訪問型家庭教育支援チームの設置をー令和元年12月議会一般質問

2020年7月4日[カテゴリ:学校教育, 質問

昨日、全国で250人の新型コロナウイルス感染が確認され、新規感染の確認が200人を超えたのは5月3日以来ということで、2ヶ月ぶりとなります。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、地震、大雨など避難を要するような自然災害の発生も心配されています。

さて、この春、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う長期の臨時休業を経験し、小学生や中学生の子供が、学校とのつながりをなくした際の不安や負担は、子育て世帯のほぼ全ての家庭が感じたことだと思います。
そして、このような事態となる前は、不登校の児童生徒とそのご家庭は、同様の不安を感じていたと推察していました。「全員が休み」という環境に置かれた今回の臨時休業よりも、さらに精神的な焦りは大きかったかもしれません。
西宮市でも近年、その不登校の児童生徒が大幅に増加し続けてきましたが、4年以上前の平成27年12月議会(←クリックするとご覧頂けます。)の市議会で、不登校対策の強化について議論していました。

そしてその後、私は、不登校の児童生徒とご家庭が、学校とのつながりを絶たれ不安を感じている状態を緩和する必要があると考え、訪問型の家庭教育支援チームの導入を平成28年12月議会で提案しました。学校の担任の先生とのつながりがもちろん大切であり、児童生徒の状態を把握する上でも重要です。しかし、多忙が問題となっている学校の先生だけの対応では、訪問を続けることは困難であることは目に見えている中で、専門の方に手伝って頂きながら訪問を続けることで、学校が子供と繋がり続けることが大切だと考えてきました。

そこで、令和元年12月議会で取り上げ、改めて議論しました。

不登校の児童生徒が増加していることについては、以前のコラム(←クリックすると令和2年1月29日のコラムが開きます。)に掲載しましたのでご覧ください。

======ここからが本会議場での議論の概要======

令和元年12月議会一般質問

1.子供の育ちに対する支援について
ウ)家庭の教育力の向上
■質問の背景・田中の主張
昨今、社会や生活環境の変化に伴い、子供に関する課題は多様化しています。いじめ、不登校、SNSを介した犯罪被害、薬物乱用、虐待、発達障害、子供の貧困などは社会問題となっております。それらへの対応は、行政による一くくりの施策では解決が困難であり、子供に対する家庭の教育力や問題が発生した際の対応力の向上に向けた支援・助言体制を講じることが喫緊の課題であると私は考えております。

そこで、平成28年12月議会での一般質問(←クリックすると質問がご覧頂けます)において、こうした課題に家庭と学校と地域が団結して対応していく体制を整備するために、訪問型家庭教育支援チームの設置の必要性について質問したところ、教育委員会の答弁の中で、小・中学校に県のスクールカウンセラーや市の教育相談員を配置し、必要に応じて教育学、医学、心理学などの専門家チームやスクールソーシャルワーカーを派遣することで、学校を通じて課題のある家庭への支援に努めていくと述べられました。

一方で、課題の一例として、不登校を挙げますと、平成30年には、資料(←クリックするとPDFファイルが開きます。)にもありますとおり、本市の小学生239人、中学生577人が不登校の状態にあると報告されております。

そして、教育現場で様々な課題を抱え多忙を極めている小・中学校の教員が、子供たちが抱える悩み、それに付随する親の悩みに対してどこまで寄り添った対応が可能なのか、疑問を持たざるを得ません。

■質問
教員OBなどの専門家を核とする学校と連携した訪問型家庭教育支援チームを設置し、不登校のみならず、課題を抱える家庭に対して、委嘱された専門の支援員が訪問し、寄り添って助言・支援することで、課題に対する早期対応が可能となり、また、教員の負担軽減にもつながると考えますが、教育委員会の対応をお尋ね致します。

■教育委員会の回答
平成28年12月定例会において議員から訪問型家庭教育支援チームの設置に関する御質問をいただいて以降、課題のある家庭へのかかわり方やチーム設置の可否等について研究してまいりましたが、個々の家庭に入り込む難しさや実動する人材確保が難しいことなどから、現段階での設置は困難であると考えております。

一方で、家庭の教育力向上に向けては、関心のある方だけが集まる講演会だけではなく、不登校やひきこもりなど課題に対応した内容に絞って必要な情報を提供したり、民生委員・児童委員などの地域人材やスクールソーシャルワーカーなど専門家とつながる機会を設けたり、できるだけ多くの保護者が集まる地域に出向いての家庭教育の支援が必要であると考えました。そこで、平成29年度からは、小学校と中学校の数校で、入学説明会やPTA総会に合わせたアウトリーチ型の家庭教育講座を実施しております。

そこでは、各学校のスクールカウンセラーに発達段階に応じた子供の接し方を話してもらうなど、タイムリーな情報がより多くの保護者に届くよう努めております。また、平成30年度は、同じ悩みを持つ保護者同士が集まって話し合い、必要な情報を得る機会として、不登校にテーマを絞ったセミナーを開催したところ、定員を超える応募があり、悩みを抱える多くの保護者に参加をいただきました。

