家庭教育に対する支援ー事実に基づいた情報の提供を

2022年7月7日[カテゴリ:コラム, 質問

 西宮市においても、小中学校において、不登校の状態になる子供が増え続けています。
 これまで、不登校の状態になった子供やご家庭に対する支援について本会議で取り上げてきました。

平成27年12月議会一般質問
↑クリックをするとコラム「不登校支援」が開きます。

令和元年12月議会一般質問
↑クリックするとコラム「訪問型家庭教育支援チームの設置を」が開きます。


教育支援センター「あすなろ学級かわらぎ」

不登校の状況については、こちら(←クリックするとコラム「不登校に関する勉強会」が開きます。)にも掲載しています。

 平成18年に、教育基本法が昭和22年制定以来59年ぶりに改正され、家庭教育について規定されました。
 

教育基本法
(家庭教育)
第10条 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

 法律が改正されてから15年、現場の対応が大きく変わったとは言えず、社会環境の変化やデジタル化の進展とともに、子供たちが置かれている環境はますます悪化しているように感じます。

 そこで、令和4年6月議会において不登校の対応について取り上げるにあたって、不登校の現状に対しても理解を深めて家庭での対応力を高められるよう、まずは、事実に基づいた情報を提供するよう市教育委員会に対して提言しました。

====本会議での発言の概要====

令和4年6月議会一般質問

1.不登校の対応について
ア)家庭教育支援
■質問の背景(田中まさたけ)

 本市では、少子化が進行する中、資料のグラフ(←クリックすると不登校の状況に関する資料がご覧いただけます。)にも示しましたとおり、小・中学校における不登校児童生徒の人数は増加傾向にあり、令和2年度の不登校児童生徒は、小学校で296名、2クラスに1名の割合となっています。中学校で585名、こちらはおよそ1クラスに2名の生徒が不登校の状態にあるという状況でございます。
 そして、小学校では約46%、中学生では63%の不登校児童生徒が90日以上欠席しているとのことでございます。

 また、児童生徒全体に占める割合が、小学校においては平成29年度以降、中学校においては平成30年度以降、兵庫県及び全国のいずれの割合よりも大きくなっております。そして、平成28年12月に教育機会確保法が成立し、本市においても、国の基本方針に従って、あすなろ学級の拡充やオンライン学習の対応、居場所の情報提供など、支援の取組が強化されてまいりました。

 この基本方針に基づいた取組は大変重要と考えますが、私はさらに、未然防止・早期対応が可能となる環境を整備する必要があると考えております。
 
 そして、教育基本法第10条に、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」とありますが、未然防止のみならず、不登校となった場合の対応についても家庭が重要な役割を果たすこととなります。

 そこで、本日もまずは、この家庭教育に対する支援について質問することに致しました。

 資料(←クリックすると資料がご覧いただけます。)にも示しましたが、文部科学省が行っております「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果によりますと、不登校の要因として、無気力、不安が小学校で約46%、中学校で約47%と突出して多く、西宮市も同様なのであれば(西宮市としては現在は公表されていません。)、子供が無気力になる、もしくは学校に行けなくなるほどの不安を抱える原因を詳細に分析する必要があると考えます。

 また、西宮での不登校の要因や実態がはっきりしない中で、保護者も漠然とした不安を抱いていると推察されますので、毎年の不登校の傾向やそのきっかけについて、家庭に対しても情報を提供し、家庭教育の重要性を啓発するべきと考えます。

■質問1(田中まさたけ)
 保護者の不安の解消や不登校の未然防止の観点から、特に子育て世帯に対して不登校の実態についての情報を提供することで不登校に関する理解を深め、家庭教育の啓発を進めるべきと考えますが、教育委員会の見解をお尋ね致します。

■教育委員会の回答
 まず、不登校についての情報提供ですが、不登校になる原因が多岐にわたり、複合的でもあることから、情報の内容によっては保護者に不安や誤解を生じさせるとともに、子供の発達に大きな影響を与える可能性が心配されるため、情報提供は考えておりません。
 教育委員会では、児童生徒が不登校の状況に陥りやすい夏休みの終わりに、市政ニュースを通じて、「大丈夫、ひとりじゃないよ」と題し、不登校に関する教育支援センター等の情報を広く市民に提供し、紹介しております。

■意見(田中まさたけ)
 不登校に関する理解を深めるために、家庭に対する情報提供を求めましたが、否定的な回答でございました。
 現在、核家族化が進んで久しく、共働きやひとり親の世帯が増加している現代社会において、特に家庭の教育力の低下が指摘され始めてからも随分経過しています。
 
