ICT端末の活用による早期対応ー不登校対応について

2022年9月17日[カテゴリ:学校教育, 質問


今年も毎年9月に開催されていた御前浜公園での「かえっこバザール」は中止となりました。

 前回のコラムに引き続いて、令和4年6月議会一般質問の内容を掲載します。

 ここまで、不登校の対応や現状等について市からの回答を受け、未然防止、早期対応の取り組みが不十分であることが明らかになったと思っています。これでは不登校の増加に歯止めがかからないのではないかと心配しています。

 そこで何かできることはないかと調査していたところ、文部科学省が設置している「不登校に関する調査研究協力者会議」が今年の6月に発表した報告書の中で、パソコンなどのICT端末の活用についても触れられていましたので、一般質問で再質問をし、他の自治体の取り組みを紹介し、西宮市の状況を問いました。

====本会議場での議論の概要====

令和4年6月議会一般質問(令和4年6月27日実施)

1.不登校の対応について
■再質問の背景

 私は、子供の状態に応じた早期対応が可能となることを期待しまして、今回も訪問型の家庭教育支援チーム(←クリックすると該当する質問が掲載されたページが開きます。)の設置についてお尋ね致しました。

 教育委員会からは、教職員による家庭訪問とオンラインによる支援を続けているとのことでした。
 また、相談体制進路指導についても、自前の学校スタッフで頑張っている様子をご説明頂きました。

 最近、学校では大変多くの課題を抱えていると認識しております。

 一方で、理由は分かりませんが、若い先生方が学校をお辞めになるケースもあるということをよくお聞き致します。
 そして、教員の新規採用試験においても倍率が低下しています。そのような中で、今年度は、教員不足によりまして、年度当初から定数どおりに配置できなかった西宮市立の学校が、小学校、中学校ともに2校ずつあったと伺っております。

 また、不登校につきましては、最新のデータを提供していただきましたけれども、令和3年度の不登校児童生徒の人数は、小学校で421名中学校も637名ということで、増加に歯止めがかかっていません。

 コロナ禍ということもありまして、もちろん不登校だけが原因ではございませんが、教員の負担はますます増大し、生徒全体に目が行き届きにくくなり、さらに(子どもの変化に気が付かず)不登校が増える、そうした負のスパイラルに陥りつつあるということを心底私は心配しております。

 壇上でも述べましたけれども、学校に対して行っている調査と不登校の傾向にある児童生徒に行った実態調査の結果では不登校になるきっかけの割合が大きく異なっておりまして、学校や教育委員会が把握されていることと本人が感じていることにかなりの乖離があることが示唆されております。

 そこで、本市でも国のGIGA構想により1人1台のタブレット端末が配備されたわけですけれども、他の自治体では、そのタブレットを活用してスクールライフノートという心と学びの記録、振り返りの支援システムを導入して、児童生徒が端末で毎日入力することで、児童生徒の日々の感情の変化をつかんで、変化に対して早期に対応する体制が整備されつつある様子でございます。ICT技術の活用が不登校の未然防止、早期対応に対して有効なツールとなることが期待されております。

■質問(再質問:田中まさたけ)
 本市におきましては、武庫川女子大学さんと共同開発されました「こころん・サーモ」というシステムを導入しておりまして、先生が子供たちの心理状況の状態や変化を捉えることができるようになると伺いましたが、不登校の未然防止に対しても活用が図れないものかお尋ね致します。

■教育委員会の回答
 武庫川女子大学との共同開発を進めている「こころん・サーモ」は、タブレットでのアンケートを通して教員が子供の心理状態を把握し、気になる子供に対して指導や支援につなげることを目的としています。こころん・サーモの結果から、教員が子供に働きかけ、結果的に不登校の未然防止につながる一面はあると考えております。

 ただ、議員御紹介のスクールライフノートのように毎日実施することを想定した運用ではありませんので、日々の感情の変化を読み解くということはできません。そういった点では限界があると考えております。

