西宮市立学校の感染症対策ー令和3年6月議会一般質問

2021年8月21日[カテゴリ:子育て・教育, 質問

スクールサポートスタッフ
 教職員の負担軽減を図ることで子供たちの学びの保障に注力できる環境を整えるため、感染症対策のために新たに発生した消毒や健康管理等に係る業務、また、保護者への連絡や授業準備など増加が見込まれる事務を補助するために配置された職員の名称です。令和2年度に、文部科学省が緊急的に大規模追加配置を決定しました。
 西宮市では、国の補助金を活用して令和2年6月議会で補正予算が可決し配置されました。職員の採用については、各学校が信頼のできる人材を探してくることになっているそうで、予算措置から実際の配置まで一定の時間を要すると伺っています。 

学びの学習指導員
 ICT機器を活用した授業の支援、授業支援、学習指導補助、課題作成、放課後の補習支援を行うために各校に配置されている職員の名称です。

西宮の教育環境の向上のために

 第5次の感染拡大に伴い、学校の夏休みが終わろうとしている現在、国では学校の一斉臨時休業の実施を否定していますが、これまでの国の対応を踏まえ、自治体としては、国の方針変更を想定してオンライン対応や昼食支援など昨年の経験を踏まえて備えておく必要があると考えています。
 一方で、これまで学校現場では、第2波~4波の期間にあたっても一斉休業することなく、学校での新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、教員を始めとする多くの職員が長期間にわたって奮闘されてきた結果、市内公立学校では大きなクラスターを発生させることはありませんでした。

 スクールサポートスタッフについては、昨年の6月議会(←クリックするとコラム「市立学校における感染症対応③」が開きます。)で議論し、昨年10月以降配置されていました。

 昨年度に引き続いて今年度も、文部科学省が示す「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」に従って西宮市立学校では対応されていますが、感染症対応の業務が減らない中、市は予算の都合で今年4月からのスクールサポートスタッフの配置を急遽取止め、教員や事務職員の負担が増しているとの情報を頂きました。

 そこで私は、5月に現場でのヒアリングを行い、再びの感染拡大を想定して直ちにスタッフの強化を図る必要があると考え、令和3年6月議会一般質問で改めて取り上げました。

====本会議場での議論の概要====

令和3年6月議会一般質問

2. 教育環境について
ア)学校での感染症対応
■質問の背景(田中まさたけ)

 西宮市内では、これまでに、市内・市外在住者合わせて延べ4,061名のPCR検査の陽性が確認されております。そして、市内の小・中学校、そして義務教育学校におきましては、6月15日時点で、PCR検査を受けた、もしくは濃厚接触者に特定されて欠席した児童生徒が902名、そのうち陽性者は132名と伺っております。そして、濃厚接触者に特定された児童生徒の大半の欠席期間は2週間、陽性者は約10日と伺っております。

 長期間に及ぶ欠席からの復帰後の学習面や精神面でのケアなど、コロナ対応が始まってから1年が経過した現在も、学校でのマンパワーは欠かせない状況と伺っております。

 これまで市内の学校でクラスターが発生しなかったのは、学校現場での努力の成果と言っていいと思います。そして、昨年の一般質問で求めたことでもありますが、昨年度、県の補助金を活用してスクールサポートスタッフを配置して、教員をはじめ職員の皆さんが一丸となって感染防止対策を徹底されたと伺っております。
 しかし、今年度は、必要とされる対策は昨年度とあまり変わっていない中で、スクールサポートスタッフは配置されず、国の感染症対応の支援である学校保健特別対策事業費補助金の予算も、昨年度、約2億3,000万円であったものが、今年度は9,520万円、およそ6割も減額されている状況です。

 また、PTA活動も制限される中で、教員の皆さんの負担は増加しておりまして、このまま時間だけが経過すれば、現場は疲弊して、いずれ児童生徒の指導に影響が及ぶことが懸念されます。

■質問1(田中まさたけ)
 「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」(以後「マニュアル」と呼びます。)が、本年4月28日に改訂されておりますが、このマニュアルで示された対策を講じるにあたって、教育委員会がスクールサポートスタッフを配置する必要はないと判断した理由をお尋ね致します。

