財源不足対策と行政経営改革

2005年7月1日[カテゴリ:財政・財政改革, 質問

前回のコラムの続きです。

=====本会議場での議論の概要=====

平成15年12月議会一般質問

1.第3次行財政改善実施計画について
イ)近年の財源不足対策
■質問の背景

(現在市が策定しようとしている)新たな行政経営改革では、ここ1年、2年の大幅な行財政改善は望めないのではと考え、近年の単年度収支についても質問させて頂きます。

先ほども述べましたが、6月の一般質問で第2次行財政改善実施計画の引き続きとしての行財政改善計画を策定し、平成16年度から基金の取り崩し額を減らすための計画を早急に策定しなければならないのではと指摘したつもりでしたが、伝わっていなかったことを残念に思います。

平成16年度の予算編成方針が10月31日付で市長より各所属長に通知されておりますが、9月議会での御答弁どおり、歳入では、市税収入は伸びず、地方交付税と臨時財政対策債は15年度の実績額が当初予算額を5億円も下回っており、歳出面では、公債費(借金の返済額)が一般会計ベースで264億円とピークを迎え、人口増による保育所待機児童の解消や高齢化社会における扶助費等の増加などにより、収支不足は解消できず、基金残高も減少し、赤字団体への転落が危惧される深刻な状況が続いていると言っています。

■質問1
9月議会でも、起債や基金の取り崩しに頼ることなくもっと内部努力をするようにと指摘があり、実際に予算編成作業段階に入った現在、16年度の財政収支見通しをどのように見込んでいるか、再度お聞かせください。

■質問1に対する市の回答
まず、平成16年度における現時点での財政収支見込みですが、歳入の根幹である市税収入は、個人所得の落ち込みなどによりまして、前年度、つまり本年度の予算額ですが、779億円を確保することが困難な状況でして、地方交付税も7億円減少する見込みです。13年度から3ヶ年の時限措置とされておりました臨時財政対策債は、財務、総務両省の協議によりまして、3ヶ年の延長が決まっておりますが、地方の財源不足対策がない限り、減少するものと考えております。

一方、歳出におきましては、公債費が一般財源ベースで償還のピークを迎えますし、人口増に伴います保育所待機児童の解消や高齢化の進展によります扶助費の増嵩、電子自治体に向けた情報化施策経費の増大などによりまして、歳出全体では増額になるものと見込んでおります。このような歳入、歳出の見通しから考え合わせますと、平成16年度の財政収支の見込みは、前年度が55億円の財源不足であったのと同様に、大幅な財源不足が予測されます。したがいまして、残っております財政基金や減債基金35億円を全額取り崩し、さらに土地開発基金の現金部分31億円の一部も取り崩すことによりまして、収支不足を補う措置が必要である、このように考えております。

なお、国では、三位一体の改革において、国庫補助負担金の1兆円の削減、それから、地方への税源移譲や地方交付税の見直しが検討されております。その動向によっては、本市の予算、収支見込みに相当の影響を及ぼし、財政計画の見直し、修正も必要となってまいります。

■質問の背景
昨年12月に財政当局が策定した「西宮市の財政を考える(Ⅴ)」の中で、平成20年度までの財政収支見込みが試算されています。そこでは、平成20年度までの財源不足額を272億円と見込み、第2次行財政改善実施計画が計画額を大幅に上回って達成されたにもかかわらず、引き続き厳しい財政状況が続くと予想されていることも、さきに述べたとおりです。

■質問2
その策定から1年がたち、財政計画については、毎年前年度の決算が確定し、12月補正予算が策定された時期に修正、見直し作業を行うと聞いておりますが、その進捗状況はどのようになっているのか、また、現段階において、平成20年度までの財源不足額はどのように見込んでおられるのか、その対策とあわせてお聞かせください。

■質問2に対する市の回答
この12月において平成14年度の決算が確定し、12月補正予算案を上程申し上げておりますので、現在見直し作業に取り組んでおりますが、人件費の給与改定、減額分が確定します12月末には作業を完了致しまして、16年1月には修正後の財政計画を公表させて頂く予定でございます。
昨年12月に策定致しました財政計画では、平成20年度までの財源不足額を272億円と見込んでおりましたが、修正後の財政計画ではこの272億円を若干下回るものと予測致しております。また、財源不足額の縮減対策につきましては、新たな行政経営改革を積極的に進めることとあわせまして、具体的な数値を含めた計画を新年度中に策定してまいります。

■田中の意見・要望
財源不足の解消計画についても、新年度において策定して頂けると御答弁頂きました。しかし、簡単にできる作業ではありません。それは、今回の質問に関していろいろ調査するにあたって実感致しました。昨日も指摘がありましたが、企画部門の強化が必要ではないかと思います。形式的な意見を聞く場を設けている時間はない状態であることも認識して頂きたいと思います。そしてまた、新たな行政経営改革の計画を策定するにあたって、よりスピードアップを図って頂けるような人員配置、人員の強化を行うと同時に、財源不足対策の解消計画を策定するにも、それなりの組織や人事、体制づくりも必要となってまいりますので、来年4月の人事異動、組織改正の際には、そういった計画を策定する部署もできるものと理解しております。
よろしくお願い致します。

=====本会議場での議論の概要=====

この時の西宮市の回答では、平成20年度までの財源不足額が「272億円を若干下回る」と見込まれていましたが、実際には下回るどころか、「321億円も不足」すると試算されました。

そして、財源不足対策が必要と認め、第2次行財政改善実施計画が終了してから1年の空白を作り、平成17年2月に「第3次行財政改善実施計画」が策定され取り組まれることになったのです。

次からは、具体的な財源確保の方法に関する議論になります。

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