第3次行財政改善実施計画の必要性

2005年7月1日[カテゴリ:財政・財政改革, 質問

選挙において、「負の遺産の清算」を掲げた私がまずやるべきことは、財政問題の解消と考え、初めての一般質問に引き続いて、2回目の一般質問においても取り上げ、具体的な提案を交えて議論しました。

このときの西宮市はまだ、
「新たな行政経営改革」=市役所改革
「行財政改善実施計画」=財源不足対策

という整理がされておらず、その整理と合わせて、今はその両方が必要な時であることを主張しました。

初めての一般質問で取り上げた財政改革に関する議論については、こちらのコラムをご参照ください。

=====本会議場での議論の概要=====

平成15年12月議会一般質問

1.第3次行財政改善実施計画について
ア)策定の進捗状況と市長、当局のビジョン
■質問の背景

私にとって初めての質問になりました平成15年6月議会での一般質問でも、この件に関しては質問させていただきました。その際の御答弁では、新たな行政経営改革を第3次総合計画の期間に合わせて、平成16年度から20年までの計画を策定するというもので、平成16年度には幾ら、平成17年度には幾らといった具体的な削減目標金額、収入増の目標金額は示されませんでしたが、新たな行政経営改革の中で早急に具体的な目標金額の設定作業にも入り、平成16年度予算編成段階で反映させるのかと理解しておりました。

しかし、9月議会での蒼志会の中川議員やその他の議員からの質問の中で、今後5年間の具体的取り組み、平成16年度の予算編成方針についての御答弁を聞かせていただき、新たな行政経営改革がそういったこれまでのような(経費削減の)計画ではなく、行政評価システム、それを反映できる予算システム、その他目標管理システム、そして、人事システムをつくり上げるという中期的な、将来に対する投資ともとれる行政システムの創造、改革に重点を置いていると理解しました。
この改革(行政経営改革)を実現し、機能させることは、さらにすばらしいものであることは言うまでもありません。ぜひとも早急に行っていただきたい と思います。

そして、これまでの過去の質問の繰り返しになりますが、改めて確認しておくと、西宮市では、阪神大震災以降、平成8年度から10年度までの3ヶ年の行財政改善実施計画、さらに、平成11年度から平成15年度までの5ヶ年にわたる第2次行財政改善実施計画を具体的な目標数値を持って策定し、取り組まれ、単年度効果額に過年度実施分の継続効果を加えた累積効果額が第1次によって123億円、第2次で計画額が206億円、実際には計画額を大幅に上回る260億円と見込まれています。その努力の成果によって、かろうじて赤字団体への転落を免れることができたことに対しましては評価したいと思います。

しかし、これが達成できたのも、あくまで目標金額を設定し、それに向かって努力をした結果ではないかと考えています。また、市民に対する行政の経営について説明責任を果たすこともできていたと思います。この具体的な数値目標のない行政経営改革の計画では、絵にかいたもちになる可能性すらあります。そして、第2次行財政改善実施計画の基本方針の中で、具体的数値を目標としていた経常収支比率90%未満という数字もまだ達成できていません。当初の計画段階で具体的な数値を設定したことは評価できることであり、現に、徐々にではありますが、減少していっています。

今後、市民サービスをできる限り落とすことなく、さらに削っていけるところは効率的な行政運営を図ることでの内部経費の削減が中心となるでしょう。しかし、例えば人件費を削減するために職員給与の一律カットを実施するだけでは、何度も繰り返すと限界もありますし、現在の地方公務員法のもとでは仕方がないとはいえ、職員の士気を落とすことにもつながり、これに頼ることは危険な政策と言わざるを得ません。

これ以上絞っていくためには、さらなる新規採用の抑制や早期退職制度の活用による人件費の削減といった積極的な固定経費の削減を進めながら、人員を削減しても事務事業が減少するわけではありませんので、その際に発生する人員不足をカバーするために、事務事業を戦略的に民間委託していく、もしくは嘱託化していく、そして、また、事業全体の民営化を戦略的に図っていくべきではないでしょうか。

試算上とはいえ、平成16年度の予算編成段階でこれまで取り崩してきた財政基金も底をつき、17年度以降には赤字予算を組まざるを得なくなって、数年後には財政再建団体の申し出をしなくてはならなくなる事態も懸念されています。そのような不安を払拭する根拠となるものを市民に対しても早急に示すべきです。

■質問
新たな行政経営改革の策定にあたっての市長、当局のお考えをお聞かせください。また、今後どういった行財政改善の具体的な数字を含めた計画を策定するのか、それとも、そういったものは策定しないのか、お伺い致します。

■山田市長の回答
本市は、震災後、平成8年度から10年度までの3ヶ年を対象とする行財政改善実施計画に続きまして、平成11年度から15年度までの5ヶ年を対象としました第2次行財政改善実施計画を策定し、取り組みを続けてきたところでございます。第2次の取り組みでは、5ヶ年間で261億円の効果額が生み出せる見込みとなっております。

第2次行財政改善実施計画の主な内容は、物件費などの節減や遊休市有地の売却など財政の効果的・効率的な運営で125億円、職員数、給与の抑制などの人事・組織の見直しで95億円、使用料等の見直し、市税、国保の前納報奨金の廃止、民間委託の推進などの事業・施策の見直しで26億円となっております。人事・組織の見直し、財政の効果的・効率的な運営といった内部管理経費が取り組みの大きなウエートを占めております。こういった取り組みの結果、今日まで赤字団体に陥ることを免れることができたのではないかと考えております。

しかし、従来と同じ減量経営的手法に頼る行財政改善を続けていくだけでは、今後三位一体改革などの外部環境の急激な変化に対応していくのは難しいのではないかと考えております。このため、こういった変化にも即応できる行政経営型の仕組みをつくり上げることが必要であると考えまして、企業における経営理念、手法、成功事例などを可能な限り行政部門に導入し、その効率化や活性化を図ることを目指すという新しい公共経営の考え方を導入することと致しております。

この考え方のもとに、最適な事業の選択を可能とする行政評価システムを中心に、予算システム、目標管理システム、人事システムが相互に連携し合い、人、物、金、情報といった経営資源が有効に活用される仕組みをつくり上げるため、平成16年度から20年度までの5ヶ年を対象とした行政経営改革の計画を策定してまいります。

御質問の財源不足対策としての具体的な数値を含めた計画につきましては、行政経営改革を積極的に進めることとあわせまして新年度において策定してまいります。こうした行財政の改善に向けた取り組みと行政を経営するという視点に立った構造的改革と相まって相乗的な効果が期待できるものであり、順次具体化を図ってまいります。

■意見・要望
確かに、減量経営的手法に頼るだけでは限界があります。しっかりと行政経営改革の計画の策定に取り組んでいただきたいと思います。
しかし、それと同時に、平成16年度で基金の残高をほとんど使い尽くす計算になります。平成17年度には予算を組めない状況に陥ることも危惧されていることは変わりありません。これまでは、具体的な数値目標があってこそ、現在まで赤字団体に陥ることなく、苦しいとはいえ、何とか運営ができていることも事実です。新たな行政経営改革を策定すると同時に、赤字団体に転落という危惧を払拭する必要性があり、市民に対して具体的な数値でもってお示しいただきたいと思い質問しました。

=====本会議場での議論の概要=====

ようやく、市長から「財源不足対策としての具体的な数値を含めた計画を、行政経営改革とあわせて新年度において策定する」との回答を得ました。大きな前進です。

財源不足対策については、次のコラムに続きます。

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