西宮市は災害に対する備えもお役所仕事
昨日も、先週に引き続いて、決算特別委員会民生分科会が開催され、令和元年度決算のうち、産業文化局及び農業委員会に関する決算を審査しました。
産業文化局に対しては、有害鳥獣対策、食肉センターの運営、産業振興、文化・スポーツ等に関して質疑がありました。
私は主査として分科会の進行を務めるため、本来は、質疑は控えめにしなければならないのですが、どうしても決算を認定するにあたって確認しなければならないこと、改善を指摘しなければならないと考えたことを厳選して質疑をしました。
特に、以前のコラム(←クリックすると7月14日のコラムが開きます。)で掲載しましたが、「西宮中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備事業」については、これまで多くの人たちの時間を使って議論をし、その人件費を含めて多額の税金を投入し、パブリックコメント(市民意見提出手続き)を経て、基本構想や基本計画、要求水準書が完成していました。にもかかわらず、入札を実施する直前で「新型コロナウイルスの影響」の一言で入札を止められています。
そして以前に、常任委員会など公式の場で、今後の方針に関する詳細な説明をするように、口頭ではありますが、事業を止めた「政策局」の幹部職員に対して申し入れをしてきましたが、放置され続けています。まさか、この幹部から市長にこの申入れが報告されていないとしたら、そのような事務処理能力の低い職員を、政策局という、市民から選ばれた市長のかじ取り役を務める重要な局の幹部に据えておくこと自体、西宮市の危機とも言えます。この幹部職員は優秀な方だと聞いていますので、おそらく、それはないと思いますので、申し入れを市長が放置していると推察せざる得ません。
そして、事業を止めてから3ヶ月も経過し、要求水準書の策定に投入した税金が含まれる決算の認定を受けるにあたっても、部下にまともな説明をするように指示もせず、来年の6月以降まで、議会や市民から意見を聴取する機会すら設ける気がなかったことが、決算審査を通じて明らかになりました。
中央体育館は災害対応の拠点に位置付けられている施設ですし、実際に拠点となった経験もあります。そうした役割を持つ施設に関する事務を止めたまま、詳細な方針を示さずに半年も放置するということになれば、以前にも本会議で指摘(←クリックするとコラム「消防団の役割②-市長としての意識」が開きます。)した通り、市長は災害対応を軽視していることが改めて証明されることになります。
決算審査を通じて、こうした市民に対する誠実さに欠ける市長の対応を早急に改善し、大至急、委員会に対して考え方を説明をするよう対応を求めました。
さて、今回は、令和2年度補正予算第7号のうち、公立病院、救急活動、ごみ収集など、公が果たすべき機能を維持するための備えをまとめて掲載します。
新型コロナ感染症対応医療機器の購入(新規)
これまで使っていた医療機器(CT)が古くなったため購入するというものです。県立西宮病院と市立中央病院の統合新病院の開院を令和7年度に予定しており、その際には、市立中央病院は閉院することが決定しているため、統合新病院に持っていけるのであればいいのですが、精密機器ですので、おそらく5年で機器は処分されることになると思います。しかし、老朽化した機器を更新せずに故障が続けば、一刻を争う病気に対応できずに病院機能が果たせなくなります。秋以降の再拡大に備えて、入院患者を適切に受け入れ、検査ができるよう機器を整備しておく必要性が高くなりました。新型コロナウイルスは、これまで時間をかけて練ってきた計画や努力の多くを台無しにしています。
少し話がそれますが、統合新病院の基本計画が、統合新病院が感染症に対応できる内容になっていないことを今年2月3日の健康福祉常任委員会(←クリックするとコラム「公立病院の役割」が開きます。)で指摘していましたが、3月以降の県内での感染症拡大を受け、兵庫県が新病院を感染症対応とする内容に基本計画を見直すことを発表し、9月議会会期中の健康福祉常任委員会で見直された内容が報告されました。
今年度、私は健康福祉常任委員会の委員ではありませんので、詳しく説明を受けていませんし、意見を言う場もありませんでしたが、このような病院機能の抜本的な変更を伴う基本計画の見直しを、行政内部の検討と医療関係者や議会への報告だけで進めることには違和感を抱かざるを得ません。周辺住民に対する説明と意見聴取は欠かせず、西宮市は、県の計画変更の内容を地域住民に周知する役割を担うべきです。
