭において、引き続き、次のような感染予防対策をお願いします。
(1)感染源を絶つ
発熱や咳などの風邪のような症状が見られるときは自宅で休養させてください。また、感染拡大の
防止の観点から、できる限り健康状態の確認(検温等)を行ってください。
(2)感染経路を絶つ 手洗いや咳エチケットを徹底してください。
(3)抵抗力を高める
免疫力を高めるため、十分な睡眠、適度な運動やバランスのとれた食事をとり、規則正しい生活をお願いします。
(4)屋外でも要注意 「公園は、すいた時間、場所を選ぶ。」

=====ここまでが市からの文書=====

まず、遅くとも、連休明けの5月7日から臨時休業に対応した活動を開始できるよう先生方には準備を進めてもらうべきです。少なくとも、方針を示してから10日もあるわけですから。

今回示された市の対応であれば、緊急事態宣言の動向を確認してからでも対応できる内容と思われます。

課題の配布は5月11日以降ではなく7日から、登校日は18日以降ではなく11日の週から設定するべきです。
市から送られてきた文書には、「登校日」ではなく、「登校可能●●)可能日」と記されており、どう違うのか分かりませんが、18日の週ではなく、11日からできることを実施するべきです。

これまで3月、4月の2ヶ月間、学校の先生方に一体何をしていただいてきたのか。
教育委員会は、「3月、4月は学校が「休み」だとでも思っていたのではないか。」と。疑ってしまいます。

「休)校」ではなく、「休)業」といってきたのは、授)業を休むではなく、先生方の)業務を休むという意味だったのか。

学校での授業ができなかっただけで、子供に対する対応は続けてきたのではなかったのか。
もし、対応を続けてこなかったのであれば、いい加減、挽回してもらいたい。文教住宅都市の名誉をかけて。

この2ヶ月間何をしていたのか、次の議会で問いたいと思います。

市民の声で自分の感覚を磨く

一昨日の晩、NPOを運営されている方からのお誘いで、ZOOMというアプリを使ったオンライン会議に参加させて頂き、学校休校に伴って発生している課題を市内の保護者から伺うという貴重な機会を頂きました。

市民の声は、自分の政策的な感覚を磨くのに絶対に必要だと感じてきましたし、そもそも政治は市民の声によって実現されるべきものだと思っていますので、このような機会は本当にありがたいと思います。

まず、皆さん口を揃えておっしゃったのは、「学校の先生からの音沙汰がない。」ということでした。
私にも公立小学校に通う子供がいますので、妻ともそのような話をしていました。

先週のコラム(←クリックすると該当するコラムをご覧いただけます。)で、先生から電話やインターホン越しの家庭訪問による子供の現況調査は早くやるべきだと書きました。

オンライン会議では、「学校には電話が2回線しかないから子供たち全員には電話ができないのかもしれない。」という話になりました。
「先生個人の携帯電話を使ってもらえないのかな」という意見もありましたが、やはり先生にもプライバシーがありますから、いくら市が電話代を負担したとしても、校長が現場の先生に対して個人の携帯電話を使用することを強制することはできないことは容易に想像できました。

今は、1ヶ月単位で契約できるレンタルの携帯電話もありますので、通信代が少し高くなりますが、各学校で2、3台レンタルすることで解決はできます。NTTの回線を増やすためには工事が必要なので相当の時間がかかることもあるので、レンタル携帯電話であればもう少し早く対応可能です。

この辺は、4年に一度経験している選挙と同じ感じがします。
普段の事務所には固定電話が1本、選挙期間中は電話でしか直接有権者に投票を依頼できなかった時代には、電話作戦は非常に重要でした。

そして、よく考えたら、クラスごとに時間差で電話をかければ、1週間もあれば全ての家庭の様子を聞くことは可能だと思われます。

生徒数が最も多い小学校で約1050人です(この学校ですら電話が2回線しかないのかどうかは不明です)。
1台学校の固定電話が受け持つのが510人。

朝のご家庭の忙しい時間帯を避けて10時から電話作戦をして17時で終了するとしても、
1台の固定電話を稼働させるのが1日420分、1週間で2100分あります。
単純計算で1家庭と1週間に電話で話せるのが約4分となります。
ひとりの担任の先生が40人を担当するとしても、1週間に160分=3時間40分です。

これは児童数が最も多い学校の話ですから、500人規模の学校では、単純に約2倍、平均で8分を割けることになります。

また実際に、4月7日のコラム(←クリックすると該当部分をご覧いただけます。)に掲載しましたが、市教育委員会は電話で各家庭の欠席の意向確認をするよう学校に依頼していたことが分かります。

やる気があれば、ご家庭への電話はできる。

児童生徒のご家庭との電話以外の時間も考慮しないといけませんが、電話作戦は十分実施可能であることが分かります。携帯電話をレンタルすれば、もう少しご家庭への対応に時間を割けます。
そして、長電話になる保護者もいらっしゃるでしょうから、事情を具体的に説明をして打ち切らせてもらって、Eメールや文書でのやり取りをお願いするしかありません。