■教育委員会の回答
 スクールサポートスタッフにつきましては、昨年度は、県の全額補助により全学校への配置が可能となりました。コロナ禍の影響で教職員は多忙を極めており、消毒作業や印刷業務等の単純業務を担うスクールサポートスタッフの配置は、教職員の負担軽減に大いに役立ち、学校からも高い評価を得ておりました。よって、教育委員会と致しましては、令和3年度においてもスクールサポートスタッフの全校配置を計画しておりましたが、県の補助制度が廃止されたため、配置をやむなく見送ることと致しました。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、学校現場においては、昨年度と同様に消毒作業等が必要であり、教職員がその業務を担う必要が生じています。そのため、何らかの形で業務負担の軽減は必要と考えており、学びの指導員の配置時間数を当初予定していた年間240時間から480時間に倍増し、学習指導面でのサポートを充実させることによって、学校を支援していきたいと考えております。

■再質問(田中まさたけ)
 教育委員会は、スクールサポートスタッフを配置する必要があると判断していたものの、県の補助金がなくなったため、やむなく見送ることにしたとのことでございました。そして、学びの指導員を増員(当初から)されたということですが、今回、増員されても、昨年度と比べるとまだ少ない状況と伺っております。

 この学びの指導員を、感染防止対策の代わりとすることについては、指導員の配置の趣旨とは異なると考えます。
 国や県の財政措置が見込めないのであれば、市が昨年設置なされました新型コロナ対応みやっこ元気寄附金による新型コロナウイルス感染症対策基金を活用するなどして、まさに宮っ子、子供たちのために学校での感染防止対策に必要な財政措置を市が主体的に講じるべきであったと私は考えます。改めてその点、市長の御見解をお尋ね致します。

■市長の回答
 教職員の一定の負担軽減に関しましては、先ほど教育委員会からも答弁がありました学びの指導員の配置時間の増によって一定図られていると思っておりますが、議員のお話もございましたので、今回の学びの指導員増による効果も含めて、改めて現場の声も聞いて、スクールサポートスタッフの必要性の検討をしたいと思います。
 昨年度は県の100%財政措置であったので配置が実現しており、検討にあたっては財源の問題は避けられませんが、コロナ対策基金を活用することにつきましては、基金の趣旨、そして議会の御意見も踏まえての判断となりますが、(新型コロナ対応みやっこ元気寄附金による新型コロナウイルス感染症対策基金の)活用ができれば実現に向けたハードルが下がると考えております。

■意見・要望(田中まさたけ)
 こちらは前向きと捉えましたが、市長自らが現場の声、意見をお聞きになって判断されるということでした。
 財源につきましては、例として今回は、「新型コロナ対応みやっこ元気寄附金による新型コロナウイルス感染症対策基金」を出しましたが、市の財源が必要であればというところが肝心でして、現在の教員による消毒などの対応が早く不要になることが重要です。
 ところが、第5波が来ること、こちらも想定されまして、西宮市においては再び、少なくとも今年度は、スクールサポートスタッフ、これを大至急配置していただきたいということを要望しておきたいと思います。

 そして、来年度もマニュアルの実施が変わらず必要となるような状況が続くかどうかは分からないところですが、この3ヶ月間のこと、今年の3月まで配置されていて、急遽4月から配置ができなくなったというこの対応は、現場では大変だったと思うのですが、このことも教訓とすべきです。そして、財源にはやはり限りがございますので、来年に向けて、例えば委託であったり、施設や設備の改良によって人員配置以外の方法で教員の負担を減らせる方法の検討など、各学校での事例、いろいろと工夫されて対応されている学校もあるかと思いますので、そういった事例も同時に調査していただきまして、いい方法につきましては各学校に広めていただくなどして、もう来年に向けて備えていただきたいと教育委員会には要望致します。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 この議論をしたのが令和3年6月25日、そして8月21日現在、すでに第5波に突入した中、また、学校の2学期が目前に迫る中、一斉休校をせずに少しでも安心して子供たちが学校生活を送れるよう、そして、教員が授業や子供のケアに専念できるよう、学校施設の消毒を始めとする感染症対策を講じるための人員の強化は急務であると改めて感じています。
 
 なお昨日、市より以下の報告がありました。

西宮市新型コロナウイルス感染症対策本部(第110回)本部会議議事録より抜粋
・夏休みは家庭内での感染が増加しているが、2学期になると家庭内での感染が学校に広がる懸念がある。学校での感染対策のために、消毒作業等を担うスクールサポートスタッフの予算を9月定例会の補正予算に上げる予定をしているが、現在の感染状況に鑑みて前倒しで行う必要がある。2学期当初からの分は既決予算で対応する。

 市長並びに教育委員会の早期の対応に感謝致しますとともに、今後の感染症の動向を注視しつつ、情報収集に努めたいと思います。

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