要介護認定作業の透明性の向上②-令和2年6月議会一般質問

2020年8月12日[カテゴリ:医療・福祉, 質問

昨日のコラムの続きです。

この質問を取り上げるに至った経緯については、昨日のコラム(←クリックするとコラムが開きます)の後半部分をご覧ください。

介護認定調査員による聞き取り調査をパソコンに入力して判定ソフトが判定する「1次判定」と、介護認定審査会が、その1次判定の結果と主治医の意見書や調査員の聞き取り調査を勘案して最終決定する「2次判定」があり、本年3月の予算特別委員会健康福祉分科会において、1次と2次で判定結果が異なるケース4割を超えていることが判明しました。

そして、2次判定結果が1次判定よりも軽度に判定されたケースのうち、その半数以上が、介護認定の更新時である事実も判明しました。これは、それまでに介護サービスを受けた結果、介護状態が改善されている方を増やそうとする意図があったのではないかと疑われても仕方のない状況と言えます。判定結果に対する説明責任が求められる状況と言えます。

介護認定作業の流れについては、こちらの資料(←クリックするとPDFファイルが開きます)に図を掲載していますのでご参照ください。

これが、認定調査員の方や介護認定審査会の方々が、パソコンでの判断のとおり杓子定規に作業をするのではなく、その人の介護が必要な状態を忠実に表した介護度を判定しようと努力した結果であったとしても、説明もなく、その意が伝わらなければ、その努力は徒労に終わることになります。

そこで、介護認定作業の透明性の向上と説明責任を果たすべきという趣旨で、令和2年6月議会一般質問で質問しました。

=====本会議場での議論の概要=====

令和2年6月議会一般質問(6月26日)

3.介護保険事業について
■質問の背景

あわせて、要介護認定の透明性についてもお尋ねしておきたいと思います。
要介護認定の1次判定結果より2次判定で介護度が引き下げられる件数の割合が、平成28年度のデータですけれども、全国の自治体で7番目に多かったとの新聞報道が本年3月にありました。
また、要介護認定の結果に対する説明を求めても明確な説明をいただけないとの指摘が市民より寄せられることがあります。資料を提供していただいたところ、平成30年度で全体の認定数の25.8%が、資料にも示しましたが、2次判定において軽度に変更されており、1次判定どおりとなっている件数は6割に満たない状況です。
そして、(結果に不服があったと思われる方から)再申請された件数95件のうち、実に8割の方は判定が上がっております。
1次判定はコンピューターによる計算ですが、調査員の聞き取りによって内容は異なってきます。
2次判定は介護認定審査会による判定となることから、1次判定から変更があった場合にはその理由を明確に示すべきです。

■質問4
要介護認定における1次判定と2次判定が異なる件数が全体の4割を超えていますが、特に軽度変更される要因はどのようなケースが多いのか、お尋ねします。
また、2次判定で1次判定結果を変更する際の客観的基準を公開するとともに、変更された当事者に対してはその理由を開示し、透明性を向上すべきと考えますが、市の見解をお尋ねします。

■質問4に対する回答
介護保険制度における要介護認定につきましては、国で開発された1次判定ソフトによる判定から介護認定審査会における2次判定まで、原則として、要介護認定など基準時間と呼ばれる介護の手間の判断によって審査が行われます。介護認定審査会における判断の基準につきましては、国によって定められたテキストがあり、厚生労働省のホームページでも公開されております。
介護認定審査会委員にはテキストに基づく研修等を行っておりましたが、健康福祉常任委員会での指摘を受けまして、介護認定審査会の事務局として、定められた基準に基づいた判定がなされるよう、今年度、改めて介護認定審査会に働きかけを行っております。
今後も適正な要介護認定の運営に努めてまいります。

■意見・要望
要介護認定の作業につきましては、判断基準の透明性の向上、判定結果に対する説明責任を果たすことが重要だと私は考えています。御答弁では、まずは1次判定どおりにといった受け取れる御答弁があったのですが、新聞報道でも専門家からも、透明性の向上といいますか、「説明責任が重要」と指摘されております。

調査員の方々も、そして、介護認定審査会の皆様方も、懸命に作業をして頂いているのだと思います。ところが、(介護サービス)利用者から見れば、現在はブラックボックスの状態になっている判定の工程につきましても、完全に非公開にしなければならない法的根拠はないと思われますので、こちらにつきましても、1次判定から2次判定にかけて結果が変わった際には特に、説明責任の観点から改善を図っていただきたいと思います。今回は要望にとどめておきたいと思います。

=====ここまでが、本会議場での議論の概要=====

市の回答にある「国によって定められたテキスト(平成30年4月版)」には、

審査判定、とくに一次判定の変更に際しては、被保険者への説明責任の観点からも、二次判定において、介護認定審査会委員が、申請者特有の介護の手間の増加や減少をどのように考えたかについて、根拠とした特記事項や主治医意見書の記述内容とともに、介護認定審査会の記録として残されていることが重要です。

と書かれています。

この記録を本人、もしくは親族等に対してのみ、求めに応じて開示すればいいのではないかと考えています。

令和2年6月議会一般質問での「介護保険事業について」の質問については、以上となります。

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