 1年前ですけれども、昨年の6月議会でも、マスクの着用の緩和、また、ワクチンの情報提供についても議論しました。その際にも申し上げましたが、現在、インターネットの普及によりまして情報があふれ返っております。そういった現代だからこそ、一定のエビデンスであったり事実に基づいた公共による情報発信の重要性が増していると私は感じております。

 教育基本法第10条の2項には、「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない」という努力義務が課されております。

 家庭の教育力の向上、対応力の向上は、子供のためであることは当然ですが、結果的には先生方の負担の軽減にもつながっていくというふうに私は考えておりますので、不登校の未然防止のためにも、不登校についての理解を深めてもらえるように、不登校の事実についても隠さずに情報を提供していくべきであると改めて教育委員会の方々には指摘しておきたいと思います。

====ここまでが本会議での議論の概要====

 教育委員会から不登校に関する情報を提供することについては、現時点では「考えておりません」と明言されました。

 これが事実です。

 そして、その理由は誤解や不安を生じさせる恐れがあるから。。。

 もちろん、個人情報が特定されるような情報の出し方は求めていませんし、その必要はありません。誤解を生じさせないように工夫をして情報を発信していくべきだと私は言っているだけなのです。
 その努力をする姿勢すら見せない 今の西宮市教育委員会は、改正された教育基本法を無視しているといっても過言ではないと思います。

 西宮市内において不登校児童生徒の人数が、兵庫県や国よりも高い割合になっている原因は、この西宮市教育委員会の姿勢にあるのかもしれないとすら感じました。

 また、いつも家庭教育支援についての質問をすると感じることなのですが、平成18年に改正された教育基本法が現場に浸透していないどころか何かに抵抗しているようにも感じます。

 学校の対応については、一般質問の中でまだ続きますので次回以降のコラムに掲載いたします。
 
以下、関連する最近のフェイスブックでの投稿を掲載しておきます。

フェイスブックでの投稿

■7月1日投稿

朝から日差しが強くて暑すぎます。
今日は、教育こども常任委員会に出席しました。

まず、補正予算の審査を通じて、令和5年度から本格的に始まる部活動改革の今後について質疑しました。
そして、段上小学校の大規模改修工事の契約の議案の審査を通じて、学校体育館へのエアコン整備に向けた対応について質疑しました。
熱中症対策が重要です。

また、これから9ヶ月間集中的に調査をして市に提言をする施策研究テーマの募集がありましたので、
・家庭教育支援の取り組みについて
・部活動改革について
・市立保育所民間移管計画について
の3つを提案しました。
他の委員からもいろいろと提案がされていますので、私の提案が採用されるかどうかは分かりませんが、何に決まっても、上記のことは機会があるたびに議論をしたいと考えています。

写真は昨日の自民党の夙川駅での朝の駅頭活動に参加した際に撮影しました。
手応えも、反応がいいとも感じません。
まだまだ頑張ります。

■6月25日投稿

参議院議員選挙の真っただ中です。
参議院議員選挙は、選挙区と比例代表(全国)が完全に分かれています。
今日は、比例代表(全国区)で出馬されている自民党公認の山谷えり子さんの街宣車が西宮に来られましたので、県会議員さんから要請があり阪神西宮駅前で応援演説をしました。

比例代表は衆議院議員選挙と異なり全国区なので非常に過酷な選挙だということは容易に想像がつきます。
兵庫県の選挙区では、自民党からは文部科学大臣の末松信介候補が出馬しており、自民党は伊藤たかえ候補も推薦しています。もちろん一人だけ選んで氏名を書いてもらわなければなりません。
比例代表は支持する政党名を書いてもらってもいいですし、比例代表で出馬している候補の氏名を書いてもらっても、まずはその方が所属する政党に1票を投じることになります。
そして、政党の得票数によって当選者数が割り振られ、個人名の記載の多かった方から順に当選が決まります。
個人名だと一人しか書けませんので、同じ自民党でどうしても応援したい方が複数いる場合には判断に困ります。

今日は、山谷えり子さんご本人はいらっしゃっていませんでした。
私はこれまでにテレビで拝見する以外、直接お話を伺ったこともありませんが、これまで3期を務められ、拉致問題のほか、家庭教育についても重点的に取り組まれてきた方です。

西宮市議会という狭いフィールドではありますが、私も家庭の教育力の向上について議論をしてきてその重要性を感じていますので、山谷えり子候補には、ますます活躍していただきたいと期待しています。

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