未来を見据えた財政運営③-人口ビジョン・総合戦略のゆくえ

2019年6月18日[カテゴリ:財政・財政改革, 質問

 国の法律制定の動きに伴い、平成27年度に西宮版人口ビジョン・総合戦略が策定されました。しかし、その戦略効果や結果について検証されていないなかで、平成31年度から始まる第5次総合計画に統合するという方針が示されています。

 私は、平成24年12月議会一般質問平成25年12月議会一般質問において、将来の人口ビジョン、人口の将来展望に基づいた政策を推進する必要性を指摘してきました。
 また、平成27年6月議会一般質問(←クリックするとコラム「地方版人口ビジョンの策定について」が開きます。)では、地方版人口ビジョン策定の意義についても議論してきた経緯があります。

 西宮市総合計画と、人口ビジョン・総合戦略の役割は、似て非なるものです。また、人口の大きな増減は、将来の財政運営にも大きく影響することになると考えています。そこで、西宮版人口ビジョン・総合戦略を総合計画に統合するのではなく単独で改定し、未来を見据えた政策推進を続けることで堅実な財政運営を可能にしていくべきという観点から、市長の平成31年度施政方針に対する代表質問で取り上げて質問しました。

====本会議場での議論の概要====

平成31年3月議会代表質問より

2.未来を見据えた財政運営について
(西宮版人口ビジョン・総合戦略の改定について)
■質問の背景

 人口減少は、財政にも大きな影響を及ぼすと考えられます。また、資料にも示しましたが、塩瀬地域、山口地域、この北部地域は、今後大きく人口が減少すると推測されており、対策が急がれます。

■質問1(田中まさたけ)
 塩瀬・山口地域における人口減少に対して今後どのような対策を講じるご予定なのかお尋ね致します。

■質問1に対する市の回答
 まず、塩瀬・山口地域については人口減少傾向が全市に先駆けて進んでいると考えられることから、このような地域への対策は、南部の人口集中地域における施策とは分けて考える必要があると認識しております。塩瀬・山口地域が人口減少傾向の中でも地域の活力を維持していくため、国道176号名塩道路の早期全線整備の促進や、都市計画道路丸山線の整備とあわせた周辺まちづくり、地域主体のコミュニティ交通の導入支援のほか、豊かな自然環境が身近にある良好な住環境や、神戸市または宝塚市と一体的に捉えた生活利便性をPRするなど、地域の魅力や活力を高める施策を幅広く検討し実施してまいります。

■質問2(田中まさたけ)
 人口減少対策、地方創生の取り組みを計画した現在の西宮版人口ビジョン・総合戦略は、新年度が計画期間の最終年度となっております。地域によって事情が異なることから、現在のものを改定し、地域別に人口減少対策や地方創生の取り組みを強化する必要があると考えますが、市の見解をお尋ね致します。

■質問2に対する市の回答
 今定例会に提案させていただいている第5次西宮市総合計画では、平成28年3月の人口ビジョン・総合戦略に掲げた考え方や施策を引き継いで盛り込むとともに、総合戦略を進める中で得た経験を踏まえた新たな施策も加えるなど、西宮版総合戦略に基づく取り組みを第5次総合計画アクションプラン及び地域別アウトラインに統合・一体化し、平成32年度以降は第5次総合計画のもとで地方創生の取り組みを進めていこうと整理しております。

 一方で、全国的な少子高齢化の進行により、本市においても、他自治体と同様に、自然動態、社会動態ともにマイナスとなる傾向も見えてきております。今後、本市も人口が減少することは避けられないと考えておりますが、人口はまちの活力でもあります。定住人口だけでなく、昼間人口の活性化も視野に入れながら、中枢・中核都市として魅力あるまちづくりを検討する必要があると考えております。

 したがいまして、第5次総合計画の中に引き継ぎました総合戦略に関する取り組みなどを人口減少社会への対応戦略として再構成し、中枢・中核都市としての取り組みも加えるなどにより、まち・ひと・しごと創生法に基づく総合戦略として取りまとめることについても検討してまいります。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 自治体は市民のためにあり、市民の状況に応じた政策が求められるのは当然のことであり、私は、高度経済成長、人口増加の時代とは異なり、人口政策の重要性が増しているとの考えに変わりありません。今回の代表質問に対する回答では、「総合戦略として取りまとめることについても検討する」との回答を得ましたが、人口ビジョンについては消え去る恐れがあり、市民とのイメージの共有も難しくなる可能性があります。
 
 今のまま人口政策をおざなりにしていると、急激な人口減少社会、高齢化社会に対応できなくなってしまい、多くの負の遺産を将来世代に残してしまうことになることを心配しています。

 諦めずに、今後も訴えていかなくてはなりません。
 

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