市税収入の確保ー平成18年3月議会一般質問

2006年7月10日[カテゴリ:財政・財政改革, 質問

目的税
 地方税は、地方税法によって定められています。
「目的税」とは、あらかじめその使い道を特定した上で課税する税金のことです。「普通税」とは、特にその使い道を特定せず、徴収した地方自治体がその自治体の議会の議決を経て使い道を決められる税金のことです。
 市町村の普通税には、市民税や固定資産税、軽自動車税などがあります。
 目的税は、西宮市では、入湯税、都市計画税、事業所税が徴収されます。

西宮市で課税される目的税
 
入湯税(地方税法第701条)
 環境衛生施設、鉱泉源の保護管理施設及び消防施設その他消防活動に必要な施設の整備並びに観光の振興(観光施設の整備を含む。)に要する費用に充てるため、鉱泉浴場における入湯に対し、入湯客に入湯税を課する地方税。

事業所税(地方税法第701条の30~74)
 特定の自治体において、都市環境の整備及び改善に関する事業(以下の項目に該当する事業)に要する費用に充てるため、市内で事業を営む法人または個人に課せられる地方税。
1.道路、都市高速鉄道、駐車場その他の交通施設の整備事業
2.公園、緑地その他の公共空地の整備事業
3.水道、下水道、廃棄物処理施設その他の供給施設又は処理施設の整備事業
4.河川その他の水路の整備事業
5.学校、図書館その他の教育文化施設の整備事業
6.病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設の整備事業
7.公害防止に関する事業
8.防災に関する事業
9.その他、市街地開発事業その他の都市環境の整備及び改善に必要な事業で政令で定めるもの

都市計画税(地方税法702条)
 都市計画法に基づいて行う都市計画事業又は土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業に要する費用に充てるため、毎年1月1日時点で市街化区域内に土地や家屋の所有者に課される地方税。

 平成18年3月議会では、市民から徴収している目的税の使途について取り上げ、議論しました。

====本会議場での議論の概要====

平成18年3月議会一般質問

3.市税について
ア)目的税
■質問1(田中まさたけ)

 現在目的税として、本市では、入湯税、事業所税、都市計画税を課税しています。それらの税収がどの施策に用いられて、どのような成果を上げているのか、不明確な状況にあります。普通税と同様、納税者の理解を得るためには、目的税の活用状況とその成果を明確にしてPRすべきと考えます。まずは、このことについて市の見解をお聞かせください。

■質問1に対する市の回答
 1点目の目的税の使途状況と成果のPRについてです。
 本市では、目的税としまして、入湯税、事業所税、都市計画税を課税致しております。
 
 平成18年度当初予算案におけるこれらの目的税の使途及び充当状況についてでございますが、まず、入湯税は、環境衛生施設、鉱泉源の保護管理施設、消防施設などの設備、観光の振興等に充てられる目的税でございまして、本市では、消防施設等の整備に係る一般財源4,990万円のうち625万円を入湯税で充当致しております。

 次に、事業所税は、都市環境の整備や改善に関する事業に要する費用に充てるために設けられる目的税で、本市では、公園施設整備、学校、教育・文化施設整備、保育所、社会福祉施設等整備に係る一般財源18億5,006万円のうち11億6,945万円を事業所税で充当致しております。
 
 次に、都市計画税は、都市計画法に基づいて行う都市計画事業または土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業に要する費用に充てるため、市街化区域内の土地、家屋の所有者に負担していただくために設けられた目的税で、本市では、街路事業、公園、区画整理、下水建設、市街地開発等の事業に係る136億9,948万円のうちの70億716万円を都市計画税で充当しております。

 これらの目的税のPRにつきましては、税務部の発行しております市税のしおりやチラシ等で周知、PRしているところでありますが、今後は、市政ニュースでのPR及び納付書や事業課におけるパンフレットの中に財源内訳等を可能な限り記載するなど、PRをより一層進めてまいりたいと考えております。

