公立幼稚園の統廃合-平成21年12月議会一般質問

2010年2月9日[カテゴリ:幼児期教育, 質問

 前回コラムの続きで、平成21年12月議会で取り上げました「公立幼稚園の統廃合問題に関する」議論を掲載します。

 ビジョンなき統廃合計画では、理解を得ることは難しいと思います。将来ビジョンを示し、計画的にビジョンで描いた姿に近づけていくことが必要です。

====本会議場での議論の概要====

平成21年12月議会一般質問

1.今後の幼児教育のあり方について
ア)西宮市立幼稚園振興プランの策定を受けて
■質問の背景(田中まさたけ)

 次に、現状では、表6に示しました公私の区別なく現状の幼稚園ニーズの動向が減少傾向にあることが見てとれるわけですけれども、公立の統廃合については、一定やむを得ない方向性であると考えます。

 しかし、そもそもこうしたプランは、10年先の姿を実現するための基本計画的な内容となってしかるべきだと考えます。

 そして、表4に地域ごとの児童数の推計を示しましたが、北部地域を除きまして、少なくとも平成25年までは子供の数が急激に減ることは考えにくいことから、今回の統廃合計画は、クラス数だけを見ると変わりませんので、公立の全体枠は確保されております。
 しかしながら、今回示された閉級の実施時期では、いきなり多くの方に不便を強要することになり、また、廃止される公立幼稚園の近所の私立幼稚園(表5に示しました)が、4歳児からの募集が欠員募集のみとなっている園が多い地区があります。

■質問2(田中まさたけ)
 統廃合の開始時期を延期し、改めて現在ゼロ歳児のお子さんがいる保護者が影響を受けない程度であります平成26年4月からの閉級について、関係者への説明を始めるべきと私は考えます。これは振興プランから3年程度の延期となるわけですけれども、そうした間に、幼児教育のあり方の議論や幼稚園のニーズを見ながら、さらに統廃合の園の数、またクラス数など、プラン全体の検証を行っていくべきと考えますが、市の見解を伺います。

■質問2に対する市の回答
 統廃合を延期し、プラン全体を検証していくべきではとの御質問につきましては、パブリックコメントで寄せられた御意見を集約し、現時点での教育委員会としての考えとともに、本定例会市民文教常任委員会での所管事務調査におきまして御報告することとなっております。
 御質問の統廃合の実施時期につきましては、募集停止までの周知期間や未就園児を持つ御家庭への影響などの課題があると認識しております。また、プラン全体の検証につきましても、今後の児童数の推移や教育環境の変化などの社会情勢も含め、検証を行ってまいります。

■意見・要望(田中まさたけ)
 統廃合は当然、影響が大きい取り組みです。

 振興プランでは、1年半後の平成23年4月からいきなり閉級を始めるという内容になっておりますが、絶対に無理だと思います。突然言われても、保護者の方々は困ると思います。私は壇上でも提案致しましたが、その提案を今すぐに受け入れて欲しいというのは少し言い過ぎかもしれませんが、せめて今生まれている子供たちが影響を受けない程度のスパンで計画を作っていかなければ、影響は大き過ぎると思います。

 市民文教常任委員会でも申しましたが、大社小学校のように、本当に児童数がパンパンになってどうしようもない、だから、もう結が決められているというような状況であれば、これは一定の影響はやむを得ないかとは思いますが、今回はそうではありません。
 ましてや、まだ大幅に子供が減るということは考えにくい状況です。幼児教育の検討もまだされていません。そのような中でこの方向性をいきなり保護者に押しつけるというのは理解が得にくいのではないかと思いますので、財源の確保に向けて御努力されてる姿勢自体は評価しますが、そのやり方、進め方には問題があるのではないかと思いますので、改めて御検討いただきたいと思います。
 
 それと、今日は触れませんでしたが、財政状況が厳しい中で、市立幼稚園はやはりコストがかかり過ぎています。そしてそれを承知の上で市立幼稚園は運営されています。ですので、公立幼稚園で3年保育を実施するなど効率が悪いことは明らかです。3年保育はこれまで私立幼稚園が担ってきたわけですから、3年保育に税金をかけるぐらいであれば、もっと他のニーズに充てられると思いますので、その点も検討していただきたいと思います。

====ここまでが本会議場での議論の概要====
 平成23年4月から閉園される予定の幼稚園もあり、つまり、再来年に子どもを入れたいと思っていた幼稚園が突然なくなってしまうことで全く行き場を失うというのはどう考えても理解を得られないことと思われます。

 やはり、今いる子どもたちが影響を受けない程度のスケジュールで、計画を立てるべきです。

 そして、この本会議での議論よりも、数日後に開催される常任委員会での所管事務報告が優先されるという市役所の慣例に対する違和感は残りますが、「プラン全体の検証につきましても、今後の児童数の推移や教育環境の変化などの社会情勢も含め、検証を行ってまいります。」という回答が示唆する通り、後日の常任委員会において、振興プランが再検討されることが報告されました。

 一度、常任委員会で発表された計画の素案が一部分の修正ではなく、「外部委員に入ってもらった検討の場を設けて抜本的に再検討する」というのは、非常に珍しいことです。これは、パブリックコメントにおいて、約1万5000人の方が約2万3000件もの、非常に多くのご意見を出して頂いたことが大きかったと感じています。

 質問のタイトルにあります、西宮市立幼稚園振興プランの策定を受けて、「幼児教育のあり方」についての議論が続きますので、次のコラムに掲載します。

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