地方版人口ビジョンの策定についてー平成27年6月議会一般質問

2015年9月3日[カテゴリ:市役所改革, 質問

地方版人口ビジョン
 各地方公共団体における人口の現状を分析して、人口に関する地域住民の認識を共有し、今後目指すべき将来の方向と人口の将来展望を提示するもの。
 
 私は、少子化に歯止めがかからない中、平成24年12月議会平成25年12月議会(←それぞれクリックするとコラムが開きます。)において、長期的な人口推計に基づいて全ての政策の前提となるような少子高齢化社会における将来ビジョンが必要であることを指摘してまいりました。

 そして、国では、少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、平成26年11月に「まち・ひと・しごと創生法」が成立し公布されました。

 この法律で、地方版人口ビジョンに基づいた地方版総合戦略を策定することが努力義務として規定され、西宮市においても、人口ビジョンとそのビジョンを達成するための総合戦略を策定することとなりました。

 そこで、平成27年6月議会において、人口ビジョンの概要と今後の政策推進上の活用について議論しました。

====本会議場での議論の概要====

平成27年6月議会一般質問

1.人口ビジョンと少子化対策について
(策定予定の人口ビジョンの概要)
■質問の背景(田中まさたけの説明)

 国会におきまして、昨年11月に、まち・ひと・しごと創生法が成立し、地方公共団体でも、地方人口ビジョンと地方版総合戦略(以後「総合戦略」と呼びます。)この二つが策定されることになりました。
 私は、以前より、長期的な人口推計に基づいて全ての政策の前提となるような少子高齢化社会における将来ビジョンが必要であることを指摘してまいりました。これは、今後の高齢者福祉政策のみならず、特に箱物に関する政策、道路などインフラ整備に大きく影響すると考えたからです。

 そして、平成24年12月及び平成25年12月議会での一般質問におきまして、本日も用いましたが、国立社会保障・人口問題研究所が公表している2040年までの西宮市の人口推計を見ながら、兵庫県が策定している少子高齢社会福祉ビジョンを例に挙げて、事態の深刻さを市民とも意識を共有するために、2040年の西宮の姿を具体的に明示した上で今後の政策を推進すべきであると提言致しました。
 市のほうからは、平成26年までにビジョンを示し、地域共生のまちづくりを策定する旨の答弁がございましたが、いまだ対応されておらず、誠に残念に思っております。

 西宮市では、震災以降20年間、人口が増え続け、お配りしました資料の表1のとおり、現在では子育て世代と呼ばれる40歳から44歳の人口が飛び抜けて多くなっているのがわかります。しかし、表2に示しましたとおり、平成18年度をピークに就学前児童数は減少を始め、表3のとおり、出生者数も、平成19年以降、減少の一途をたどっております。そして、今後さらに、裏面の表4のとおり、2040年までに、15歳から49歳の男性は約20%、女性は約25%も減少すると計算されています。
 
 こうした状況を鑑みると、今回策定する人口ビジョンを単に総合戦略を策定するためだけに策定するという場当たり的な取り組みとすべきではありません。市の全ての計画や政策の前提となる考え方を示すべきであり、その意思を持って市は全力を挙げて取り組むべきと考えます。

■質問1(田中まさたけ)
 今回策定される地方人口ビジョンの大まかな内容及びスケジュールをお尋ね致します。

■質問1に対する市長の回答
 現在、本市でも、まち・ひと・しごと創生法に基づく西宮版人口ビジョン及び総合戦略の策定に取り組んでおります。人口ビジョンにおいては、人口の現状分析をお示しした上で、国の長期ビジョンの期間、つまり2060年までの期間を対象に、人口の将来展望をお示しする予定です。平成25年3月に国立社会保障・人口問題研究所による2040年までの本市の人口推計は公表されてはおりますが、当該推計や近年の人口動向、また、出生率や出生数などの出生に関する仮定や、転入、転出などの移動に関する仮定を設定しての検討の上、目指すべき将来の方向性を提示するとともに、将来展望を作成することを予定しております。
 また、スケジュールと致しましては、秋に素案をお示しした上で、総合戦略とともに年度内の完成を予定しております。

(地域別人口ビジョンの策定)
■質問の背景(田中まさたけの説明)

 本市には、都市計画マスタープランを初め、子ども・子育て支援事業計画、そして、高齢者福祉計画、介護保険事業計画など、地域特性に応じた政策推進が必要な計画が幾つかございます。

■質問5(田中まさたけ)
 今回の人口ビジョンの策定に当たって、支所単位程度のブロックごとに人口ビジョンを策定し、地域の特性に応じた政策が推進できる市政運営を目指すべきと考えますが、市の見解をお尋ね致します。

■質問5に対する市長の回答
 ブロックごとの人口ビジョンの策定についてお答え致します。
 本市には多様な地域特性があることから、人口ビジョン作成にあたっては、支所単位などの地域別の分析に取り組んでおるところでございます。一方で、地域ごとの具体的な施策の検討においては、さらに当該地区における土地利用状況の変化予測など個別的な要素を加味した短期的な推計が必要な場合も想定されることから、引き続き庁内各部門の連携に留意して取り組んでまいります。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 自治体は市民のためにあり、市民の状況に応じた政策が求められるのは当然のことであり、私は、高度経済成長、人口増加の時代とは異なり、人口政策の重要性が増していることをここ数年実感しています。

 地方分権時代に突入して15年が経過したにもかかわらず、国の法律制定をきっかけにようやく重い腰を上げた西宮市を見えいますと、この取り組みを、単に、
・国に人口ビジョンを策定するように求められたから策定する
・総合戦略を策定するために人口ビジョンを策定する
といった高度経済成長時代のお役所仕事の(やらされているという)姿勢で臨んでいては、時間とコストの無駄にもなり、現在実施している政策は時代の変化に対応できなくなり、気が付いた時には「住みにくいまち」に成り下がってしまうことを危惧しています。ですので、一般質問で取り上げて議論したわけです。

 人口ビジョンと総合戦略の策定に取り組もうとしている現在、ようやく入口まで到着したとは考えています。そして、西宮市が住みたい街として選ばれる街であり続けられるか、住みにくい街=選ばれない街への衰退の道に進んでしまうのか、その岐路に立っていると感じています。

 さらに、個別の計画への反映について、議論は続きますので、次回以降のコラムに掲載します。

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