2020年5月21日[カテゴリ:危機管理]
先日のコラム(←クリックするとご覧いただけます。)でも少し触れましたが、明日、臨時の本会議が開催され、市の感染症対策第3弾となる補正予算を審議します。
国や県の施策の対応分(専決処分)と合わせると、令和2年度予算の補正対応は4回目となります。
今回提案された事業に要する予算の補正額は、9億4893万4千円の増額となります。
4月22日コラムに掲載しましたが、前回の補正額は3億6794万5千円の増額でした。
今回の補正予算で提案された事業内容は、幅広く多岐に渡っています。
遅くなりましたが、先週金曜日に発表された内容を分割して掲載致します。
施設等への消毒液及び衛生用品等の支給による感染防止対策
対応は、早いとは言えませんが、これからもワクチンが開発されるまでの間、私たちは新型コロナウイルスと対峙しなくてはならないと言われており、今後懸念されている第2波への備えとしても、消毒液は今後も必要不可欠と考えられます。消毒液はいまでも入手しにくくなっていることから、市が市内の製造業者から購入して、高度な感染症拡大防止対策が求められる医療施設や福祉施設、市の公共施設に支給することは有効と考えられます。
1.酒造会社や薬品製造会社とのタイアップにより製造した消毒液の購入・支給
【予算額】1,526万7,725円
(全額市の負担)
【予算の内訳】
高濃度アルコール消毒液(大関㈱から):4,374ℓ購入…354万1,725円
高濃度アルコール消毒液(日本盛㈱から):4,850ℓ購入…320万1,000円
アルコールハンドジェル(㈱ピカソ美化学研究所から):100mlを5万本購入…660万円
約2000ヶ所への配送委託料:192万5,000千円
予算の積算だけを見ると、現在の市場価格を鑑みるといずれも奉仕価格と言えると思います。
なお、新聞報道にありましたが、ピカソ美化学研究所さんからは、すでに本年3月13日に、市に対してハンドジェルを3000本もご寄贈頂いておりました。コラムにも掲載(←クリックすると3月14日のコラムがご覧いただけます。)しましたが、市からの報告では、民間の高齢者施設や保育所等に配布予定とあります。(配布結果については、正式な報告が記された書類が見当たりません。)
配送料は、1ヶ所あたり約962.5円を要する計算となりますが、これは単純に市役所から施設への配送だけではなく、一時的に保管する基地を4ヶ所に分け、まずは、各工場から4ヶ所の基地へ数回に分けて運ばなければなりません。その後、基地で仕分けをしてから各施設に配送して頂けるそうです。こちらも奉仕価格と言えると思います。
なお、こうした仕分け作業にアルバイトがなくなって困っている大学生を募集して雇用して頂けば一石二鳥なのですが、その予定はないそうです。
2.衛生用品等の追加購入
【予算額】3,851万1,924円
(全額市の負担)
【予算の内訳】
不織布マスク:30万5,400枚…1494万8274円
布マスク(職員配付用):2万枚…352万円
手指消毒液:3500本…770万円
防護服:5085着…714万6150円
防護服(ガウン、手袋等):1万7500組…519万7500円
これらを一括して商社一社が調達してくれるそうです。見積もりを聴取した時期の価格と思われますが、マスクが税込みで1枚当たり48.9円の計算となります。メーカーから直接購入できないところがネックですが、予算が成立しても契約の際には精査が必要と思われます。
3.妊婦へのマスクと消毒液の配布
西宮市ではこのような状況を踏まえ、妊婦の方々が安心して出産等ができるよう、寄り添った支援の一環として、母子健康手帳交付時の妊婦面接の際に相談支援を行うとともに、感染予防としてマスク(10 枚)と手指消毒用ジェルをあわせて配布します。
また、すべての妊婦の方々に行き渡るように、既に母子健康手帳を所持している方々にも郵送で配布することとし、必要な事業費等は令和2年度予算を増額補正して対応します。
【予算額】118万9,000円
(2分の1は国の補助)
【予算の内訳】
消耗品:マスク用袋、クッション封筒など
郵便料:配布対象者妊婦約7千名(うち郵送は3千名分)
※マスクと手指消毒用ジェルは上述。
「妊産婦は不安を抱えやすい状況となっており」、「寄り添った支援の一環」とありますが、接触削減に取り組まれてきた中で、妊産婦の方向けの対面での支援事業が中止や延期になっていることが心配されます。電話だけではなくオンラインで顔を見ながら、抱える不安に対して的確なアドバイスができる体制づくりが必要なのではないのでしょうか。今回の補正予算では触れられていません。
避難所等における感染症対策
【対策の概要】
一般の避難所では、無症状者からの感染拡大の恐れもあるため、避難者及び対応職員の感染防止対策としてマスク等の衛生用品を支給するほか、受付時での検温や、発熱、せき、くしゃみ等の症状を有する避難者の別スペースへの誘導(隔離)等に必要な資機材を準備する。また、避難者の世帯ごとに居住スペースを区切るなど、「3密」を回避するために必要な間仕切りパーテーション等の資機材を備蓄する。
②濃厚接触者の避難対策
濃厚接触者の避難者は、一般の避難所とは別の施設での受け入れ及び移送手段の確保が必要となるため、対応する施設での感染防止対策や対応する職員の防護服等、必要な資機材を備蓄する。
③避難所等閉鎖後の消毒作業の実施
避難所等の閉鎖後、施設を安全な状態で利用再開するために、避難者が利用した居住スペース及びトイレ等の消毒作業を行う
まずは、必要な器材をそろえる予算は計上されましたので、これまでの避難所開設と運営に関する段取りの見直しなどは進められているものと推察されます。
さらに、市民の皆様の不安を取り除くために、その内容を地域の皆様と情報共有することが非常に重要です。
【予算額】6,221万2,000円
(全額市の負担)
【予算の内訳】
消耗品の購入:マスク等衛生用品、体温計、間仕切り用パーテーションなど
委託料:避難所閉鎖後の消毒作業委託
(詳細な内訳は示されていません。)