図書館のIT化と効率的運営ー令和2年度補正予算(第7号)⑦

2020年9月20日[カテゴリ:その他政策, コラム

 今週17日(水)に、中学校の体育大会を見学しました。今年は学校によって対応も内容も日程も異なっています。私が見学した中学校では、一見すると例年通り、保護者席は満員で、全校生徒が運動場に椅子を並べて一堂に会して行われていました。そして、例年と異なる点は、来賓がいないことと、生徒同士の接触が少ない走る競技が中心であったことでした。
 会場は例年と比較してのんびりとした雰囲気で、種目数も少ないからか、種目の間の準備も余裕をもって進められ、子供達もリラックスして取り組めているように感じました。

西宮市立図書館について

 今回は、令和2年度補正予算第7号で対応される取組みのうち、市立図書館の対応について掲載致します。

 
 市立中央図書館
 
 西宮市立図書館は、拠点館が4館、分室が7分室あります。図書館ごとの貸出冊数(冊)及び 貸出人数(人)は、以下のとおりとなっています。
【資料貸出状況(令和元年度)】
・中央図書館:52万3002冊、14万4227人
・北口図書館:109万5701冊、31万6950人
・鳴尾図書館:62万3281冊、15万592人
・北部図書館:16万2795冊、4万2834人
・分室:71万7252冊、18万819人
◎合計:312万2031冊、83万5422人
1日あたり平均で1万冊以上の貸出しがあり、1日約2800人以上の方が利用している計算になります。

 今年の3月から5月の間、市立図書館は休館となり、4月10日からは全面休館となり、一部のサービスを除いて利用できませんでした。そして、4月下旬に、ゴールデンウィークのステイホームを呼び掛けるのであれば、その間に、図書館の本を読めるように工夫してもらえないかというご意見を頂き、公共図書館に対する期待を改めて実感しました。結局、今年の春は何も対応ができなかったことを反省し、感染拡大防止と秋以降の再流行に備える必要があります。

 これまで、市立図書館の運営については、本会議一般質問では2度取り上げたことがありますが、感染症のまん延期の対応は想定していませんでした。
 
 7年前の平成25年6月議会(←クリックすると該当するコラムが開きますのでご覧ください。)では、開館業務の民間委託による開館時刻の繰り上げと図書館運営の方針の明示を求めました。その後、平成27年3月に運営方針が示され、事業計画が策定されました。そして、平成27年4月から、拠点である中央、鳴尾、北部図書館の開館時刻が30分繰り上げられ、9時半開館となりました。なお、北口図書館は平成24年から9時開館です。

 16年前の平成16年6月議会(←クリックするとコラム「図書館運営の効率化」が開きます。)では、図書館サービスの充実と業務の効率化を目的として、ICタグを活用した図書の管理システムを紹介し、導入を提案しました。
 当時はまだ、RFIDを使った図書の管理システムは先進の技術でしたが、およそ15年もの時を経て、感染症対策としてようやく導入されることになりました。このシステムをもっと早く導入していれば、今年の春の対応もまた違っていたかもしれません。

 今回、設備投資をすることになりますが、同時にBCP(業務継続計画)の策定も急がれます。また将来、図書のデジタル化が進み、民間事業者のように定額で読み放題のサービスが広がるようなことになれば、図書の購入や貸し出しのシステムの変化を始め、図書館の役割自体が大きく変化する可能性があります。図書館のあり方については、定期的に議論をしておく必要があり、拙速に建替えなどを検討するべき時期ではないと感じています。
 

図書へのICタグ導入による非対面サービスの促進(新規)

 開館準備業務の効率化が期待できます。自動貸出機とセットで導入することにより、さらに開館時間を延長すれば、工夫次第で密を避けられ、接触機会を削減しつつ、利用者数の増加が期待できると考えています。

