西宮中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備事業の延期

2020年7月14日[カテゴリ:スポーツ推進, 医療・福祉, 危機管理

意思決定の説明が雑過ぎる

西宮市では、先月15日、新型コロナウイルスの影響により、突然、西宮中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備事業の入札が急遽中止されました。

市民にも、市議会にも、詳細は説明されていません。中央体育館の掲示板も見ましたが、お知らせすら見つけられませんでした。

事業の見送りの理由は、「新型コロナウイルスの影響により、多額の財政支出と税収減少が見込まれ、財政状況の見通しによっては、後年度の財政負担が大きい未着手の事業の着手を見合わせるため。」としています。

確かに、今後の財政状況に不安があり、大規模事業はいったん見合わせるという判断は理解できます。

しかし、もうすでに数年に及ぶ議論の末に計画が固まって、入札の手続きが進んでいたものを止めるというのは、あまりに影響が大き過ぎますし、「財政に余裕があるから贅沢な施設を計画してきた」わけではありません。

一方で、市の財政支出が大きい市立中央病院と県立西宮病院の統合新病院の事業は、県の事業とは言え、市が多額の財政支出をすることになっており、しかも、基本計画では新病院は感染症対応になっていなかったので、基本計画に見直しが必要であると思われるなか、県に対して事業をいったん止めることについて相談すらせずに進めようとしており、市の対応に統一性が見られません。

事業着手の直前まで進めてきたものを止めてしまうからには、それなりの説明と意見聴取が必要です。

先送りされ続ける中央体育館の再整備事業

中央体育館及び陸上競技場の再整備については、20年前の第3次西宮市総合計画(計画期間平成11年度~20年度)の中で事業化が予定されていましたが、阪神淡路大震災による財政状況の悪化により3次にわたる行政財政改善実施計画を実施せざるを得なくなり、次の総合計画期間へと先送りされました。

その次の第4次総合計画(計画期間平成21年度~平成30年度)でも事業化が盛り込まれ、平成24年2月に突如、市立中央体育館のみをアサヒビール西宮工場跡地へ移転して整備するという構想が市より提起されました。そして、アサヒビール西宮工場跡地の購入問題が平成26年4月の西宮市長選挙の争点ともなり、アサヒビール西宮工場跡地活用事業を「無駄な事業」と位置付けた市長候補が有権者に支持され、現職を破って当選、検討開始から2年で構想は白紙となったことは記憶に新しいところです。

その直後の平成27年度から現地建替えをベースに中央体育館と陸上競技場の建替えの議論が始まり、およそ4年に及ぶ入念な議論の結果、基本計画が固まり、今年度、事業者選定の手続きの直前になって、新型コロナウイルスを理由とする突然の入札中止の決定でした。

こうした経緯を鑑みると、せめて、いったん入札を「延期」にして、大至急、議会や施設利用者の意見を聴取してから、中止にするか続行するか判断すべきだったと思います。

市立中央体育館の建替えは不要なのか。

市に問い合わせたところ、市民への周知、議会での報告は予定していないとのことでした。
市の政策推進担当者は、令和3年度の課税額が確定しないと今後の財政収支の見通しが立てられないとしており、令和4年度まで何もしないでおこうとしています。つまり、1年間以上、何も考えずに放置しようとしているのです。

そもそも、新型コロナウイルスの終息の時期が見えない中、本当に令和3年度になったら財政収支の見通しが立てられるのか確証はありません。仮に財政収支の見通しが策定できて、仮に計画を見直さなければならないということになると、その計画作りにまた1年以上要することになります。

建替えを2年後に再度進めるにしても、
・災害時の避難所としても利用が想定されている施設である以上、新種の感染症のまん延も想定した計画に見直す必要はないのか。
・これまで議論の末に事業費を大幅に削ってきたことを鑑みると、これ以上基本計画を縮小する余地はあるのか。

