幼児教育の役割-令和元年12月議会一般質問

2020年6月30日[カテゴリ:幼児期教育, 質問

昨日の東京での感染確認された方は58名だったそうです。
定義があいまいで、早くも死語となりつつある「オーバーシュート」という言葉が連発され始めた3月下旬の頃(←クリックすると3月28日のコラムが開きます)が思い出されます。30代以下の方の感染が確認される事例が増えている状態も、入院を必要とする患者数も重症者数も似ています。
3月下旬と異なる点としては、1日あたりのPCR検査の実施数が増えたことと経済活動に対する姿勢が挙げられると思います。

そして、近畿でも感染確認数が再び増え始めています。

インフルエンザの流行が抑えられないという経験を持つ私たちが、新型コロナウイルスの感染防止対策が完全に機能するとはちょっと考えにくいです。改めて、厳しい現実が突き付けられているように思われます。

そのような中、感染症とは関係がない内容となってしまいますが、令和元年12月議会で市と議論した内容について掲載していきたいと思います。感染症対策が最重要となっていますが、経済と同様止めてはならない政策があります。中でも、子供の成長はコロナの終息を待ってくれませんので、教育政策は特に止められない政策であると考えています。

先日(←クリックすると6月18日のコラムが開きます。)は、西宮市が実施する「子育てひろば事業」について掲載しました。
今回は、西宮市の幼児教育のあり方について掲載します。
保護者をはじめとする一般の市民にとっては、「あり方」とかあまり興味がないとは思いますが、行政が「子供が育つ」環境を整備するにあたっては、非常に重要なことだと考えており、これまでも幾度か市議会で議論してきました。

以下、令和元年12月6日の議論の概要です。

======ここからが、本会議場での議論の概要=======

令和元年12月議会一般質問より

1.子供の育ちに対する支援について
イ)幼児教育の充実
(西宮市幼児教育・保育ビジョンの策定目的)
■質問の背景
幼児教育・保育無償化の目的は、全ての幼児期の子供に幼児教育を受ける機会を確保することであると私は認識しておりまして、幼児教育は、子供の育ちに対する最大の支援であると私は考えております。
もちろんここで言う幼児教育とは、早期から始める英才教育のことではありません。

昨今は、
①目標の達成(忍耐力や自己抑制、目標への情熱など)、
②他者との協同(社交性や敬意、思いやり)、
③情動の制御(自尊心や楽観性、自信)
など、テストでははかることができない非認知的能力を身につけることが重要と言われております。
このようなことを踏まえまして、幼稚園教育要領や保育所保育指針では、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿や、資質・能力の三つの柱が示されております。

これまで私は、西宮における幼児教育の実践内容や環境、そして課題を可視化し、市民と共有することで環境を充実させていくことが重要と考えまして、これまで何度もこの本会議の場で「幼児教育振興プログラム」の策定を求めてまいりました。
親としての経験は、私もそうですけれども、保護者の皆さんは全員初めての経験の連続となります。ですので、保育所や幼稚園、そして認定こども園で受ける幼児教育や、その際に保護者に対して行われる経験や専門知識に裏打ちされた助言は大変貴重でありまして、その後の家庭での教育や子供の成長に対して大きな影響を及ぼすと感じております。

■質問1
「(仮称)西宮市幼児教育・保育ビジョン」を策定するためのワーキングチームを設置されたと伺いましたが、ビジョンの策定の目的及び今後の予定についてお尋ねを致します。

■市長の回答
本市では、共働き家庭の増加などに伴う保育需要の増大が続き、新たな保育事業者の参入が続いていることなどから、乳幼児期の教育・保育の質をどう高めて共有していくかが課題の一つとなっております。また、家庭の教育力が低下したとの指摘がある中、子供の保護者に対する助言・支援の必要性も高まっております。

このようなことを踏まえ、幼稚園、保育所、認定こども園等の施設事業種別、また、公立、私立の設置者別にかかわらず、西宮の乳幼児期の教育・保育の質を高めるため、子供に何が必要か、大人はどのようなかかわりをすればよいのかなどを保育者や市民に示すため、西宮市幼児教育・保育ビジョン(仮称でありますが)を策定することと致しました。

策定にあたりましては、学識者や西宮市私立幼稚園連合会、西宮市私立保育協会、公立の幼稚園・保育所の代表者などによる西宮市幼児教育・保育ビジョン策定ワーキングチームを本年10月に立ち上げ、議論を進めているところであります。また、12月2日には、現場で働く保育士、幼稚園教諭、保育教諭など約70名の方に御参加いただき、ビジョンに現場の思いなどを反映するため、ワークショップを開催致しました。

今後は、ワーキングチームでビジョンの素案等を作成する際に、西宮市子ども・子育て会議や市民の御意見を聞く機会を設けながら、令和2年度中の策定を予定しております。

======ここまでが、本会議場での議論の概要=====

一般質問では、時間の都合上。詳しい説明は省略しましたが
育みたい3つの柱とは、
「知識および技能の基礎」
「思考力・判断力・表現力等の基礎」
「学びに向かう人間性等」
と記されています。

そして、
「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」の視点は、
・健康な心と体
・自立心
・共同性
・道徳性・規範意識の芽生え
・社会生活と関わり
・思考力の芽生え
・自然との関わり・生命尊重
・数量・図形、文字等への関心・感覚
・言葉による伝え合い
・豊かな感性と表現
であり、それぞれについて育ってほしい姿が示されています。

私は、普通に子育てに関わるだけでは、このようなことを学ぶ機会はありませんでした。

将来を担う「人」を育てる上での幼児教育の役割とその重要性を、精神論ではなく、専門的な見地からの根拠を示しながら、明確に分かりやすくまとめなければ、ビジョンを策定する値打ちはないと考えています。
ようやく第一歩を踏み出してもらえたので、今後の策定状況を注視しなければならないと思っています。

そして早速、新型コロナウイルス感染症が拡大する直前、令和2年2月8日(土)に西宮市主催で開催された「こども未来カフェ」に参加させてもらいました。このイベントの本来の目的は、「西宮市教育大綱」の見直しの際の参考とするためと思われますが、幼児教育・保育ビジョンの策定にあたっても参考になると思われる意見も聞かせてもらえました。


↑昨年12月に市から頂いた案内。

「幼児教育・保育ビジョン」の完成まで、今後も、このような機会があれば、見学も含めて参加していきたいと思っていましたが、新型コロナウイルス対策により、新たな計画の策定作業は先送りするという方針が示されています。
策定作業を止めることで、感染症対策の強化にどれだけ手を回せるのかはっきりしませんが、できるだけ早期に、策定作業が再開され完成することを願っています。

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