中断した市立中央体育館の再整備事業の再開を①

2021年7月26日[カテゴリ:公共施設マネジメント, 質問

 46歳になりました。
 facebookやショートメールでお祝いのメッセージを多数頂戴しました。ありがとうございました。
 
 さて、今回から令和3年6月議会一般質問において取り上げて議論しました政策について掲載してまいります。
 
 まずは、公共施設マネジメントについてです。

公共施設マネジメントの目的
⚫財務・品質・供給の視点で公共施設の全体最適を図ります
 本市においては、これまで、人口増加や経済成長に合わせて整備拡充してきた公共施設が、次々と大規模改修や建替えの時期を迎え、今後の維持管理及び保全整備コストの増加が避けられない状況にあります。
 このような状況下において、市民の利便性を考慮しながら最少の経費で最大の効果を発揮していくために、個別の公共施設に係るコスト削減や機能改善等を積み重ねながら、将来を見据えた中長期的かつ分野横断的な視点(全体最適)に立って、公共施設マネジメントを推進していきます。

平成24年12月発行「西宮市公共施設マネジメントのための基本的な方針」より

 もう15年前になりますが、平成18年6月議会一般質問(←クリックするとコラム「公共資産の維持管理システム②」が開きます。)において、私は公共資産のアセットマネジメントについて取り上げ、既存の公共施設の維持管理の状況を一元的に把握し、計画的に修繕、再整備事業は平準化することで財源を確実に確保するよう提案しました。

 その後、平成23年には「公共施設白書」を作成することで、一元的に公共施設の現状を把握するところから始まり、平成24年に公共施設マネジメントのための基本的な方針が示されて以降、未だ完全ではないものの、この方針に基づいて維持管理、再整備が進められてきました。

 しかし突如、コロナ禍を理由に既存施設の再整備が後回しにされるかもしれないという状況に陥っています。単なる事業の先延ばしは、後年に負担を押し付けるだけの浅はかな政策判断と言わざるを得ません。

 夏休みの宿題に例えると、夏休みが始まる時には、宿題を平準化して進める計画を時間をかけて作ったものの、「今日は遊び過ぎて眠たいから明日2日分やろう」などと言って先延ばしにしたとたん、翌日に2日分ができるわけもなく、どんどん先延ばしにしたものが積み重なっていき、夏休みの終わりごろにたまった宿題を一気にやっつけなければならなくなったという経験がある人は少なくないと思います。

 それと同じことをやろうとしていることに、市は気が付いていないわけがありません。先延ばしにしても宿題である老朽化した施設はなくなりません。廃止を決断しない限り。そして、夏休みのような明確な期限はないものの、先延ばしを続けると限界は突然訪れます。

 また、財政の悪化は、これまで財政の抜本的な構造改革に取り組んでこなかったツケが回ってきただけのことであり、コロナ禍によってそれが露呈しただけのことなのです。
 
 ですので、今後急いでやらなければならないことは、いずれ必要となる公共事業の先延ばしではなく、公立保育所の民間移管のような財政に影響を及ぼす抜本的な構造改革であると私は考えています。

 また、中央体育館は非常に稼働率が高く、予約の抽選倍率も平均で20倍を超えていることからスポーツ推進には欠かせない施設です。そして、スポーツを通じた①市民の健康増進、②青少年健全育成、③各競技の競技力の向上、④市民大会の開催、④介護予防、⑤災害時の避難所の拠点機能などなど、中央体育館が市民生活に及ぼす効果は非常に大きいと考えています。

 そこで、令和3年6月議会において、公共施設マネジメントについて、具体的な事業として体育館を挙げて議論し、問題点を指摘しました。

====本会議場での議論の概要====

令和3年6月議会一般質問

1.公共施設マネジメントと財源の確保
ア)市立中央体育館の再整備
■質問の背景(田中まさたけ)

 昨年、中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備事業(以後「再整備事業」)が、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う財政状況の悪化を懸念し、突如、入札を中止するという判断をされました。当該事業は、6年の月日とその間の人件費のほかにおよそ9,000万円という経費をかけ資料の表3に示しましたとおり、パブリックコメントに付した後も、規模を縮小するなどして計画を練り上げてきたものでございます。
 もともと財政に余裕があって再整備を計画したものではなく、竣工から50年以上が経過し、施設の必要性を認めて決定してきたものです。

 また、中央体育館の稼働率は、こちらも資料のほうに示しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響もあったと推察されますが、昨年度は稼働率が90%を割りましたが、その前の平成30年度は、土・日・祝日で91.3%、平日を入れても全体で90.8%と高い稼働率となっており、抽せん倍率につきましても、平均で約20倍前後と非常に高い水準で推移しております。ですので、新体育館は、現状よりも競技面積が約2倍となる計画でございますけれども、需要を勘案するとこれ以上縮小することは考えにくく、一刻も早く再整備事業を進めるべきと考えます。

■質問1(田中まさたけ)
 これまでにこの本会議場におきまして、財政改革に寄与する方策につきましては、幾つも、そして何度も提案してきております。そして、竣工後の本格的な支払いまでにはまだ4年ございます。仮に今年度、大幅に財政状況の悪化が見込まれた場合も、再整備事業を先延ばしするのではなく、支払いが本格化するまでに目標とする財政効果額を明確に掲げた財政改革を実施することが可能であると考えますが、市の見解をお尋ね致します。

■質問1に対する市の回答
 今回の新型コロナウイルス感染症拡大が市財政に及ぼす影響は、今現在試算中ですが、税収等の歳入の減収のみならず、市民や事業者への支援、コロナに伴う変容への対応などの歳出増も想定されるところです。
 そのため、今後不足が見込まれる財源については、中央運動公園の再整備事業も含めた事業計画の見直しや既存事業の見直しにより対応していくこととしておりますが、市財政への影響が大きく、多額の財源不足が見込まれるようであれば、財源捻出を目的とした行財政改善の取組も必要となると考えております。

■質問2(田中まさたけ)
 再整備事業を含めた事業計画の見直しありきの財政対策をお考えであるということが分かりました。
 そこで再質問ですが、この再整備事業は、施設を廃止しない限り遠からず避けられない事業であります。財政状況が好転することも見通せない中で、いたずらに決断だけを引き延ばすことは、将来世代にツケを残すだけの無責任な判断と言わざるを得ません。
 こちらは、今年度の事業実施の可否について、当該再整備事業の優先度をどのように考えて、場合によっては、今後、中央体育館の存廃を検討することも視野に入っているのか、お尋ね致します。

■質問2に対する市の回答
 中央体育館は、多数の市民に利用され、市の施策においても必要な施設と考えておりますので、今後の見直しにおいて存廃を検討する予定はございません。しかし、事業の見直しに当たっては、再整備の実施時期や事業規模については検討することを想定しております。
 また、事業の優先度についてですが、中央運動公園の再整備事業は、老朽化している施設の更新であり、事業の必要性は非常に高いと認識しております。一方、他の事業と比べても多額の事業費がかかることから、その実施については慎重に判断していかなければならないと考えております。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 「多額の費用がかかるから慎重に判断する」という判断基準は、「事業費が安ければ慎重には判断していない」ということにもなります。この考え方は、私は受け入れられません。西宮市の公務員は血税を何だと思っているのか疑います。
 
 公共事業だけではなく、血税を活用して実施する事業は全て、費用の大小ではなく、その事業を公共が担う必要性や費用対効果を最優先に判断するべきだと考えていますし、市立体育館の建替えを検討するにあたってもそうした視点で検討してきました。

 この質問はまだ続きますので、次のコラム以降に掲載します。

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