商工政策と税収分析の必要性ー平成18年3月議会一般質問

2006年7月21日[カテゴリ:財政・財政改革, 質問

 市が実施している商工政策や産業振興、農業振興など様々な政策がどのような効果をあげているのか客観的に分析するようにするとともに、行財政改善の観点からもそうですが、市内企業や市民生活の観点からも、税収の確保につながるような政策を推進しなければもったいないと考え、平成18年3月議会一般質問では、商工政策等が及ぼす効果の検証について取り上げました。

====本会議場での議論の概要====

平成18年3月議会一般質問

3.市税について
イ)商工施策が及ぼす市税への影響分析
■質問の背景(田中まさたけ)

 個人市民税、法人市民税の均等割を除いた所得割や法人税割に関しては、儲かった分の一部を公共の福祉の向上のために支払う税であると私は理解しています。
 既存の税の枠組みの中で、単に税率を上げることで税収の向上を図ることは理解が得られないでしょう。そこで、市としては、商工政策を積極的に展開して、法人、個人を問わず市民に儲けて頂いて、その一部を税として納めていただいて、市民の福祉の向上に充てるのが本来の役割であるはずです。

 現在、産業振興計画と農業振興計画の策定作業が行われています。そうした計画の中での取り組みを初めとした各種施策は、短期的な目標としては各事業で設定されていると思いますが、中期的な目標はどれだけ活性化したかであり、最終的には税に還元されることが期待されます。
 また、どれだけ活性化したかということを数値的に把握することは大変困難であります。商工施策がどれだけの雇用を生み、もしくは雇用を確保し、事業者がどれだけ売り上げを伸ばしたかが重要であり、これらを法人市民税や事業所税の推移を分析することで、効果を把握しながら商工施策を展開する必要があると私は考えます。

 お手元の資料(←クリックするとPDFファイルが開きます。)で、現在行っている商工施策と市税のうち、割合としては全体の7%しかありませんけれども、法人市民税、事業所税の推移を掲載させていただきましたので、ご覧頂ければと思います。
 
■質問(田中まさたけ)
 産業別の税収や各商工施策の対象となる業界別の税収分析を行い、商工施策の評価や今後の戦略の策定を行うべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。

■市の回答
 バブル崩壊後の経済不況が続く中、全国的にも、また本市におきましても、産業活動の低下傾向が長らく続いております。最近ようやく明るい兆しが見えてきたと言われますが、景気が好転してきたとの実感はまだまだ感じられない状況でございます。
 国からの権限移譲、地方分権の流れが進む中で、本市がこれまで築いてきたすぐれた住環境、生活環境を維持向上させていくには、産業の活性化による確固たる財政基盤の上に立った都市の運営が必要であり、そのためには、法人・個人市民税を初めとする各種の税財源の確保は大切なことだと認識しております。

 各種商工施策の成果を検証する尺度の一つとして法人市民税の推移を分析してはどうかとの御提案でございますが、本市の税務担当では、法人等の設立や事務所の設置、異動等の申告書に記載されております事業種目欄などを参考に産業分類を行っております。その分類は、製造業や建設業、卸売業、小売業といった日本標準産業分類のほぼ大分類の区分となっており、申告書等からはこれ以上細かく分類することはできません。

 産業振興の各種施策の正確な分析を行おうとすれば、例えば製造業では、食品製造業とか繊維工業、また木材・木製品製造業といった産業分類の中分類、あるいは業界ということであれば、同じ食料品製造業でも、水産食料品製造業とかパン・菓子製造業、製穀、製粉といった小分類までの詳細なデータが必要となってまいります。
 そのためには、現地調査をするなど各社の業務内容を精査し直し、産業分類の区分を全面的に見直すとともに、税務の行っております分類のシステムの変更なども必要となってまいります。また、分類をより小さくすれば、その中に含まれる1社の比重が高まり、その事業所の占める割合が大きければ大きいほど影響が色濃くあらわれるなどの問題点も考えられますことから、御提案につきましては、既存データをどこまで活用できるのか、また、どのような資料収集を行うことが効果的なのか、関係部局とも協議しながら研究してまいりたいと考えております。

■意見・要望(田中まさたけ)
 税収分析のことで、市民局の経済部の取り組みを想定して質問を致しましたが、もちろん、税務情報の取り扱いや、システムのことなど、いろいろと課題があるのは分かるのですが、商工政策を担っている部として、どういった情報が必要なのかということを税務の方に求められるように、しっかりと考えて頂きたいと思います。
 また、よく言われるのが、市内企業の優先ですが、この取り組みによってどれだけの効果があるのかといったことも客観的に分析する必要も私はあると思います。市内企業の優先ということは、よく言われることですが、実際にどれだけ税収に影響しているのかという議論がされたことはないと思います。

 今回取り上げました食肉センターのこと(←クリックするとコラム「西宮市食肉センターへの指定管理者制度の導入」が開きます。)ですが、こちらも、閉鎖することによって税にも影響を及ぼします。法人市民税のみならず、雇用がなくなれば個人市民税にもかかわってくると思いますので、そうした分析もしながら総合的に判断できるようにしておくべきです。
 
 こうしたことを一つ一つ税務の部署で対応することは困難かと思います。各事業を担っている所管課の方がそういったことを検証するべきであること、そして、検証にあたって税務情報が必要であれば税務の部署にデータ提供を求められるという体制を敷いて頂きたいと思います。要望しておきます。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 今回の市の回答は、できない「理由」というより、やらないための「言い訳」が先行していると感じます。まずはできることからやっていくという姿勢が必要です。

 今後も、行財政改善のための提案を続けてまいります。

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