御前浜周辺のまちづくりー平成22年12月議会一般質問

2011年3月2日[カテゴリ:自然環境, 質問

 私はこれまで、西宮市の臨海部、特に青少年海の家や御前浜の課題について、関係する方々から御意見を伺ってきました。
 一方で、西宮市には、せっかく残された自然の砂浜や良好な海洋環境がありながら、港湾の環境は県の管轄ということもあり、できるだけ仕事を増やしたくないと言わんがばかりに、恵まれた環境を活用したまちづくりや事業に市が積極的に関わるという姿勢が見られません。

 そこで、平成22年12月議会一般質問で御前浜周辺の整備計画について取り上げ、議論しました。

====本会議場での議論の概要====

平成22年12月議会一般質問

2.御前浜周辺における整備計画の策定について
■質問の背景(田中まさたけ)

 西宮の臨海部には、冬には渡り鳥が来る貴重な自然の浜が残されております。また、カヌーやヨット、ウエイクボードなど、マリンスポーツが盛んに行われている地域でもあります。旧西宮市青少年海の家で育ったドラゴンボートのチームは、今は芦屋市に拠点を移さざるを得なくなりましたが、世界選手権に出場するほど全国規模で好成績をおさめ続けています。
 また、御前浜は、環境学習の場として活動が活発に展開されております。こうした環境は、先人たちが守り、つくり上げてきた資産であります。その歴史、文化は、後世に引き継いでいかなければなりません。
 
 そのような中、先般、平成19年に廃止された青少年海の家の跡地を売却する意向が示されましたが、西宮浜、御前浜周辺の中長期的なまちづくりのビジョンを示さずに、目先のお金のために貴重な資産を売却することは理解に苦しみます。

 私は、マリンスポーツや環境学習を通じた青少年健全育成やまちの活性化に寄与する取り組みを、西宮市側も積極的に推進すべきであると考えます。
 そして、緑の基本計画や本年が計画の最終年度となっている都市計画マスタープラン、そして第4次総合計画(計画期間:平成21年度~30年度)においても、(臨海部の整備は)主要な施策の位置づけとなっているにもかかわらず、一向に市の取り組みが見えてきません。

 現在は、国や県による取り組みに委ねておりますが、みなと振興交付金など市町村を対象とした国の補助金も用意されていることから、市も主体性を持って、例えば西宮市周辺の海域の水質浄化、こういったことも視野に入れて関与するとともに、港湾利用者の参画と協働の取り組みの中で、周辺のまちづくりに関する課題の抽出と解決に向けた取り組みについて議論を始めるべきと考えます。

■質問1(田中まさたけ)
 トイレの環境改善などの御要望をよく頂くのですが、御前浜公園及び西宮浜総合公園の整備計画の策定はどうなっているのかお聞かせください。

■質問1に対する市長の回答
 御前浜公園及び西宮浜総合公園全体の整備につきましては、第4次総合計画で公園全体の整備を進めることを明らかにしておりまして、整備の時期につきましては計画の後半に予定致しております。
 御前浜公園の予定地は、夙川の河口部に位置し、甲子園浜と並び、阪神間でも貴重な自然の砂浜で、休日には散策や野鳥観察などに多くの市民が訪れ、楽しまれております。同海岸では、ボランティア団体による環境保全活動や子供たちに対する環境学習活動が盛んに行われておりまして、市は、ボランティア団体や海岸の管理者である兵庫県と連携を図りながら、環境の保全に努めているところでございます。

 また、御前浜海岸の対岸に位置する西宮浜総合公園の予定地は、甲子園浜や鳴尾浜とあわせて、市民のレクリエーション活動の拠点として位置づけておりまして、平成20年度には公園全体の整備に先駆けまして、人工芝の多目的グラウンドをオープン致したところでございます。

 両公園の整備に際しましては、海岸のすばらしい環境を未来へ引き継ぐため、環境保全や学習活動をより一層深めることができ、また、市民が多様なスポーツ、レクリエーションをさらに楽しむことができますよう、地域の皆様の御意見をお聞きしながら整備を進めてまいりたい、このように考えております。
 
 なお、御前浜海岸のトイレの改修につきましては、今後、公園全体を整備する際に実施してまいりたいと考えております。

■質問2(田中まさたけ)
 長年にわたる不法係留船の整理が終了し、洗戎川の高潮ポンプ場の建設事業が始まりました。市道西178号、西180号の今後の歩行者の安全対策の時期など、現時点での計画をお聞かせください。

