少子化が進む中での市立幼稚園のゆくえー令和3年12月議会一般質問

2022年4月6日[カテゴリ:子育て・教育, 財政・財政改革, 質問

3月6日のコラムの続きとなります。

 市立幼稚園については、3年連続で4歳児の入園内定者が30名を割った市立幼稚園を募集停止するという「休級休園規定」を平成25年に設けて対応したことで、当時21園あった市立幼稚園は13園まで減少しました。これは、国による幼稚園の保育料無償化により、安価な保育料で通園できていた西宮市立幼稚園の役割が一定終わったことを意味していたと考えています。
 しかし、現在の市長が就任した直後となる平成30年度に休級休園規程が廃止されて公立幼稚園が閉園されることはなくなり、「市立幼稚園のあり方Ⅱ」において今後の方向性が示されたものの、今後の少子化や保育所へのニーズの移行を見据えた市立幼稚園の抜本的な見直しが行われたとは言えないまま、市立幼稚園は運営され続けています。

 その結果、令和3年5月時点の各園の4歳児童数、5歳児童数は以下の通りとなっています。

浜脇…17名、18名
夙川…16名、35名
越木岩…20名、32名
大社…26名、44名
あおぞら…12名、27名
上ヶ原…17名、26名
門戸…21名、19名
高木…29名、42名
春風…18名、25名
南甲子園…14名、12名
鳴尾東…16名、23名
山口…8名、10名
生瀬…9名、5名

 定員割れに歯止めがかかっていないことは明らかであり、さらに、4歳の入園児童数が3年連続で30名を割っている市立幼稚園は10園もあります。

 一方で、令和2年度決算では、公立幼稚園にかかる経費約7億8千万円となっており、そのうち、正規職員55名に対する人件費が5億7000万円、一人当たり1067万円となっています。

 待機児童が多数いる本市においては、直ちに公立幼稚園も民間に移管して、私立の認定こども園とすることで幼稚園のニーズも満たしながら、待機児童の解消に寄与することができると考えています。
 また、民間移管すれは、保育所同様、国や県の負担金の収入が期待できることから、財政的にも有利であり、確保した財源を官民の処遇の格差是正に活用すれば、民間施設の人材確保につながると考えています。
 
 そうした当たり前の改革ができないのはなぜなのか。

 市ははっきりしたことを説明しようとしませんが、私は、これまでに採用している職員への配慮が大きな要因になっていると考えています。市はそうした点をオープンにする必要があると考えています。

 こうしたことを経験してもまだ、市は、連携公立幼稚園制度(←クリックするとコラム「行政経営について」が開きます)を導入してまで、市の職員を増やそうとしています。

 少子化が進んだ先の市政運営の足かせになるかもしれないような施策をなぜ繰り返そうとするのか、全く理解ができません。

 令和3年12月議会一般質問では、今後の公立幼稚園の方向性について取り上げて市の考えを問いました。

====本会議場での議論の概要====

令和3年12月議会一般質問

2.公立保育所のあり方について
(公立幼稚園の統廃合)
■質問の背景(田中まさたけ)

 公立幼稚園の今後の方針は、公立保育所のあり方にも関わってくると考えています。公立幼稚園につきましては、平成27年に策定されました「西宮市立幼稚園のあり方について」に基づきまして、平成30年度まで、3年連続定員割れした幼稚園から休級する、いわゆる「休級・休園規程」を設け、当時21園あった市立幼稚園は13園まで縮小される結果となり、他の子育て支援施設として活用されております。

 そして、石井市長就任直後ではありますが、平成30年7月に改定された「西宮市立幼稚園のあり方Ⅱ」によって、この休級・休園規程が廃止されて現在に至っております。残る13園につきましても、近年、大幅に定員を割っている幼稚園が複数存在していることから、さらに統合を進めて、民間の認定こども園を誘致するなど、施設等の活用方法を見直す必要があります。

 また、今年度から連携公立幼稚園制度が導入され、こちらも、昨年の12月議会におきましてその非効率性を指摘しましたが、強引に進められ、その挙げ句、申込状況が芳しくない中で、越木岩幼稚園での預かり保育の実施は見送られると伺っております。「西宮市立幼稚園のあり方Ⅱ」の計画期間が令和4年度までとなっている中で、これまでの経験を踏まえ、現実的な保育需要から目をそらさずに見直す必要があると考えています。

■質問(田中まさたけ)
 今後の幼稚園ニーズの急激な減少に対応するため、公立幼稚園の統廃合をさらに進め、公共施設の総量の縮減を図るべきと考えますが、市の見解をお尋ね致します。

■教育委員会の回答
 西宮市立幼稚園につきましては、平成30年7月に西宮市立幼稚園のあり方Ⅱを策定しております。その中では、私立も含めた幼稚園ニーズが減少し、保育需要が高まる中、市立幼稚園の適正配置を進め、21園のうち8園を休園とし、令和2年度からは13園体制とするなどの取組みを進めてまいりました。しかしながら、依然として定員に満たない園が複数あるなど、市立幼稚園をめぐっては厳しい状況が続いております。

 一方、国においては、令和元年10月に幼児教育・保育の無償化が開始され、保護者の選択肢が広がる中、全体としての就学前児童数が減少していくなど、幼児教育・保育を取り巻く環境は大きく変化してきております。
 
 そのような状況を踏まえ、今後の西宮市の幼児教育・保育のあり方について、仕組みとして中長期的に安定して持続できるようにしていくことが大切であると考えており、公共施設の総量の縮減という議員御指摘の点も踏まえつつ、広い視点で市立幼稚園の今後についての検討を進めてまいります。

■意見・要望(田中まさたけ)
 将来的な保育所のあり方について、方向性を示すというお答えを頂きました。こちらもやはりいつまでにという期限がございません。こちらのほうも、少し壇上でも申しましたけれども、「市立公立幼稚園のあり方Ⅱ」の計画年度の終わりも迫っておりますので、公立幼稚園の統廃合計画と併せまして、来年度中には是非とも示していただきたいと思っております。今回は要望にとどめますので、鋭意作業を進めていただきたいと思います。

====ここまでが本会議場での議論の概要====

 市立の幼稚園の運営を担当しているのは教育委員会となりますが、運営に必要となる予算を編成するのは市長の仕事となります。
 行政経営改革を掲げる市長の2期目の任期でどのような判断をされるのか、引き続き、注視してまいりたいと思います。

記事一覧