市の説明の抜粋
 西宮市立図書館が所蔵する図書資料約106万1千冊へのICタグの貼付は、次のような効果が期待できるため、令和2年度予算を増額補正して対応します。
⚫ICタグ貼付資料は数点まとめて処理ができるため、貸出処理の時間短縮及び行列解消による感染拡大防止
別途計上の自動貸出機の利便性がより向上するため、非対面サービスの促進による感染拡大防止
⚫新たな生活様式に合わせた図書館環境の整備などにより利用者の利便性の向上やプライバシー保護に繋がるほか、業務の効率化によるレファレンス業務の充実や将来的にカウンター人員の削減が可能となる
・予約図書取り置きコーナーを設置することにより、予約図書の受け渡しから貸出まで非対面で行うことが可能
・蔵書点検時間の大幅短縮が可能となり、開館日数の増加に繋がる
【事業費】
1億2339万6千円(財源:全額市の一般財源)
(内訳)
〇人件費4229万8千円(教育委員会緊急雇用対策により人員配置)
〇機材費8109万8千円
・ICタグ:5250万9千円(単価45円)
・ICゲート:1909万6千円
・ICリーダーライター:672万1千円など

 ↑9月15日(火)の本会議において、ICタグ等を購入するための議案が可決しました。購入額は、UHFタグ(両面透明シールタイプ)94万5千枚で2928万7500円と予算を大きく下回り、1枚あたり約31円となりました。

図書館自動貸出機の導入(新規)

 バーコードでの管理でも自動貸出は可能であったようですが、ICタグとセットで導入することにより、自動貸出機の効果は大きく向上することは想像に難くありません。貸出業務に携わっていた人員を他の業務に充てることにより、図書館サービスが飛躍的に向上することも期待されます。現時点では、人員の削減は予定していないそうです。

市の説明の抜粋
 西宮市立図書館に自動貸出機を導入し、来館者や職員の接触機会を削減し、感染拡大を防止します。必要となる事業費等は、令和2年度予算を増額補正して対応します。
【事業費】
 2609万8千円(財源:全額市の一般財源)
(内訳)
(1)自動貸出機購入に係る費用:2014万7千円
(2)図書館システム改修に係る費用:595万1千円
【導入台数】
 8台(市立中央図書館2台、市立北口図書館4台、市立鳴尾図書館2台)

図書館における新型コロナウイルス感染症対策事業(新規)

市の説明の抜粋
 西宮市立図書館において来館者の安全を確保するために、来館者用手指消毒液やカウンターや閲覧席等での飛沫防止用ビニール・パーテーションを設置し、感染拡大を防止します。また、来館者の健康状態を把握するためのサーモグラフィカメラを設置するとともに、通常の清掃業務に加え、開架室の閲覧用机・椅子やカウンター及び学習室の机・椅子、階段の手すりなど不特定多数の人が触れる場所をアルコールなどで清掃して、感染拡大を防止します。
【事業費】
総額 923万8千円(財源:全額市の一般財源)
(内訳)
消耗品費:163万7千円(消毒液、パーテーション等)
委託料:360万8千円(清掃)
備品購入費:399万3千円(高機能形熱画像カメラ121万円×3台)
【対象施設】
西宮市立図書館 11ヶ所(サーモグラフィカメラ設置・清掃業務強化は、西宮市立中央図書館・北口図書館・鳴尾図書館の3ヶ所)

 4月の補正予算(←クリックするとコラム「市立学校に赤外線サーモグラフィカメラを設置へ」が開きます。)で学校に配備したサーモグラフィーカメラは、1台約12万円でした。金額はその10倍であり、学校に配備されたものよりは使い勝手はいいかもしれませんが、新型コロナウイルス感染症の終息後の使い方も考えておくべきです。カメラをチェックするための人員が不要なタイプのものでなければ、持続可能性は低いと思われますので、機器の選定には慎重さが求められます。

 9月15日に開かれました本会議において、令和2年度補正予算の第8号、9号が可決しましたが、第7号の掲載を続けます。

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