今後は、これらの取り組みを進めるとともに、学校やこども未来センター、その他の関係部署とも連携しながら、閉ざされた家庭の中でどのように子育てをすればよいかという迷いや悩みを抱えた保護者に寄り添う家庭教育支援を検討してまいります。

■教育委員会の回答を受けて
壇上でも不登校を例に挙げましたが、家庭の教育力の向上というのは不登校だけではございませんので、限定はしませんでした。

ただ、例として、最近かなり増加しているということもありましたので、例として挙げさせてもらいましたが、教育こども常任委員会で配られた資料(←クリックするとPDFファイルが開きます。)で、不登校になったきっかけと考えられる状況というのは、家庭に係る状況というのが一番多くなっています。これを足し算すると、複数の要因があった方がいらっしゃると思うので、足し算すると数は合わないのですが、一番多くなっているのは確かですので、こういったところにも家庭教育の支援の必要性が現れていると感じております。

現在は、家庭教育支援事業は社会教育の部署で担当して頂いています。御答弁にあったとおり、アウトリーチ型の家庭教育の普及についてはさらに力を入れて実施していただきたい、これは要望しておきたいと思います。そして、御答弁にありましたとおり、チームを設置して御家庭を訪問することになれば、具体的に何をするのかということが定まっていない状態で人材を確保するということは難しいと思いますし、学校と連携をする機会が乏しければ、こちらも、仮に不登校の子供を対象に訪問するとしても、個人情報の問題であったり、また、御家庭の理解の問題、こういったところもありまして、なかなか活動はうまくいかないと感じております。

他市では、さまざまな形で実施されていますが、訪問型家庭教育支援チームが類型化されておりまして、
①本当に全戸訪問するような「ユニバーサル型」、
②課題に応じて訪問する、課題のある御家庭を訪問する「ターゲット型」、
③例えば小学校1年生と中学校1年生のような形で対象年齢を絞って全戸訪問するという「ベルト型」

と呼んでいるそうです。
そういった類型化がされているのですが、まさに今、西宮市においては、不登校という課題をターゲットに絞って開始する方法というのが考えられると思っております。

■再質問
昨日も不登校対策については詳しく議論がございましたが、不登校生徒児童に寄り添うということを目的に、まず、スクールソーシャルワーカーの人数を強化する、そういった対策で支援チームを設置して、そしてまた、学校と連携、学校発信で不登校生徒の家庭を重点的に訪問することについて検討できないかと思いますが、教育委員会に対策をお尋ね致します。

■再質問に対する教育委員会の回答
不登校については、原因も状態も複雑化していることもあり、その支援については地域社会全体で支えていく必要がございます。学校が関係機関や福祉、社会教育とも連携していくことが求められております。現在、学校では、スクールソーシャルワーカーを中心に、児童生徒の問題行動や不登校などの事案について、福祉関係、児童心理の関係者や行政の関係職員などが一堂に会し、児童生徒の指導方法について協議をするケース会議を開催し対応しております。

議員御提案の訪問型家庭教育支援チームについては、今後立ち上げを予定している庁内の不登校対策検討委員会において、関係部署と連携しながら協議を進めてまいりたいと考えております。

■意見・要望
関係部署と連携しながら協議を進めていただけるということですので、ぜひとも積極的に学校を交えて取り組んでいただきたいと要望致します。
この質問をしている間にも、不登校の状態になっている生徒、そしてまた、御家族の皆さんは、恐らくこの瞬間もお悩みのことと思います。仮にその中でひきこもっている状態の生徒がいるとすれば、貴重な青年期の時間を失っているということにもなります。迅速な対応をお願いしておきたいと思います。

======ここまでが、本会議場での議論の概要=======

前回のコラムの中で、幼児教育に関する本会議場での議論の概要で掲載しましたが、年々充実していっている就学前児童に対する手厚い支援と、就学後の自立を前提とした行政の対応の差がどんどん大きくなっています。そのギャップに適応できず、小学校に上がってから子供が何らかの壁にぶつかった時に、家庭で対応しきれない、早期対応ができていないことが、不登校児童生徒の増加という数字にも表れていると推察しています。西宮市だけの問題ではなく、国としての問題でもありますが、幼児教育と家庭教育がおざなりにされてきた結果と言っても過言ではないと思っています。

人はいつかは自立しなければなりませんから、いつまでも支援をすることは子供のためにはなりません。
しかし、現在の流れで考えると、学童期の子供に対する訪問型の支援を強化するか、幼児教育と家庭教育支援による家庭の教育力の向上を強化するか、もしくはセットで実施しなければ、現代の子供を取り巻く社会問題を乗り越えながら子供が成長していくことがどんどん困難になるように感じています。

まだ、私の提案が市教育委員会に受け入れられたとは言えない状況にありますので、引き続き、取り組んで参ります。

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