また最近は、自宅に固定電話を引いていないご家庭も増えていますが、家の固定電話だと、現在は詐欺電話や営業電話も多く、子供に電話応対させるのは憚れるご家庭も多いと推察されます。
ですので、電話をかける先は、保護者の携帯電話でもいいと思います。当然、4月の間に保護者の緊急連絡先を集めているはずですから連絡先のリストはあるはずです。
あとは、通知される学校の番号を文書でお知らせしておけば安全に連絡を取ることができます。

子供と学校とのコミュニケーション

私の子供が通う学校では、子供が自宅で学習するための課題を保護者が学校に取りに行ったのですが、学校によっては、先生方が一軒ずつ回ってポスティングをした学校もあったそうです。せっかく玄関先まで行ったのであれば、「知らない人」ではないわけですから、インターンホン越しで数分だけでも話ができれば子供も喜んだのではないかと思います。そうした行為すら禁止されていた様子です。

私の経験上、インターホン越しの対応であれば、多くて40件くらいなら半日もあれば対応可能です。
週に1回ぐらいなんとかなるはずです。あとの4日間は学校での授業はないわけですから、児童に対する課題の作成やスケジュールの作成など普段の校務に十分に時間を割けるのではないかと推察しています。

オンラインの環境整備が急がれますが、まずは、子供と学校のコミュニケーションの取り方についても、今の環境でできることを考えて、各校で実施しているそれぞれの対応をできるだけ全校に広げていく形で充実させていくべきと考えます。

もうひとつ。

電話ででもインターホン越し家庭訪問ででも、掴んだ課題はすぐに教育委員会に挙げ、学校のホームページにも具体名を伏せて挙げ、学校、先生だけで課題を抱え込むのではなく、情報を開示した方がいいです。
そうすることで、課題の解消に向けて手を差し伸べてくれる地域の方や事業者がいらっしゃることも忘れてはならないと思っています。
市長が選挙の公約に掲げていたコミュニティスクールが、今年度からパイロット校で展開することになっていました。うわべだけ、形だけだったのなら、現場の手間がかかるだけですから、やめた方がいいです。本気なら、今こそ、具体的な課題を把握して、情報を開示して課題解決に向けて動くべきです。

先生方はとにかく子供たちのために動きたいのだと思います。
欠けているのは教育長と市長の勇気と号令だけだと感じました。

これも前に書きました(←クリックすると該当部分がご覧いただけます)が、「できない理由をあげるのではなく、法律に違反しない限り、できることを考えて行動するよう指示する」を続けて、動かしながら内容を進化させるべきです。

教育委員会に対しては、別の案件ですが指摘もしていたことです。こちらもご覧ください。

緊急事態ですから、最初から完璧なものを求める方がおかしいと思っています。そして、医療と同じくらい、教育は必要不可欠なものです。子供の1ヶ月は大人の1ヶ月とは大きく異なります。しっかりと動かし続けてもらいたいと思います。

育ち盛りの子供の食事・栄養も心配

あと、給食です。

一昨日の晩のオンライン会議ではっきりしたのが、昼食に困っているご家庭が多いのではないかということです。
私も学校給食のありがたさを痛感している一人です。

学校給食を宅配する体制が、4月の1ヶ月間もあれば整備できたのではないかと思いますが、どうも放置される模様です。

前に書いたとき(←クリックすると該当部分をご覧いただけます)は、食材を販売するという提案でしたが、よくよく考えれば、学校で調理して宅配することも可能だと思いました。

食材の調達、配送、調理、衛生管理、献立の体制は既存の体制を活用できます。あとは、宅配に必要な物品と人手を確保できれば実施可能です。
宅配に必要な容器については、毎回使い捨てでなくてもいいかと思います。各児童生徒の2日分の容器されあれば、受け渡しが可能です。

宅配する人は、可能なら業者委託でもいいですし、地域の方やPTAに謝礼を用意してお願いすれば経済対策の一助にもなるはずです。謝礼がいらない方は地域の子供食堂などに寄付されることでしょう。自宅に食事を届ける人が地域の方やその学校の保護者であれば素性が分かっていますから安心です。

子供は家にいることが大前提になっているわけですから、受け渡しはスムーズにできるはずです。

民間の飲食店にはテイクアウトのみならず、宅配も含めて対応を推奨しているわけですから、行政の調理現場が対応しないのはおかしいです。

この緊急時に大きく学校に求められているのは、子供の学習環境と担任の先生方とのコミュニケーション、そして食事。

このような危機に、大人がどのように工夫をして代替して行動していくか、その姿を見せることも重要です。

5月は、この対応に重点を置いて頑張ってもらえるよう求めていきます。

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