建替えを見送るにしても、
・老朽化の対応、施設の維持に今後どの程度の財源が必要なのか。
・大規模改修で対応することが可能で、効率的なのか。

今のところ可能性は極めて低いですが、施設を「廃止」するとしても、
・全市的な大会の開催など他の体育施設や市立学校体育施設の活用で代替できるのか。

など、現時点で考えなけれならない課題、整理すべき事項は多々あります。

これまで入念に、施設利用者や周辺住民の意見も聞きながら、丁寧に進めてきた計画でもあります。
入札を中止にしていったん立ち止まる以上、建替えをするか、建替えずに大規模改修をして将来世代に託すのか、それとも廃止することも含めて、改めて選択を検討すべきです。

また、その他にも、
・市営住宅等整備事業のうち 市営江上町住宅建替事業
・丸山線整備事業(周辺地区整備事業)
・甲東瓦木地区及び武庫川新駅周辺 都市基盤整備事業
・阪急武庫川新駅設置事業
・西部工場解体整備事業
・街路事業のうち今津西線
・阪急電鉄神戸本線連続立体交差検討事業
・(仮称)越木岩センター整備事業
・甲子園浜多目的グラウンド整備事業

が先送りされることになっています。
いずれも中央体育館等ほどの具体的な計画が策定されていた事業はありません。

一方で、第5次総合計画に盛り込まれている多額の費用を要する事業の中で、計画を進める事業については全く触れられておらず、止める事業とそうでない事業の判断基準が示されていません。

一つの例が、市立中央病院と県立西宮病院の統合事業です。なぜ、市立中央病院と県立西宮病院の統合事業は、市にとっても後年に大きな財政負担を強いる事業であるにもかかわらず、いったん止めないのか。合理的な説明がありません。

「公立病院は必要、市立中央体育館は不要」と市が勝手に判断したと言わざるを得ません。

市立中央病院と県立西宮病院の統合新病院の計画も見直すべき

新型コロナウイルスの対応のために「病院は必要!」だから「事業を止めるべきではない!」などという短絡的な意思決定はしていないとは思います。

しかし、現在決定している統合新病院の基本計画は、感染症に対応した内容にはなっていません。
この基本計画の内容について(←クリックしてご覧ください。)は、すでに本年2月3日の健康福祉常任委員会で取り上げて議論しています。

6月の兵庫県議会でも議論されたそうで、西宮市の担当課より連絡がありました。

市の報告文書より抜粋
■6月12日兵庫県議会での県の答弁要旨
・県立病院では、県民の命を守る最後の砦として新型コロナウイルス感染症に対応するため、全県の拠点病院である加古川医療センターを始め、県立病院が一丸となって、感染症患者の積極的な受け入れに全力で取り組んでいる。
・統合新病院が整備される阪神圏域では、尼崎総合医療センターが重症等特定病院として、重症中等症の受け入れを中心に、その役割果たしている。その中で、同センターに求められる救急医療をはじめとした急性期医療も維持しながらの重症用病床の拡大には、建物の構造上想定していた感染症患者数をはるかに超えた対応が必要となり、困難な対応を迫られた。
今後、整備を始める西宮の統合新病院においては、これらの状況を踏まえた機能の充実強化が必須と考えている。特に、一般診療機能を維持しながら感染症とりわけ重症者に適切に対応するには、感染エリアと一般エリアを分離した配置や動線、陰圧設備や個室の整備など院内感染を十分考慮した当初からの設計が必要であり、それに伴い、設計の基本となる統合再編基本計画の見直しについても検討していかなければならないと考えている。
・いずれにしても、統合新病院が圏域の感染症対策において中核的な役割を果たすことができるよう地域の医療機関や西宮市など関係先とも十分連携しその整備に全力で取り組む。

県は、統合新病院に感染症対応が必要であることを表明していますが、事業費がどう変化するのか、まだ全く分かりません。早急に基本計画の見直し、市の財政負担が増えるような変更があるようであれば「統合自体の見直し」も含めて議論する必要があると考えています。

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