第3次行財政改善実施計画ー平成16年12月議会一般質問

2005年8月3日[カテゴリ:財政・財政改革, 質問

 財政難の克服は、私の重点目標です。
 
 当選直後の平成15年6月議会一般質問(←クリックするとコラム「財政改革」が開きます。)でも1番目の項目で第3次行財政改善実施計画の必要性を取り上げました。平成16年度以降の5年間でさらに約272億円の財源不足を予測しておきながら、平成16年度以降の行財政改善計画は策定する予定がないことが分かりました。
 
 そこで、2回目の一般質問となりました平成15年12月議会一般質問(←クリックするとコラム「第3次行財政改善実施計画の必要性」が開きます。)でも取り上げ、行政経営改革と財政改革は異なることを指摘し、新たな行財政改善実施計画の策定の必要性を訴えて市と議論しました。その結果、市長から「財源不足対策としての具体的な数値を含めた計画を、行政経営改革とあわせて新年度において策定する。」との回答を得ました。


平成16年2月に示された「行政経営改革基本計画」より抜粋

 そして、「第3次西宮市行財政改善実施計画」の素案が市より示され、平成16年12月1日から1ヶ月間パブリックコメント(市民意見提出手続き)が実施されることとなりましたが、一層の財政健全化の必要性を感じたことから、4回目の一般質問となる平成16年12月議会一般質問において再び取り上げて議論しました。

====本会議場での議論の概要====

平成16年12月議会一般質問

1.第3次行財政改善実施計画について
ア)各局の方針
■質問の背景
(赤字再建団体の回避=場当たり的な財政改革)

 この項目については、私が初当選して間もない昨年6月に取り上げて以来、今回で3回目になります。しつこいようですが、今回も取り上げさせていただきます。
 当時、第2次行財政改善実施計画の最終年度ということもあって、その結果待ちの状態だったとも言えるでしょう。そして、昨年の財政状況を鑑みると、財政の健全化に向けた第3次行財政改善実施計画(以後は今回の行財計画)を策定しなければならないことは明白でありました。

 そして、今年の2月に改めて平成20年度までに321億円の財源不足額があるとの見込みを発表され、このたびの行財政改善実施計画(素案)が策定されたわけです。結果的に行財の取り組みについては1年の空白ができたとはいえ、第1次、第2次の行財政改善の取り組みで経費削減と歳入の増大で合計394億円の財政改善を行い、第2次で限界と言われながらも、半年強という短い期間の間にさらなる引き締め策を講じ、とりあえず4年間で約150億円の財源不足額を解消するという具体的な目標額を算出されました御苦労に対しましては、私も一定の評価をしているところです。

 これ以上の財政健全化に向けた取り組みについては、行政経営改革によってシステムができ上がった後の平成20年度以降に完全に持ち越し、今回は赤字再建団体に陥らないように当面の財源不足の解消計画として策定されたようですが、本来は、平成20年度までの財源不足額321億円のうちの約150億円の解消のめどはついた、残りの約171億円の財源不足については、来年もしくは再来年までに行政経営改革基本計画を前倒ししてでも断行した上でめどをつけるとか、行政経営改革を行う中で平成20年度までに単年度収支を黒字にすることを目指し、さらには第2次行財政改善実施計画で目標に掲げていながら達成できていなかった経常収支比率75%という数値目標を今度こそは達成する、こういった根本的な行財政改善に向けた目標を掲げて策定に取り組むべきと考えます。

 私たち議員、そして、市民が財政面からこの計画を見たときに、赤字再建団体に陥らない程度を目標とした計画では、非常に危険な状況が続くという危機感は消えません。本当に必要なのは、あくまで単年度収支を黒字にすること、そして、健全な財政状況と判断される経常収支比率75%程度を目指して改善実施計画は策定されていくべきです。ましてや、三位一体の改革が推し進められる中、不況も続くというよりはこれが普通の状態とすら思えるほどの状況の中で、収入面ではさらに減額することも予想されるわけです。また、今回の計画のようにぎりぎりの財政状況では、阪神・淡路大震災のような非常事態に速やかに対応できるほどの財政の弾力化は到底見込めません。これからまだ4年間もぎりぎりの線を渡っていていいわけがありません。

(抜本的な財政構造改革が必要)
 まずは、この計画策定にあたっての各局の方針についてですが、根本的にすべての業務、事務事業すべての洗い出しを行って一つ一つ検討できたのかについては、疑問を持たざるを得ません。
 行政経営改革は、これまで行ってきた漠然としたところをきっちりシステム化して明らかにして、そのシステムという道具を使って、より効率的な行政運営を行い、市民満足度を高めることを行政経営の理念として、ひいては職員一人一人の意識改革を促すと述べているわけですが、その意識改革は、システムができ上がらなければできないことなのでしょうか。

