保健師の採用ー感染拡大を防ぐための体制強化を

2020年6月13日[カテゴリ:医療・福祉

PCR検査に関する情報

もう2ヶ月が経過しようとしていますが、4月24日(金)に開催された臨時議会での健康福祉常任委員会において、PCR検査の委託料を増額する補正予算案について質疑した際に、私は、「保険適用で実施された検査の状況が分からない。」と指摘し、「市民の目線になって広報をすべき」と主張していました。

そして、
ようやく保険適用で実施されたPCR検査の件数を把握できたとして、市のホームページに掲載する旨の報告を頂きました。ホームページを確認したところ、6月10日(水)までに、なんと、保険適用による検査が累計940件も実施されていたことが分かりました。
3月以来公表されてきた行政検査は609件ですので、それを大きく上回っていたことになります。そして、これらの件数には、陽性患者の治癒を確認するための陰性確認の検査は含まれていないとのことです。

そうした中で、市内では74例の陽性が確認されており、そのうちの6名の方が市外の発表となっているので市外での検査結果と思われ、1549件の検査の結果として陽性と判定された件数が68件という計算になります。

直近の6月10日の数字を見ると、PCR検査の行政検査は3件ですが、保険適用分を入れると19件実施されており、現在はこれまで把握されてこなかった保険適用分の検査がメインという状態になっています。

そこで、疑問が生じます。
●なぜ、これまで保険適用分の検査数を把握しなかったのか。
●行政検査ではなく、保険適用でPCR検査を受ける場合とは、どのような場合なのか。
ということです。

これまでの市の説明を確認しておきたいと思います。

4月24日の委員会での市の説明の概要
【検査の対象】
新型コロナウイルス感染症の疑似症患者に該当する場合とそれ以外の場合で異なります。
◼新型コロナウイルスの疑似症患者とは、
①発熱または呼吸器症状があり、新型コロナウイルス感染者と確定した者と濃厚接触歴がある方、
②発症前14日以内に、WHOが公表しております流行地域に渡航または居住していた方か、流行地域に渡航または居住していた方と濃厚接触歴がある方で、発熱37.5度以上かつ呼吸器症状を有する方
としており、①か②のどちらかに該当する方が疑似症患者となります。
これが保健所の判断基準となります。

【検査実施の流れ】
保健所が設置している「帰国者・接触者相談センター」へ電話相談される場合と、一般の医療機関を受診される場合とがあります。
◼帰国者・接触者相談センターへ電話相談された方
●相談センターで聞き取った症状などが疑似症患者に該当する場合
保健所が帰国者・接触者外来での受診を案内します。帰国者・接触者外来での診察の際に医師が新型コロナウイルス感染症の検査を必要と診断した場合には、行政検査でのPCR検査を行うことになります。
●相談センターで聞き取った症状などが疑似症患者に該当しない場合
かかりつけ医など一般の医療機関を受診していただき、そこで新型コロナウイルス感染症の可能性があると医師が診断した場合には、医師から保健所に連絡いただきます。連絡を受けました保健所は、帰国者・接触者外来での受診を調整いたします。その後、帰国者・接触者外来の医師の診断結果により、必要に応じてPCR検査を行います。

◼帰国者・接触者相談センターへ電話相談することなく最初にかかりつけ医など一般の医療機関を受診された方
そこで新型コロナウイルス感染症の可能性があると医師が診断した場合には、医師から保健所に連絡いただきます。
その後の流れは、上記と同様です。

 いずれの場合も、帰国者・接触者外来において診察した医師が新型コロナウイルスのPCR検査が必要と判断した場合に限り、行政検査が行われることになっています。
 帰国者・接触者相談センターでは、日々多くの方から心配なのでPCR検査を受けたいという相談が寄せられていますが、患者御自身が希望されるというだけでPCR検査が行われるものではなく、帰国者・接触者外来を設置する医療機関において、医師が新型コロナウイルス感染症の検査が必要と診断した場合に限り、検査が行われることになっています。
 保健所が設置する帰国者・接触者相談センターでは、相談者から聞き取った症状などにより疑似症患者に該当するかどうかを確認しているもので、その結果によって帰国者・接触者外来または一般のかかりつけ医への受診を御案内するという流れになっており、PCR検査の可否を保健所が判断することはありません。
なお、本市が実施するPCR検査は、兵庫県立健康科学研究所と民間検査機関に委託して行っています。