■意見・要望(田中まさたけ)
 率直に御答弁を頂きまして、ありがとうございます。
 私が申し上げた不登校の未然防止に向けた「こころん・サーモ」の活用については限界があると正直にお答えいただきました。
 大学さんとの共同研究につきましては、否定をするものでは当然ございません。ただ、単なる実験で終わってもらっては困ります。
 
 今現在、目の前にある課題の解消につなげられそうにないのであれば、先ほど挙げた事例はあくまで一例で、他の自治体の例を挙げました。それが全てではございませんが、もう既に不登校対応について実績を上げていると言われている「スクールライフノート」のようなシステムを使って子供の様子を把握しやすくする環境を一刻も早く整備するべきだと私は考えております。

 繰り返しになりますが、今後、地域の方々とも連携した訪問型の家庭教育支援チームの導入も含めて、子供たちとご家庭を見守る体制を強化していただきたいと思っております。

 本日は、時間の都合上、この程度で要望にとどめます。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 一般質問の後に開催された(8月16日開催)教育こども常任委員会での施策研究テーマに関する調査で明らかになったことですが、「こころん・サーモ」の共同開発をする以前から、西宮市には、子供の心理状態を把握するために「UQテスト」という取り組みを、学校配分予算を活用して実施してきた学校があり、現在も活用されている学校があるそうです。

 この情報についても、市民から情報を頂いて調査した結果、委員会で質問をして判明したことであり、一般質問をした際には、教育委員会からの情報提供はありませんでした。別に隠していたわけではないかもしれませんが、学校の取り組みが私たちにはまだまだ伝わっていないことが多いことを実感した一例です。

 今後も、施策研究テーマの調査を通じて、不登校の早期発見、早期対応を可能とする取り組みを提言できるよう、研究を進めたいと思います。

 今回は、最近のフェイスブックの投稿の中から、議会運営委員会について発信した投稿について掲載します。

===フェイスブック投稿より===

⚫8月13日投稿

平成27年3月に議員提案により「西宮市議会基本条例」を制定しました。
議会改革のために策定された西宮市議会基本条例ですが、「作って終わり。」では、改革は進まないと思っています。
この条例を策定して、具体的に市民生活にどのような影響を及ぼしたのかという視点で、常に検証することが大切だと思っています。
そこで、今任期の最終年に突入した本年5月の議会運営委員会で検証するよう提案し、先日10日に開かれた議会運営委員会において議論が始まりました。
政蘭会からは、
①「議員定数」の検証、
②「議会の機能向上」に関する検証、
③「住民参加の促進及び連携」の具体化、
④議会を代表して選出されている「阪神水道企業団議員」や「都市計画審議会委員」の機能向上
の4点を提示しています。
今後、議論の進捗を発信していきたいと思います。

写真は、市政報告チラシを配布している際に撮影したものです。
西田公園内に旧西国街道跡の石碑が立っています。現在、その旧西国街道の歩道の整備が進められています。

⚫8月25日投稿

今日は午前中に議会運営委員会が開かれました。

まず、来週31日から始まる定例議会で提案される予定の議案が市より発表されました。
その後、西宮市議会基本条例の見直しについてなど、議会運営に関する協議も行われました。
残念ながら、「任期ごとに『議員定数』について検証することを条例の条文に盛り込むべきではないか」という「政蘭会」からの一つ目の提案は受け入れられませんでした。

議員定数を変更できるのは、4年ごとの市議会議員選挙の時だけです。
残された任期は半年強となりますが、引き続き、議会改革についても全力で取り組みたいと考えています。

午後からは、市政報告チラシを読んで改めてアプローチして頂きました神戸大学の大先輩と面談し、マンションに関する課題と多くの情報を提供して頂きました。
12月議会に予定している一般質問で取り上げられるよう調査を進めていきたいと思います。

写真は、先日その市政報告チラシの配布をしている最中に撮影した南郷山公園です。12年前まで住んでいた家の近くの公園ですごくいい感じの公園もなのですが、利用者が少ないのか、砂場にも雑草が生い茂っています。

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