行政経営について④-令和2年12月議会一般質問

2021年2月18日[カテゴリ:財政・財政改革, 質問

前回のコラムの続きとなります。

行政経営について
行政経営について②
行政経営について③
と合わせてご覧ください。

 ここまでで、待機児童対策、保育所行政、学校給食調理業務という具体的な政策において、「行政経営」の考えが考慮されているとは全く感じまれませんでした。20年前と同じようにしか思考されていません。
 西宮市が16年前から使い始めた「行政経営」という言葉、また、改めて行政経営改革基本計画を策定し、行政経営をしようとしている現在、「行政経営」とはいったい何なのか、市はどのように考えているのか、令和2年12月議会一般質問で取り上げましたこの項目(行政経営について)の最後に問いました。

 なお、「経営」を辞書で調べますと、「事業目的を達成するために、継続的・計画的に意思決定を行って実行に移し、事業を管理・遂行すること。」とあります。

 市民生活を送る上では、市役所での行政経営などどちらでもいいこと、面白みのないことかもしれませんが、こうした市民から見えにくいところに光を当てることによってしか、ずっと住み続けたいと思えるまちづくり、子供たちが大きくなった時に生活するまちをつくることができないと考えています。

 最後までご覧頂けましたら幸いです。
  
====本会議場での議論の概要====

令和2年12月議会一般質問

1.行政経営について
■意見(田中まさたけ)

 現在、西宮市におきましては、行政経営改革に取り組んでいるわけですが、今日は行政経営改革ではなくて、「行政経営」という言葉の意味について問いたいと思っていました。
 今、西宮市は、行政経営の発想を持って取組みが検討できているのか、疑問を持たざるを得ない事業を今回は三つ挙げました。るる御答弁を頂いたのですが、まだまだ行政経営という発想では検討ができてなかったのではないかと私は感じております。

■再質問(田中まさたけ)
 市長が今考えておられます西宮市で進めようとしている「行政経営」とはどのようなことなのかということを、時間の都合がございますので、端的にお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。

■再質問に対する市長の回答
 端的に、今掲げております市役所改革は、市民と共に新たな価値をつくる市役所改革というようなことで、オープン、スマート、リライアブルというふうに申し上げております。市の職員のみが直営するというのでなくて、市民と一緒にやることによってまちの価値は上がっていくというような大きなことでもあります。一方で、限られたリソース、財源、それからヒューマンリソース、こういったものを適正に配分していくというようなことももちろん大きな行政経営であろうと思っております。

■指摘1(田中まさたけ)
(ただいまのお答えは)行政経営改革の基本方針にも少し書かれてはいる内容ですが、私は、大事なのは「持続可能」であるということだと思っています。限られた財源とか経営資源を最大限活用するということも大事なのですが、この持続可能というところが、やはり「経営」とつける限りは、重要なのではないかと私は感じてます。
 ところが、今、市長がお答えいただいた市民と共にというところも含めて、今回取り上げた3つの事業(待機児童対策、保育所事業、学校給食調理業務)の検討の中で実践できているのかというところは、私は疑問を持っております。是非とも、具体的な取組の中で、大変難しい課題の解消に向けた検討ということで大変だとは思うのですが、そうした具体的な取組の中で行政経営の発想というものをしっかりと取り込んでいただきたいと思います。これは、まず指摘しておきたいと思います。

■再質問2(田中まさたけ)
 少し話が飛ぶようですが、今回は連携公立幼稚園について取り上げました。この事業を始める時などは特にそうですが、先ほど人件費、人員の試算等をお答え頂き、単年度の人件費も大事ですが、正規職員1人を雇うと生涯にどれだけの人件費が必要となるのか、それもきっちりと念頭に入れた検討というのが私は必要ではないのかと思っています。特に事業を新たに開始する時は。

 西宮市で正規職員1人あたりの生涯に必要な平均の人件費、できたら、今回、連携公立幼稚園のほうの会計年度任用職員、臨時職員の採用ということもございましたので、その職員1人あたりの、生涯に必要な平均の人件費、どのような数字で検討されたのかということをお尋ねしたいと思います。

■再質問2に対する市長の回答
まず、私が理解しておりますのは、正規職員を一生涯雇いましたら、その職員が退職金も含めて2億5,000万円、管理職にならなかったというようなことでの前提で聞いております。あと、会計年度任用職員については、A、Bございますけれども、その生涯というのは承知はしておりませんが、年度あたりで、Aについては300万円台、Bについては200万円台というようなことで報告を受けております。

■指摘2(田中まさたけ)
退職金を含めておよそ2億5,000万円かかるということで、これは西宮市の場合ということです。インターネットで調べたら出てくるのですが、地方公務員の方で2億5,000万円から3億円がかかるという情報が出てきています。西宮市の場合でも大体2億5,000万円だということで理解をしておきます。(もう少し多いと思われるのですが。)
 今お答えの中で、会計年度任用職員の件については(生涯賃金については)お答えにならなかったですが、今回、連携公立幼稚園を運営するにあたっては、新たに会計年度任用職員の方々を採用するということです。ということは、つまり、そういった数字はあまり念頭に入れずに検討されたというふうに理解を致しました。ですので、そうしたことをしっかりと念頭に置いて、新たな事業を始めるというときには検討すべきであるということを指摘しておきたいというふうに思います。