■質問2に対する市の回答
 市道整備の工事期間及び今後の歩行者の安全対策についてでございますが、西宮旧港沿いの市道西178・180号線は、震災後、西宮浜の復興住宅建設と西宮浜連絡道路の整備により、自転車や歩行者の通行量が増大し、自動車と自転車、歩行者がふくそうする状況にあり、地元からもその安全対策が強く要望されているところであります。

 市と致しましては、現在、防潮堤外側の護岸敷部を暫定的に自転車、歩行者が通行できるようにしておりますが、朝夕の通勤通学時間帯に現道部分におきまして交通安全上の問題も生じているため、新たに歩道を整備することにより自転車、歩行者の安全確保を図りたいと考えており、そのために、当該道路を歩道を含め全体で10メートルから14メートルとする拡幅整備を計画しております。
 
 この道路の拡幅を行うためには、現在の防潮堤を撤去する必要があり、現在、兵庫県が整備を進めております洗戎川高潮ポンプ場の完成を待って、市道西178・180号線の拡幅整備を行いたいと考えております。洗戎川高潮ポンプ場は、兵庫県尼崎港管理事務所により、今年の3月に事業着手され、現在、水門の建設工事が行われているところであり、概ね平成27年度には完了する予定と聞いております。
 これら県事業の進捗状況を見きわめながら、道路の拡幅整備及び臨港線の交差点の改良を進めていきたいと考えており、工事期間と致しましては概ね5年を要するものと見込んでおります。

■質問3(田中まさたけ)
 御前浜周辺整備計画の策定に向けて、住民参加による検討会等を早急に立ち上げ、議論を深めるべきと考えますが、今後の予定をお尋ね致します。
 
■質問3に対する市の回答
 市と致しましては、御前浜周辺の整備については、西宮浜総合公園、西宮旧港周辺とともに、緑地やレクリエーション施設の整備を進め、希少な自然海浜とともに、市民の憩いの場や魅力あるウオーターフロントとして一体的な整備を図ることが必要であると考えており、県の高潮ポンプ場の整備が完了する平成27年度をめどに整備計画の策定が必要であると考えております。
 
 これまで、地元自治会を初め、兵庫県、西宮市で構成する西宮地区埋立対策協議会において、当該臨海部公園の一体的整備について説明し、平成19年度から隣接自治会や兵庫県、市の関係部局で部会を設け、計画内容についての意見交換会を5回開催しております。
 西宮旧港周辺につきましては、県の高潮ポンプ場の計画に合わせて整備する関係から、公園計画に先行して具体的に旧港西側に接する道路や緑地について意見をお聞きしており、西宮浜総合公園、御前浜公園については、具体的な整備内容の協議には至っておりませんが、西宮浜総合公園では、夙川、香櫨園から続く松並木について、また、御前浜公園では、自然海浜の保全や松の植林についての御意見を頂いております。

 今後は、地元自治会や兵庫県、西宮市との意見交換会と併せ、整備計画の策定作業の中で、海浜の利用者等を含めた幅広い住民の皆様の意見をお聞きする場をつくってまいりたいと考えております。

■意見・要望(田中まさたけ)
 主要な施策に位置づけておきながらあまり進んでいないと感じました。
 御答弁の中でも、(計画策定については)平成27年度をめどにという消極的な答えではありましたが、海浜利用者等も含めて幅広い住民の皆様の意見をお聞きする場をつくるという御答弁は何とか頂けたと思っています。早くから意見を聞きながら進めて頂きたいと要望したいと思います。

 市は、何度も(御前浜、西宮旧港、西宮浜北側の)一体的整備ということを御答弁されております。一体的整備はいいのですが、それを言い訳にして、計画策定まで先延ばしにしていただいては困ると思っております。逆に、どれだけ大層な計画を策定するつもりなんだという憶測を呼んでおります。
 私が生まれる前の出来事ですから先輩方からお話を聞くことしかできませんが、この西宮の臨海部は、文教住宅都市の原点、象徴と言っても過言ではない、先人が守り抜いた自然です。

 放置すればするほど、どんどんとすたれていきます。当時の思いを引き継ぐためにも、自然を守り、たくさんの人が使えるような計画、整備計画の策定に向けて、利用者や保全活動をしている方々とも定期的に会合を設けながら、できるところから改善、整備をしていくことも検討して頂きたいと要望致します。
 
 また、あわせて、周辺の交通安全対策についても、県としっかりと連携をして、早期に実現されるようお願い申し上げます。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 今後も、子供の健全育成に寄与する環境づくりと、自然環境の保全の観点から、臨海部のまちづくりについて取り組みたいと思います。

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