西宮市食肉センターへの指定管理者制度の導入

2006年7月8日[カテゴリ:財政・財政改革, 質問

 以前のコラム(←クリックするとコラム「食肉センターの運営改善」が開きます。)で掲載しましたが、西宮市食肉センターの運営改善が課題となっています。

 平成15年度に、市職員ではない外部委員で構成される「西宮市食肉センター検討委員会」が設置され、存廃を含めたセンターのあり方が議論されました。

この検討委員会の最終提言は、
①食肉センターが広域的事業であることから、兵庫県への事業移管を強く要請すべき。
②県移管と並行して、平成19年度をめどとして、20年度以降の完全民営化を目指し、運営管理費の節減と使用料の改定が必要。
③19年度末で県への移管、完全民営化、どちらもできない場合は、施設を閉鎖。

という内容でした。
 
 併せて、最終提言の中で、「食肉の安定供給や雇用等、多大な影響があることから、存続が可能となるよう全力を尽くし、また、民営主体の検討並びに使用料や支出削減について市と関係業者の話し合いの場を持つこと」も要望されていました。

 そこで、「存続が可能となるように全力尽くす」という観点から、平成18年3月議会一般質問において、収支改善のために、平成17年の法改正によって民間企業による公の施設の管理が可能となった指定管理者制度(←クリックするとコラム「行政経営改革と財政改革の連携③」が開きます。)を、食肉センターの管理に導入するべきと提案し議論しました。

====本会議場での議論の概要====

平成18年3月議会一般質問

2.今後の指定管理者制度について
■質問の背景(田中まさたけ)

 まずは、指定管理者制度にかかわる外郭団体の改革について、これまで、法改正の中で移行期間が設けられて、2年間の猶予がありながら結局整理ができず、これから2年間で確実に経営改革をはじめとして整理を行うとしています。早期にそのスキームを示してもらいたいことと、くれぐれも対応が先延ばしされることがないよう強く要望しておきます。
 
 来年度からは、直営で管理運営している94の施設に対する指定管理者制度の導入を順次検討していくとのことです。その中で、直近の課題として、存廃問題を抱える西宮市食肉センターについて今回は質問したいと思います。

 こちら、資料にもお示ししておりますが、平成11年度から平成16年度まで、利用者や委託業者など各関係者の協力もありまして、約1億2,700万円の経費削減に成功しています。
 しかし、直営の現状でこのまま収支均衡を図っていくには限界があると思われます。①県への移管、②完全民営化、③廃止、この三つの選択肢が設けられた検討委員会の答申の中で、15年前(移転建替えの時)の協議以降、状況が変化していないということで、県への移管の選択肢はなくなりました。
 
 廃止以外の唯一の選択肢である完全民営化についても、毎年1億円以上も赤字が出るような施設の引き受け先が現れるのか甚だ疑問です。使用料を上げる必要性ももちろんあろうかと思いますが、これもむげに上げれば、市場の流通の関係で解体数が減少することも考えられ、単純に収入が増加しない可能性があるとも聞いています。

 今後、答申を尊重して、平成20年度以降の完全民営化に向けて人件費と公債費を除いて収支均衡を図るために全力を尽くすよう検討委員会の答申では述べられているわけですが、利用者等の協力に依存するだけではなく、市としての努力が必要であり、私はまず、1年でも早く、つまり平成19年4月から指定管理者制度を導入して、さらなる経費削減策を模索する努力が必要だと考えます。そのためには、条例改正等の移行手続の時間が必要ですので、今が検討の時と言えます。

■質問1(田中まさたけ)
平成18年度の経費削減の見込みは一体どうなっているのか、お聞かせ下さい。
 
■質問1に対する市の回答
 食肉センター特別会計の今後の節減見通しについてですが、平成16年度決算においては、公債費を除く管理運営費への一般会計繰入金は約1億2,500万円でございます。17年度においては、委託業務仕様内容の見直し等により約1,500万円の委託契約額を減額致しましたが、重油等の単価上昇による経費増があり、17年度の管理運営費への繰入額は約1億1,000万円余りを見込んでおります。
 18年度については、当初予算案における管理運営費への繰入金は、17年度当初予算に比べて約500万円の減額となっております。

■質問2(田中まさたけ)
 平成19年4月から指定管理者制度を導入することに対する見解をお聞かせ下さい。

■質問2に対する市の回答
 昨年8月の食肉センター運営改善委員会において、市としては、完全民営化を基本方向として、運営管理経費の収支均衡を早期に実現するため、運営管理形態、使用料の改定等について協議し、一体的に合意を図りたい旨、西宮食肉事業協同組合に申し入れを行い、現在協議中でございます。
 今後の協議の中で完全民営化の受け皿や指定管理者制度についても議論することとなると考えております。市としましては、先日にも答弁させていただきましたように、市議会の意見等もお聞きしながら、食肉組合とも協議を行って、平成19年度末までに結論を出すため、鋭意検討してまいります。

■意見(田中まさたけ)
 御答弁の中では、まず、平成18年度の経費節減額を500万円と見込んでいるということですので、これまでの節減、ここ2年間に行った節減に比べるとぐんと下がっています。今の直営の枠組みの中では、平成19年度にはさらに経費削減額が減ることを懸念して、私は今回こうして質問として取り上げております。
 そうした中で、8月に行われた運営改善委員会の議事録を拝見しました。こちらの方で、環境総括室長が、全力を挙げて存続をするという考え方で完全民営化の方向を提案していると利用者に説明しておられます。しかも、廃止よりも存続に主眼を置いているということで、廃止を心配する利用者に対してはこうしてまず発言されてます。局長も、施設を存続させる選択肢として完全民営化を基本方向としたいと発言されてます。ただ、完全民営化を基本方向とするという説明はいいのですが、そのために市が何をするのかというところが問題だと思っています。このまま直営の枠組みで2年間やっていったところで、たいした削減は期待できず、完全民営化もできないと私は思いました。
 