■質問の背景
 本市では、現在、入湯税に関しては、武田尾温泉、鳴尾ウォーターワールドなどが課税対象となっており、一般公衆浴場以外のその他の公衆浴場、いわゆるスーパー銭湯には課税されていません。一方、お隣の尼崎市では、スーパー銭湯にも課税しており、4ヶ所で約5,200万円の税収を上げています。阪神間のほとんどの市で課税対象となっていると聞いています。

 本市の条例では、市税条例第117条で課税の免除の要件を上げておりまして、一般公衆浴場、いわゆる普通の銭湯以外に、「自炊用の簡素な施設、専ら日帰り客の利用に供される施設その他これらに類する施設で、その利用料金が一般の鉱泉浴場における通常の料金に比較して著しく低く定められている施設の浴場に入湯する者で規則で定めるもの」と、例外の規定をしています。しかし、その明確な規定はなく、課税対象から外している理由を、著しく低い料金というのが入泉料1,000円以下という昭和30年代の国の通達を判断基準にしていると聞いています。

 しかし、物価統制令の規制を受けている一般公衆浴場や、武田尾温泉など課税されているその他の公衆浴場がある中で、スーパー銭湯だけが課税も規制も受けていない状況は公平性に欠けると言わざるを得ません。

■質問2(田中まさたけ)
 そこで、著しく低い料金、これを一般公衆浴場の利用料金程度に規定するなどして、スーパー銭湯にも課税し、環境衛生施設等の確保と充実費用に充てるべきと考えますが、見解をお聞かせください。

■市長の回答
 本市の財政につきましては、大変厳しい状況が続いている中で、第3次行財政改善実施計画を策定し、その実施に取り組んでいるところでございます。この計画の中で、自主財源の確保のために、遊休市有地の売却、市税その他収納対策など、各種対策について、その実現に向け努力しておりますが、それ以外についても、財源確保のための方策について検討していく必要がございます。
 御質問の目的税につきましても、課税客体、範囲、税率、手法や他都市の状況を勘案しながら、可能な限り検討してまいりたいと考えております。

■市の回答
 次に、いわゆるスーパー銭湯の課税についてでございますが、公衆浴場法の許可対象になっている浴場には、一般公衆浴場とその他の公衆浴場がございます。その他の公衆浴場のうち、いわゆるスーパー銭湯についての入湯税の課税と新たな目的税の課税の検討についてでございます。

 まず、スーパー銭湯の課税でございますが、入湯税に関しましては、武田尾温泉、鳴尾ウォーターワールドなど市内の4浴場が課税対象となっておりますが、市税条例では、日帰りの利用料が1,000円未満の施設の入湯者は課税免除となっております。このため、本市にある2カ所のスーパー銭湯につきましては、いずれも日帰り利用料が1,000円未満であることから、現在のところ課税免除としております。この件に関する課税状況の他市の状況でございますが、近畿圏におきましては、大阪、和歌山、奈良、京都の各市ではいずれも課税がなされておりません。

 しかしながら、阪神間では、尼崎市、伊丹市、宝塚市の3市にスーパー銭湯があり、3市においては入湯税の課税を実施している状況でございます。このため、本市でも財源確保を図るために課税の方向で検討を進めているところでございます。課税するまでには、現行市税条例の一部をしかるべき時期に改正を行う予定にしております。また、市内のスーパー銭湯の入湯客の多くは市民の方々であると存じますので、課税することにより1人1日75円の新たな負担が生じることになるため、課税についての十分な周知期間が必要であると考えております。
 また、入湯税は目的税でありますので、課税で得た財源の使途につきましても十分に検討する必要があると考えております。

■意見・要望(田中まさたけ)
 現在、行財政改善実施計画を実施し、経費削減を進めています。効果も上げていて、大変努力されておられます。現在は、出費の抑制に主眼が置かれているように思いますので、今回は市税収入について取り上げました。出を抑えるのはもちろん必要ですが、入りの方の分析、行政の取組みによって収入がどうなって、どのようなまちづくりができるようになるのかという分析をしっかりと全庁的に行うよう要望致します。
 また、入湯税に関しては前向きに取り組まれるということですので、検討をお願いしておきます。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 次のコラムに続きます。

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