未来を見据えた財政運営②-ふるさと納税

2019年6月16日[カテゴリ:財政・財政改革, 質問

前回コラムの続きとなります。
平成31年3月議会代表質問では、「未来を見据えた財政運営」の項目の中で、ふるさと納税の課題解消に向けて議論しました。

ふるさと納税は国民の意志で寄付先が決められる制度です。
これまでは、返礼品の魅力で選ばれていた傾向が指摘されてきました。
これからは、「寄付の使いみちの魅力」、「寄付先の自治体に対する愛着」など、まちづくりの魅力で選ばれる制度となると見込んでいます。

つまり、ふるさと納税による収入の多寡が、自治体の魅力を図る指標になりうると考えています。

西宮市が、より多くの国民、特に西宮出身の方を始め西宮に関わりあった方に、西宮のまちづくりを応援しようと思って頂けるよう、力を入れて取り組むべき政策であると考え、市長及び市に対して考えを問いました。

=====本会議場での議論の概要=====

平成31年3月議会代表質問より

2.未来を見据えた財政運営について
(ふるさと納税について)
■質問の背景
 資料の表3のとおり、ふるさと納税による市民税への影響額は9億円近くマイナスとなり、こちらも看過できない状況となっています。特に市外に住んでいる方のふるさと納税の増額に向けて対策を急ぐ必要があります。

■質問1
 総務省の方針では新年度に返礼品合戦には終止符が打たれる見込みではございますが、昨年度の市民税影響額のうち、寄附先の返礼品が寄附額の3割を超えるもしくは地場産品ではない地方公共団体への寄附、及び本市への寄附額がどの程度含まれているのか、お尋ね致します。
 また、昨年度の市民税影響額を鑑みますと対応を強化する必要があると考えますが、市の新年度の取り組みをあわせてお尋ね致します。

■質問1に対する市の回答
 ふるさと納税についての市民税の課税事務は、寄附金税額控除額を算出した税額から控除することでございます。また、寄附先の自治体の把握につきましては、課税上特に必要がないこと、及び非常に煩雑であることから、行ってはおりません。これらのことから、寄附先の返礼品が寄附額の3割を超えるもしくは地場産品ではない自治体への寄附が市民税影響額のどの程度を占めているかについての把握は困難な状況でございます。

 また、影響額のうち本市への寄附額がどの程度含まれるかにつきましても、課税面からは把握しておりませんが、平成29年度のふるさと納税受け入れ額約5,000万円のうち市民からの寄附は1,000万円程度であったことから、市民税への影響額は1,000万円程度ではないかと推測をしているところでございます。
 
 今後、本市への寄附を伸ばしていくためには、魅力的なプロジェクトを提示して寄附を募る、返礼品を充実させる、広報にも経費をかけるといった手段が考えられます。
 本市がふるさと納税返礼品の対象として提示している事業は、福祉、教育、まちづくりなど幅広い分野を対象とはしておりますが、アピール力に欠けるといった課題があることも認識をしております。このため、国の税制改正の動向にも留意しながら、魅力的なプロジェクトを提示するなどの寄附目的の充実のほか、返礼品の充実、広報の強化に総合的に取り組んでまいりたいと考えております。

■質問2
 これまで政新会が提案してきた「地域活動を応援するための地域別基金の創設」や、内閣府が実施している子供の未来応援基金と連携し、子供食堂や学習支援事業など、子供の貧困対策、児童福祉の取り組みを支援するための西宮版の応援基金を創設するなど、ふるさと納税のメニューをさらに細分化して内容の充実を図るべきと考えますが、市の見解をお尋ね致します。

■質問2に対する回答
 次に、議員御提案のように、寄附メニューを具体化することは、寄附していただきやすい環境づくりに有効であると考えておりますので、魅力的なプロジェクトを創設できるよう検討してまいります。
 御提案頂いております地域活動を応援するための基金や、子供の貧困対策、子供の未来応援基金と連携した西宮版基金の創設につきましては、本市において導入する場合の課題もございます。
 このような分野のほかに、本市の特色の一つである大学が多く立地していることなどに関連して、新たなメニューを検討できないかと考えているところでございます。このような新たな寄附メニューを柔軟に提示していくためにも、既存の基金条例の内容をより幅広い目的に対応できるよう改正することや、新たにふるさと納税のための基金を設置することにつきまして検討してまいります。

■質問3
 今後は、市内の学校の卒業生や市外在住で市内の企業に勤務されている方々に対して、ふるさと納税のメニューを広報する方法を検討すべきと考えますが、市外在住の方からの寄附額を向上する取り組みの検討状況をお尋ねいたします。

■質問3に対する市の回答
 ふるさと納税の広報につきましては、市と致しましても力を入れていきたいと考えているところでございます。市内の大学や高校の卒業生や、市外在住で市内企業に勤務されている方々への広報につきまして、学校や企業の御協力をいただけるかどうか、検討してまいります。また、寄附を呼びかけるための魅力的なプロジェクトの提示や広報パンフレット等の作成についても検討をしてまいります。

=====本会議場での議論の概要=====

質問1に対する回答は、これまでの市は、ふるさと納税による市民税への影響に関する分析がほとんどなされていなかったことが露呈した内容でした。

質問2については、「子供食堂の設置のために必要な資金を支援したいので、寄付できる先を教えてもらえないか。」というご相談や市民の声をヒントにして、寄付の使途の細分化・具体化を提案しました。

プロジェクトチームを結成して、市役所の縦割りを廃し、ふるさと納税に関する戦略を練って増収を図るべきです。
今後も、ふるさと納税の動向を注視してまいります。

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