 検討委員会の答申の中で、人件費と公債費を除いた収支均衡を図るために全力を尽くさなければならないとなっています。そうした中で、平成19年度の末に結論を出さないといけないということで御答弁にもあったのですが、その19年度末までに経費削減ができなければ、当然もう無理と。完全民営化などできるわけがないと言いました。
 公債費の償還が終わる平成19年度末が一応結論を出す期限になっています。これらはすべて市の都合です。それは、今は市の施設ですのでいいのですが、市は最大限の努力をしないといけません。
 そして、前まではできなかったのですが、(地方自治法の改正により)民間事業者が施設の管理ができるようになりました。実際に現在、その指定管理者に移行することによって経費削減が図られている例もありますし、今回の定例会でも提案されてる議案の中で、経費削減の額が見込まれています。

 そうしたことを考えると、今の直営の枠組みでできないことが、今度は指定管理者制度でできる可能性がある、たとえ1年でも。もう平成18年はできませんので、平成19年4月からやるべきではないか。となれば、今まさに検討しないといけない。平成19年度末の決断の前にまずそのことを検討しなればいけないではないかということで今回取り上げました。ところが、答弁の中では、繰り返しになりますが、平成19年度末に結論を出すべく鋭意検討していくということでした。何を鋭意検討するのかというのがよくわからない御答弁でした。

■再質問(田中まさたけ)
 先ほどの御答弁の中で、運営管理形態、使用料の改定等について協議しながら完全民営化の受け皿や指定管理者制度について議論するということでありました。今後、平成19年度までに結論を出すために何について鋭意検討するのか、お答えください。
 私は、平成19年度4月から指定管理者制度の導入を検討するのかということを言ってます。もし検討するのであれば、それをいつまでに結論を出すおつもりなのかというところもあわせてお答えください。
 申し訳ないですが、ちょっと時間がございませんので、簡潔にお願いします。できたら助役に御答弁いただきたいのですが、よろしくお願いします。

■再質問に対する市の回答
 経費節減につきましては、従来のようなやり方ではこれ以上大幅な節減は望めないということから、先ほど申し上げましたように、運営改善委員会におきまして運営管理形態、使用料の改定等について協議し、一体的に合意を図りたいというふうにまず申し上げました。それから、何を検討するかという御質問でございますけれども、これにつきましては、19年度末までに食肉センターについて基本的な方針を出すという答申をいただいておりますので、当然市と致しましても、このリミットまでに食肉センターをいかにするかという結論を出すために、先ほども言いましたような例えば指定管理者制度等もその論議の中に当然入ってまいりますが、それも含めまして、最終的な結論を出すために検討していくということでございます。

■西宮市助役の答弁
 基本的には今局長が答弁をしたとおりでございまして、具体的に何をという中身についてはもう少し精査をしなければなりませんが、まだいろいろと検討しなければならない問題としては、使用料の見直しの問題等ございますが、いずれに致しましても、どういうやり方で組合と協議をして、どういうやり方で結論を得ていくかということについては、19年度末までにしばらく時間をかけながら、さらに検討しなければならんというふうに思っております。

■再々質問(田中まさたけ)
 「これからまだ時間をかけて」と助役の御答弁にもありましたけど、時間をかけている場合ではありません。平成19年4月から指定管理者制度をやるのかやらないのかというところをまず検討したらどうかと聞いています。それに対して、それはできないということです、今はっきりとお答えをしていません。そうしましたら逆に、平成19年4月から──要は19年度末に結論を出さないといけないのはわかっています。それを前提として、なぜ平成19年4月から、いわゆる1年前倒しでまず指定管理者に移行できないのか、理由をお答えください。

■再々質問に対する市の回答
 19年の4月から、今の段階ですぐに指定管理者の──暫定的とはいえ、導入するという結論をここに出すことについては、今の段階では出すに至りません。これは、特に組合の方との協議もございますので、今の段階では、検討はですね──そういう検討はしなければならんとは思いますけども、結論を出すには無理というふうに思います。

■意見・要望(田中まさたけ)
 平成19年度末以降の指定管理者を前提としてこれをやってくださいと言っているのではありません。この2年間、とにかく努力しないといけないんです。このまま繰入金を何億円も出してやっていかないといけないのか、その努力の一つとして今回申し上げています。
 平成19年度末に出す結論と平成19年4月から1年間だけでもやるこの結論というのはまた別の話だと思っています。平成19年度の末に最終結論を出すためにまず努力をしたらどうですかと言っています。
 議論が平行線をたどってるので、また予算の特別委員会等もありますので、今回は終わります。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 市民生活に不可欠な事業で、民間ではできない事業は、公共で行うしかないと考えています。食肉センターは人間の食にとって不可欠な施設だからこそ、15年前にわざわざ移転してまで整備するという結論に至ったと理解しています。
 2年後にその移転整備時の借入金の返済が終わるタイミングで、極めて実現困難な完全民営化ができなければ廃止という無責任な検討委員会の提言もどうかと思いますが、その提言を受けての市の取組み姿勢の悠長さも問題であると感じています。
 引き続き、常任委員会等で議論を続けたいと思います。

記事一覧