また、開院までのスケジュールと整備費用(総額約386億円、市の負担はおよそ3分の1を負担)に変更はないとされていますが、感染症対応の設計に変更しても、工期や建設費、機器購入費、運営費に影響がないのか精査が必要であると考えています。そして、市の財政負担がこれ以上に増加するようであれば「統合自体の見直し」も含めて議論する必要があると考えています。今後の動向を注視してまいります。
【補正予算額】
1億4793万3千円(財源:市の一般会計繰入金)
【主な購入(予定)機器】
①全身用X線マルチスライスCT(耐用年数6年)
・価格:1億2980万円
・購入理由:CTはX線では見逃しやすい初期や微小な病変を捉えることができるため、他疾患との鑑別に有用な機器です。特に新型コロナウイルス感染症患者の肺炎症状を診断するうえでコンピュータ断層撮影は必要であります。また近隣クリニックからも年間700件以上の共同利用があり、地域医療支援病院としての役割を果たすうえでも不可欠であります。現在当院で使用するCTは購入から11年が経過し、故障した場合には、入院患者を受け入れできなくなるだけでなく、受け入れている入院患者も転院させなければならない可能性があります。
②室内除菌用紫外線照射システム(耐用年数4年)
・価格:748万円
・購入理由:清掃・清拭だけでは完全にウイルスを除去することはできません。当機器は残存する耐性菌に触れずに、自動で高度な除菌を行うことができるため、職員の感染対策・負担軽減にも有効です。
③顔認識サーマル検温カメラ(耐用年数6年)
・価格:97万9000円
・購入理由:感染者(発熱者)を早い段階で隔離することが、院内感染を防ぐためには重要です。当院では唯一患者等が出入りする正面玄関に当機器を設置し、水際での院内感染防止を図る必要があります。
④軽量移動型デジタルX線装置 他
価格:967万3400円
↑当初、市立中央病院での新型コロナウイルス感染症患者の受入れについては公表していませんでしたが、「4月1日から新型コロナウイルス感染症患者の入院受入れを開始した」と記載されています。2月3日の健康福祉常任委員会と今年2月28日の議会運営委員会(←クリックするとコラム「積極的な情報の開示を」が開きます。)でも指摘していた通りになったわけですが、これまで市立中央病院には、赤字補填のための法定外の多額の税金投入を繰り返してきたわけですから、公立病院の役割を考えれば当然の対応です。市立中央病院には、市民の安心を得るためにも、理解を得るためにも、何事も隠さずに丁寧に説明するよう求めて参りたいと考えています。
救急活動等における感染防止対策(新規)
【補正予算額】
482万3千円(財源:全額市の一般財源)
(内訳)
①救急活動資機材 396万円
・医薬材料費 感染防止衣(ディスポーザブルタイプ)上衣1800着
・感染防止衣(ディスポーザブルタイプ)下衣1800着
②空気清浄機 86万3千円
・空気清浄機(19畳用)7台
・空気清浄機(13畳用)12台
一般廃棄物収集運搬業務従事者向け不織布マスクの確保(新規)
また、環境省より、市町村は一般廃棄物の統括的処理責任を有することから、市町村及び一般廃棄物処理業者における手袋やマスク等の個人防護具の確保を含む感染防止等の事業継続のための取り組みに努める旨の通知も発出されております。
西宮市ではこのような状況を踏まえ、一般廃棄物の収集運搬業務等に従事している職員の感染予防策の一環として、不織布マスクを一括購入して職員に配布します。
また、今後、マスクの需要と供給のバランスが崩れ、一定の間、不織布マスクの入手が困難な状況に陥った場合に備え、約6ヶ月の備蓄分も合わせて購入することとし、必要な事業費は令和2年度予算を増額補正して対応します。
【事業の概要】
一般廃棄物の収集運搬業務等に従事している職員の感染予防策の一環として、不織布マスクを一括購入して職員に配布するとともに、入手が困難な状況に陥った場合に備え、約6ヶ月分の備蓄用不織布マスクを確保する。
【補正予算額】
事業費:288万8千円(財源:全額市の一般財源)
(内訳)
不織布マスク(職員配布用)40,250枚、単価42.9円
※1人1枚/日、令和2年9月~令和3年3月までの7ヶ月分+予備
不織布マスク(備蓄用)27,050枚、単価42.9円
※1人1枚/日、6ヶ月分+予備
新型コロナウイルス感染症対策業務にかかる電話回線使用料
【補正予算額】
380万8千円(財源:国122万4千円 市258万4千円
【電話回線数の状況】
(新型コロナウイルス感染症前)11回線
(令和2年7月現在) 21回線
<増加分の内訳>
新型コロナウイルス感染症対策室 4回線
帰国者・接触者相談センター 4回線
心のケア支援事業 2回線
令和2年度補正予算については、次回が最終回となります。