学校評価についてー平成18年6月議会一般質問

2006年10月12日[カテゴリ:学校教育, 質問

 学校は閉鎖的であると感じています。
 全ての子供を預かって教育する施設でありながら、その中で何が行われているのか、私たち一般の市民が知ることはなかなかできません。

 保護者であれば子供から様子が多少は聞けますが、親の関心ごとの視点であれやこれや聞くのもどうかと思います。

 そこで、導入されつつある「学校評価」の取組みに着目したのですが、「評価」と名付けられているので、学校からすると「善し悪し」が評価されると受け取って消極的になっているのではないかと感じています。

 私は、学校評価によって、もちろん改善すべきところは改善しなければなりませんが、まずは、学校でどのようなことが行われているのか、情報を開示することで、説明責任を果たすことが今は第一義ではないかと考えています。

 そこで、平成18年6月議会一般質問において、西宮市の公立学校における学校評価の取組みの現状を取り上げ、議論しました。

 以下、「本会議場での議論の概要」は、議場で資料を持って説明しているのでかなり分かりづらくなっています。ですので、この部分は流し読みして頂いて、最後の部分をご覧頂けましたら幸いです。

====本会議場での議論の概要====

平成18年6月議会一般質問

1.全小・中学校における学校評価の実施と公表に向けた取り組みについて
■質問の背景

 これまでも平成14年以来、この本会議において幾度か学校評価に関する議論が行われています。
そして、平成16年4月には兵庫県教育委員会が「学校評価ガイドブック」を策定し、本年(平成18年)3月には文部科学省から「義務教育諸学校における学校評価ガイドライン」が示され、学校評価の完全実施が急がれているところです。
 
 本市が毎年作成して公表している「教育推進の方向」でも、「学校園経営」の項目で、本年度の重点として、「学校評価を有効に活用し、『信頼される学校園づくり』を推進する」と目標を掲げられています。
 また、議会での教育に関する議論も、学校教育の実情や課題を明確にしていかなければ、漠然とした議論になりがちです。各学校園が特色ある教育を展開している現在ではなおさらです。
 学校評価も徐々には浸透してきている様子ですが、そのペースを上げるためにも、義務教育である小・中学校における学校評価について提言をしたいと思います。

 今年度の「教育推進の方向」の中では、具体的に「評価の観点」を挙げており、「学校園経営」の項目では、例えば「評価活動(PDCA)に基づいた学校改善が行われているか」とか、「保護者や地域社会に、学校園経営方針等を説明しているか」とか、「外部評価や学校評議員制度等を活用し、外からの声を学校園経営に反映しているか」といった評価項目を挙げています。
 
ここでまず、今後、有効な学校評価を行うために目指すべき学校マネジメントの仕組みをイメージ図で示しました。お手元の資料(←クリックするとPDFが開きますので、ご覧頂いてから以下をお読みください。)をご覧ください。

 こちらの方には、計画、実行、評価、改善、いわゆるPDCAのマネジメントサイクルを示しました。

 まず、計画の策定です。ここは、校長のリーダーシップが発揮されることが望ましいと思われます。

 その後、実行、そして、実行した結果の自己評価、その場面、場面で保護者等に、学校だよりやもう少し詳しい資料で説明、報告されていることが望ましい状態だと思います。
 そして、資料には「具体的計画」と示しましたが、当然、教育重点の項目と教科ごと、それが学年別に示されなければなりません。
 これらを保護者も知ることによって、家庭での教育の参考、目安にもなると考えられます。

 そして、学校評議員制度については現在、学校評議員の役割は、校長の諮問機関となっている様子です。しかし、ここでのやりとりは公表していない学校が多いと思われます。

 学校の自己評価はより具体的であるべきであり、そうでなければ保護者にも伝わりません。
 
 また、それを保護者に伝えることによって、家庭での学習等を補うことも可能となってくると思われます。そして、「保護者・PTA・地域・学校評議員」と、「学校評議員」を分けて掲載しましたが、こちらの組織、例えば協議会のような組織をつくるのも一つ手だとは思います。これは、外部に対して、自己評価の結果を説明できる機会を設けるべきと考えて示しました。
 その際に、当然、保護者等から意見が出てくると思います。もちろんそれを一つ一つ安易に取り入れることが可能かというと、そうではないと思いますが、参考になる意見も当然出てくると想定されますので、ここがまた重要になってくるということになります。

 そして最後に、こちら、下の方に書きましたが、「教育委員会」が、このマネジメントシステムを支えるという役目を果たすべきであり、「教育推進の方向」で示すのみではなく、各学校から集めた評価に対して意見や指導を行うべきであると考え、こうしたイメージ図を作成しました。
 