●なぜ、これまで保険適用分の検査数を把握しなかったのか。
まず、PCR検査は、最終的に「帰国者接触者外来」で医師が必要と判断すれば受けることになります。ちなみに、この外来は、現在は、西宮市内では8ヶ所の医療機関に設置して頂いていますが、その医療機関名は公表されていません。
ですので、行政検査分と保険適用分について検査数の報告を頂ければ、件数を把握できるということになります。
保険適用分の検査数を把握して情報を開示してこなかった理由を調べなければなりません。

●行政検査ではなく、保険適用でPCR検査を受ける場合とは、どのような場合なのか。
委員会では、行政検査の場合も、保険適用の場合も、患者さんの自己負担はなく全額公費負担になるとの説明がありましたが、行政検査と保険適用検査とで、PCR検査費用以外の費用負担や、陽性が確認された後の対応について、何か異なってくるのか、患者目線で分かりやすく説明されたものがなかなか見当たりません。

また、上の市の説明では、行政検査も県の検査機関と民間の検査機関に委託しているということです。
全額公費負担となる行政検査とする場合と、一部保険者負担がある(はずの)保険適用とする場合の判断基準は示されていません。
第2波が襲ってきた場合、検査体制の強化に大きな影響を及ぼす可能性がありますので、引き続き、調査を続けます。

保健師の採用

4月10日のコラム(←クリックするとご覧頂けます)で、「保健所の体制強化が必要なのではないか。」という内容の記事を掲載しました。
6月9日(火)に、保健師の採用募集をする旨の連絡がありました。

市の文書より抜粋
 新型コロナウイルス感染症への対応により、保健師の業務量が増大しており、人員体制を強化する必要があるため、令和3年度の保健師の採用については、年齢要件や試験内容を一部変更し、下記のとおり採用試験を実施することとしました。
ただし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況によっては、採用試験の延期及び試験内容の変更等を行う場合があります。
【募集人数】
 5名
【受験資格】
 昭和46年(1971年)4月2日以降に出生した人で、保健師免許所持者又は来春の保健師国家試験で同免許を取得見込みの人
【年齢要件】
 50歳未満(R3.4.1現在)
※ 昨年度まで31歳未満であった要件を拡大しました
【スケジュール】
(1)試験日:7月12日(日)
(2)試験内容:筆記試験(専門試験)
※昨年度まで実施していた教養試験を廃止しました
(3)試験会場:関西学院大学西宮上ケ原キャンパス
【受付期間】
 6月10日(水)~6月30日(火)
※市政ニュース6月10日号で発表
【その他】
合格者は、令和3年4月1日付で採用する予定です。
なお、令和2年10月1日以降、令和3年4月1日までに採用される場合があります。

職員の定数については、上限が条例で決まっています。職員を新たに採用する場合は、目先の場当たり的な対応ではなく、新型コロナウイルス終息後のことも考慮して計画的に採用しなければなりません。今回の保健師の採用については、当面は感染症対応の強化のため、その後は、少子化や高齢化が進む中での、市民の健康増進の取組みの強化につなげられると理解しています。

以前、平成30年12月議会で、市長より提案のあった「西宮市職員定数条例の一部を改正する条例制定の件」について、実質的な職員数の増加につながるだけと判断し、反対した経緯があります。
その際には、
①業務遂行体制の改善や効率化、
②公立保育所の民間移管を初めとする民間活力の導入、
③勤務実績不良もしくは適格性欠如の状態にある職員に対する分限処分、
少なくともこれらを放置したままこれ以上職員定数を増やすことは認められない
と意見しています。

西宮市の令和2年度の当初予算では、人件費が一般会計の19.9%を占め384億円となっており、近年増加傾向にあります。

コロナ禍のどさくさで、市役所を肥大化し、後世にまで負担を残すことは避けなければなりません。

引き続き、感染症対策が必要な中での事業の取捨選択、効率的な行政運営について、注視してまいります。

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