新市長は所信表明の中で、「総合計画は10年先の将来像を示すものですが、まちづくりは、さらに長期的なビジョンを掲げて取り組むことも必要です。このため、さらに先の、例えば2050年の西宮の未来図の検討などにも挑戦したいと考えています。」と述べられました。
選挙前の市長個人のホームページには掲載がありませんでしたので、先般の所信表明で述べられたことに少し驚きました。
私はこれまで、国内での人口減少や高齢化のみならず、世界的なICTを始めとする技術革新や環境問題など社会情勢の変化を鑑み、西宮市の「人」や「物」、「金」の状態が将来どのようになるのかを長期的な視点で推測し、計画的に住みよい西宮市をつくっていくために、長期的な将来ビジョンを市民とともに共有していく重要性を本会議等での議論を通じて主張してまいりました。
平成18年6月議会一般質問(←クリックするとコラム「公共資産の維持管理システム②ー市の資産に関する情報の一元管理」が開きます。)
平成24年12月議会一般質問(←クリックするとコラム「高齢化に関する将来ビジョンの策定を」が開きます。)
平成25年12月議会一般質問(←クリックするとコラム「少子高齢社会福祉ビジョンの策定を」が開きます。)
平成27年6月議会一般質問(←クリックするとコラム「地方版人口ビジョンの策定について」が開きます。)
での議論を参照して頂けましたら、この所信表明での発言にどれくらい期待しているのか、少しだけお分かりいただけるかと思います。
そこで、平成30年6月議会代表質問において、その真意を確認するため取り上げ、期待を込めて議論しました。
======ここからが本会議場での議論の概要=======
平成30年6月議会代表質問
1. 市長公約について
■質問の背景
次に、公約ではなかったかもしれませんが、市長は、2050年の西宮の未来図の検討にも挑戦したいと所信表明で述べられました。人口減少社会、成熟社会において、将来の姿を描きながら現在の施策を講じることは重要であると、私も、この本会議の場でこれまでも主張してまいりました。
そして、2060年の人口ビジョンを掲げて2020年までの取り組みが示されました西宮市総合戦略が、本市の将来を見据えた政策推進体制の第一歩となり、中でも人口ビジョンは、全ての分野別計画の根幹の一つとなるものと期待しておりました。前市長は、政策アドバイザーを雇用し、多額の費用をかけてこれを策定されました。
しかし、その総合戦略は、10年間を計画期間とする次期西宮市総合計画に吸収されようとしています。これでは、これまでの時間と投入された公金が無駄となってしまいます。
現在は、人については人口ビジョン、物については公共施設等総合管理計画がございます。
そして、お金については、税収や社会保障等、経常経費の将来予測をした財政シミュレーションが必要です。
これらを本市で策定する分野別計画の土台とすべきと考えます。
■質問(田中まさたけ)
2050年の西宮の未来図を検討するとは、どのような意図で検討し、成果物はどのようなもので、全ての分野別計画の根幹をなすものとお考えなのか、そして、具体的にどのようなアクションをお考えなのか、お尋ね致します。
■市長の回答
現時点では具体的な成果物や手法についての考えはございませんが、総合計画の10年よりももっと先の未来図があってもよいと思っております。
そうした中、手にしましたのが平成30年5月10日号の議会だよりの「わが会派はこう思う」という記事の中で、政新会のお考えとして近未来へのビジョンがないという御指摘がなされておりまして、これも踏まえて、ぜひこれに取り組むべきだと考えております。今後、具体化に向けて検討を進めてまいります。
======ここまでが本会議場での議論の概要=======
「現時点では具体的な成果物や手法についての考えがない」とのことでした。わざわざ重大な所信表明で言及したからには、「あってもよい」程度の意識では困ります。まずはこの意識から変えてもらわなければなりません。
「あってもよい」程度のものであれば、貴重な税金と職員の労力をつぎ込むべきではありません。
私が期待したのは、限られた財源の中で、「市民が住みよいまちづくり」を計画的に進めるうえで、「人・物・金の長期的な将来ビジョン」や「社会情勢の予測」は「なくてはならないもの」という考えでした。
私は、この「2050年の西宮の未来図を検討する」ことは欠かせないことであると考えておりますし、これまでもその必要性を、真剣に、まじめに、訴えてきました。是非とも新市長と思いを共有できればと期待して質問しましたが、市政のかじ取りを新たに委ねられた重たい責任を負う市長に、「現時点では具体的な成果物や手法についての考えがない」と回答され、残念に思いました。
今後も粘り強くに期待し、これからも機会があるごとに追及します。