■意見・要望(田中まさたけ)
 まず、今後はむやみに職員を増やそうとしないでください。
 これも資料に示しましたが、常勤職員の人数をグラフにしました。平成23年度以降、増加し続けておりまして、平成16年の前の行政経営改革を始めた年と同じ水準になってます。平成16年当時は、職員の大量退職の時期を迎えておりまして、退職手当をはじめとする人件費が増大した時期でもあります。この退職不補充によりまして平成23年度まで職員を削減してきたんですけれども、その後、9年間で305名も増加しておりまして、元に戻ってしまったわけです。

 表1にも示しましたが、会計年度任用職員Aの職員もこの4年間で68名増加してます。Bの方に至っては187名も増加しています。これは、コロナ対応の前の数字です。ですので、繰り返しになりますけれども、職員の増員については、職員の生涯に要する人件費、これも考慮していただきまして、厳に増加については慎んでいただきたい
、このことを要望しておきたいと思います。

 もう一つ、民にできる事業は徹底して民に委ねるという方針を貫いていただきたい
 限られた経営資源である貴重な職員、こちらを有効に配置するためにも、その姿勢が私は必要だと思ってます。
 コロナ禍によりまして財政の悪化を懸念して、市立中央体育館の再整備を一度止めました。これは市民サービスの低下をもたらす行為です。ですので、市役所内部につきましても、職員を1人でも無駄にしないという姿勢を、姿勢ですよ、姿勢を見せてもらいたいと思ってます。
 これまで指摘してきましたとおり、もっと早く公立保育所の民間移管を進めていれば、職員枠を別の公でしかできないところに大量に回すこともできたはずです。連携公立幼稚園につきましても、先ほど御答弁がありましたけれども、年間約8,700万円の一般財源を使う計算になります。民間にお願いすれば3分の1の負担で済んだわけです。つまり、5,800万円の一般財源を余分に使うことになったわけです。

 また、表3にも示しましたが、保育所、幼稚園、そして認定こども園などに入園している児童の数は、昨年と比べて全体で59名減少してます。全体で見るともう減少しているのです。このまま民間の保育所をどんどん増やしてもいいものか、ましてや、公立の体制を強化していいものかということは、行政経営の発想で検討していただきたいと思います。

 そして、私立幼稚園の児童が減っているというのもありますので、やはり既存施設の活用という観点からいくと、私立幼稚園との協働というのが重要になってくるのではないかと私は思いました。

 ですので、まず、市長をはじめとする経営陣の方々ですね、行政経営を担っていらっしゃる経営陣の皆様、あと、今(新型コロナウイルス感染症対策のため、議場には)おられませんけれども、エンジンになります政策局の方々には、もっと意識改革を進めてほしいと思います。この行政経営の発想を持って様々な行政課題に対応していただきたいということを最後に要望申し上げまして、田中正剛の一般質問を終わらせていただきます。

====ここまでが、本会議場での議論の概要====

 現在の市政運営の結果は、財政についても、10年後、20年後に影響が出てくることを実際に経験してきました。もちろん行政運営は、税金の使い方として、現在のことが最優先であることは言うまでもありません。しかし、将来を見据えて現在の課題に取り組むことが重要なのです。

 これまでは順調に税収が確保できていましたが、高齢化が進み、税収が減少するようなことになれば、固定費は重い負担となります。納税者にとって、住宅地として、または商業地として、西宮市の魅力が低下するようなことになれば、西宮に住み続けたいと思うのでしょうか。
 そして、財政が危機的な状況に陥り、再び西宮市単独の福祉を削らなければならないような事態になれば、福祉を必要とする方は西宮市で生活し続けられるのでしょうか。
 
 人口減少時代に突入し、ICT技術が発達して、現在の大きな商業地の近くに住む必要性が低くなる時代に入りつつある中、西宮市の魅力を持続するためには、将来のビジョンに基づいて計画的にまちづくりを進める視点が重要となります。

 こうした部分は、市民の皆様、納税者の皆様からは、今は非常に見えにくい部分であると感じています。そして、気がついたら重い負担となって私たちのもとに帰ってくるのです。その時になって政府行政を責めても、何ら状況が変わらないことを一度は経験した方は多いと思っています。そして諦めてしまっている方も多いようにも感じます。

 なぜ、変わらないのかは、政治がこの「見えにくい部分」を放置しているからだと考えています。
 
 だからこそ、間接民主主義の議席を預かっている議員と、市民から市政運営を任された市長は、こうした市民から見えにくい部分こそ、真剣に考えて取り組み、市民に説明していかなければならないと考えています。

 これからも、問い続けたいと思います。

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