 最終的には、ここ数年、単年度収支が60億円から80億円不足すると予想している中で、この解消を行わなければ引き続き第4次の計画を策定していかなければならないことは目に見えていることで、同じことを繰り返すだけです。単純に計算すると、議会も含めた12ある局で年間約80億円の事業縮小をしなければならないと仮定したときに、それを各局で全体の予算に占める割合一律で縮小したと仮定すると、あくまでこれは例ですが、議会関係経費で考えれば、年間経費の占める割合が全体予算の0.6%前後であることから、約4,800万円の削減をしなければならないことになり、議員1人にかかっている経費が約1,600万円であることを考えると、議員数を最低3名は削減しなければならないと算出するとします。

 これを断行するかどうか、ここが市民の声を勘案して行う決断であり、こうしたことが抜本的な解消策となると私は考えています。給料を4年間に限定して年間5%カットしたところで、後々にはまた増加してくる可能性を秘めているわけですから、根本は変わっていない
と考えられます。
 全体の予算に占める割合一律でどの分野も事業縮小をするか否かは、これは政策判断です。どちらにしても、平成20年度までに単年度収支を黒字にすること、ひいては経常収支比率を75%まで引き下げるといった行財政の根本的な解決に向けた意思は、この庁内には存在しないのでしょうか。
 今回、半年強の時間をかけて、今までの枠組みの中では150億円の経費削減を図るのが限界であったと恐らく判明したことと思います。とすれば、全庁的に行政経営改革を一刻も早く実施しなければならないという意識が芽生えないようであれば、システムができ上がっても職員の意識改革は遠い話になるように思います。

■質問
システム構築中の現在、各局がどういった方針で今回の財源不足対策を検討なされたのかをお尋ね致します。

■市の回答
 本年4月に行政経営改革基本計画に基づく行政経営改革の着実な推進を図るとともに、財政健全化に向けた行財政改善の推進を図るため、行政経営改革等推進本部を設置致しました。この推進本部におきまして、従来の慣習にこだわらず、新しい発想で事務事業全体を見直し、内部管理経費の削減、市独自制度の見直しなど、全職員力を合わせて取り組みを進め、平成17年度予算から反映させることにより、赤字再建団体への転落を阻止する、こういう方針で全局の意思統一を図ったところでございます。この方針のもとに、各局において1次、2次で取り組んできました人件費を初めとする内部管理経費のさらなる削減、自主財源の確保、アウトソーシングの推進、他市とのサービス水準の比較などに基づく事務事業の見直しなどに取り組み、今般素案としてまとめたものでございます。

■意見・要望
 当初は、今回の行財計画を策定するに当たっての基本的な考え方、全体の目標額が本部で示され、それに基づいて、各局それぞれが抱える事情、市民ニーズを勘案した課題などを踏まえて、各局、各部、各課で会議を行った上で独自の細かい方針を示し、全庁的な取り組みがなされたものと想定して私は質問させていただきましたが、お答えでは、全庁統一した意思として本部で決まった方針のもとで行ったとの御答弁でした。
 それであれば、上から降ってきたけちけち作戦を「やらされている」という思いを職員さんが持たないように、職員さんの間でそういった空気が蔓延しないように、全庁的な意識改革を促す意味でも、消極的な目標ではなくて、財政健全化に向けた積極的な取り組みとして、是非とも今後の毎年のローリングを行っていただきたいということをまず一つ要望しておきたいと思います。

 それと、一つ気になったのが、「他市のサービス水準を見ながら」というところです。他市の事例を参考にされるのはいいことなのですが、他市のサービス水準よりも本市の方が上回っている事業を重点的にすべて見直して周りに合わすといった安易な方法をとるというのは、実質、赤字再建団体に陥った状況と余り変わらないのではないかと感じます。
 そのようなことはしないとは思いますが、是非とも自主的な財政健全化に向けた取り組みとしていただけますよう強く要望しておきます。

====ここまでが、本会議場での議論の概要====

 行政経営改革等推進本部からの全庁統一の方針ももちろん必要ですが、真の財政健全化を実現するには、財政の構造を変えなければなりません。そのためには、全庁統一の方針に加えて、各局ごとにも方針を掲げて、財政構造を変えるための改革を進める必要があると考えています。

 質問の背景の中で議会事務局を例に出しましたが、行政経営改革等推進本部では、「議員定数の削減」という方針を掲げることはできないと思われます。市議会側から、恒久的に経費を削減する方法として、議員定数の削減を議論し結論を出すしかありません。つまり、推進本部の方針だけでは限界があり、各局からの方針も出してもらうことが必要だと思っています。

 このままでは、場当たり的な財政削減で終わってしまい、時代の変化に対応することがますます困難になると考えています。今後は、財政構造改革に向けて、具体的に議論を重ねなければならないと考えています。

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