 その中で、例えば、
・教育の重点をどの項目に置いて、そのために何をするのか、
・自己評価の結果を伝える手段として、説明会形式をとるのか、それとも特定の人たちで協議会形式をとるのか、または資料を配布するのみなのか、
・校内でのマネジメント組織の体制をどう組んでいくのか、
・計画に対する評価の指標をどう具体化していくか、表現していくのか、

 こうした中身の設定については、各学校園でそれぞれ地域の実情等にも合わせていかないといけませんし、これまで特色ある取り組みをされている学校もございますので、それらに合わせた設計をしてもらわなければなりません。
 よって、細部まで縛ることなく、こうしたモデルのようなものを教育委員会が示して後方支援を行うべきと考えています。

■質問1(田中まさたけ)
 次の3点の観点からお答えいただきたいと思います。
①校内の組織体制、先ほど説明したような学校マネジメントシステムの整備は進んでいるのかといった観点。
②校外の組織体制、自己評価を説明できる機会が設けられているのかという観点。
③評価の視点。
「教育推進の方向」によると、学校園経営、研究・研修、総合的な学習の時間、学習指導、道徳教育など18項目も設けて、目標と評価の観点が示されています。それを各学校が、学校評議員などからの意見を参考にして、まずそれを校長が、職員と一緒になって選択して具体化する。そしてそれが、学年別、教科別の視点によって具体的な目標、計画が立てられているか、そういったことを評価できているのか。

 以上三つの観点から、小・中学校における学校評価導入の進捗状況をお聞かせいただきたいと思います。

■質問1に対する教育委員会の回答
 平成14年4月に小学校設置基準及び中学校設置基準の制定等が施行され、各学校には自己評価の実施とその結果の公表に努めることが求められました。御指摘のように、学校評価は、学校園がみずからの教育活動を自律的、継続的に改善していくためのものです。また、学校が保護者、地域に対して日々の教育活動の説明責任を果たすためにも重要であります。

 まず、最初の御質問にありました、学校体制等は整備されているのか、外部への説明機会、また各項目についての評価等はどのようになされているのか、そのことについて 先ほど配付いただきました質問資料をもとに説明をさせていただきます。

 「教育目標・学校経営計画」というところがPとしてございますが、まず、学校長がその年度の学校経営の方針を策定し、それを職員に提示、学校によって異なりますけども、運営委員会であるとか研究推進委員会等の中で検討をして、その年度の研究推進の方向を年度当初に策定致します。
 その研究推進の方向の中では、校長の経営方針だけではなく、研究の方向、学年、教科、道徳、学級活動、諸々の領域における目標及びその目標を達成するための具体策等を推進の方向に記載するようにしております。
 
 それに基づいて1年間の教育活動にあたるわけですけども、年度途中における「教育活動・進行管理」とありますが、これらの子供たちの学校での様子につきましては、学校だより等で随時報告をさせていただいております。
 それから、「学校自己評価」ということがございますけども、多くの学校においては、夏休みを中心に行います中間評価、3月等に行います年度末評価、2回の自己評価を多くの学校が取り組んでおります。
 ここで自己評価をしますのは、先ほど触れました年度当初に策定しました各領域における目標及び具体策、そのことが実践されているかどうか、その各項目ごとにチェックをするものです。
 
 なお、多くは、外部評価につきましては大体10月、11月、この時期にやっている学校が多いのではないかというふうに思われます。
 それらの評価等を受けまして、その1年間の推進の方向に対する達成度がどうであったかというものを確認するために、ほとんどの学校におきましては、3月に1年間を振り返ります年度末の研究会を行っております。
 その場で当初に示した具体策がどの程度達成できたのか、そのあたりのことを検討し、そして、それらをもとにして、年度末から4月当初にかけて、次年度の教育目標等をまた設定していく、こういう流れで行っております。

 また、外部の方につきましては、例えば地域の青愛協(青少年愛護協議会)、PTAの校内におけるいろいろな会合、それから学校評議員会等で説明している学校多いかと思います。また、学校だよりであるとかホームページ等に記載している学校ございます。
 
 なお、3点目の各項目ということにつきましては、先ほど触れましたように、自己評価の中で各項目ごとにチェックを行い、その結果について次年度に生かせるように活用しているところでございます。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

教育委員会の回答をご覧頂くと、
「多くの学校が~」
「~している学校も多い」
「~している学校もある」

 つまり、「していない学校もある。」「ほとんどの学校はしていない。」と理解できます。
 しかも、「多いのではないかというふうに思われます。」との回答は、教育委員会が各学校の情報をまとめられていないことを示唆しています。

 こうした「あいまいさ」が問題であり、もちろん全ての学校で「説明責任を果たせる学校評価」が行われている必要はありますが、現状では、教育委員会が議場において、「○校で実施している」「できていない学校での課題は○○である。」と、具体的に回答されないところに問題点があると考えています。

議論の続きは、次のコラムに続きます。

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