2022年1月15日[カテゴリ:スポーツ推進, 安心・安全, 質問, 防災対策]
先日、市政市議会報告第64号のデータを掲載しました。是非、ご一読いただければ幸いです。
さて、今回のコラムは、中断されている「西宮中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備事業」に関する議論を掲載します。
兵庫県の新型コロナワクチン大規模接種会場としても活用されました
(3回目接種では、兵庫県の大規模接種会場は、以前の市の集団接種会場だった「西北会場」として使用された施設が使用されます。)
この件は、令和3年6月議会(←クリックするとコラム「中断した市立中央体育館の再整備事業の再開を①」が開きます)でも取り上げて議論しました。この事業を直ちに進めるべき根拠を示し、たとえ財政状況が悪化したとしても、これ以上先送りすべきではなく、財政の悪化に対しては市役所内部経費の削減などの財政改革によって財源を生み出すことで、この事業を進めるべきであることを指摘していました。
しかし。。。
令和3年10月末に示されました「今後の市の財政収支見通し」では、税収が令和2年度の市税収入から約2%落ち込むことが予想されたものの、国から地方交付税で補填してもらえることが見込まれ、全体としては財政が大きく悪化することはないとされました。にもかかわらず、市は「やっぱり、中央運動公園の再整備事業は、事業費が高いから先送りします。」と、これまでの議論を全く無視して、課題を先送りする方針を示しました。
市が示した資料はこちらになります。
6月議会での指摘を全く理解して頂けなかったようで、市長や官僚の権限を前に、市会議員としての無力感すら感じました。
それでも再度、令和3年6月議会での一般質問に続いて令和3年12月議会一般質問においても取り上げ、事業を先送りする理由を問いました。
====本会議場での議論の概要====
令和3年12月議会一般質問
1.西宮中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備事業について
■質問の背景(田中まさたけ)
この件につきましては、本年6月議会(←クリックするとコラム「中断した市立中央体育館の再整備事業の再開を①」が開きます)での一般質問の続きとなります。
まず、このたび、来年度から小学校の体育館に空調設備を整備されることが発表されました。市議会で決議までされて求められていたことでもあり、御決断されましたことを高く評価しております。そして、児童生徒の皆さんはもちろんのこと、6月議会で申しましたとおり、今後ますます多くの市民の皆様がスポーツや地域活動を通じてその環境を享受できる体制を整えていただきますように、この場をお借りしてお願い申し上げまして、質問に入りたいと思います。
まず、このたび示されました再整備事業の「見直し検討」の内容についてお尋ね致します。
新型コロナウイルス感染症(以後「コロナ」と呼びます)、この影響による財政の悪化が懸念され、当該事業は中断されました。そして、財政収支見通しが先般10月末にようやく示されましたが、現時点では財政的にはコロナ前の状況から大きな変化はなかったと理解しております。
施設の老朽化対策が財政を圧迫することは元々分かっていたことでありまして、だからこそ、15年にもわたりまして公共資産のアセットマネジメントの重要性をこれまで指摘してまいりました。
にもかかわらず、事業費が高額であることを理由に再整備事業は「見直し検討」との方針が示されました。
当該事業と同様に予算の執行を制限してきた市営江上町住宅や(仮称)越木岩センターの整備事業は、これ以上の事業費の精査は難しいと評価された一方で、この事業につきましては、事業費の精査が可能とされまして、見直し検討の方針が示されました。
(抜粋した資料)
起債の償還(借金の返済)が後世への負担にもなりますから、当然、これまでも慎重に議論し、お手元の資料の表1、2のとおり、約90%という高い稼働率や20倍に近い抽選倍率、そして、現在の各種競技における市民大会の使用実績を踏まえて、現在の基本計画で示された施設の必要性が認められてきました。
市長が就任してからも、プロバスケットチームであります西宮ストークスの本拠地が神戸市に移転されることが発表されまして、これは、まちの活性化の観点からは失策と言わざるを得ませんが、その後、体育館の規模も縮小するなどして、議会において慎重に検討してきたわけです。
当該事業はPFI(←クリックすると用語を説明したコラムが開きます。)事業ですから、民間のノウハウを活用するためにも、今後、市は極力制限を設けずに、安価で質の高い施設整備と維持管理、スポーツ推進や市民の利便性の向上に関する提案を引き出さなければならないと考えております。(この段階で事業費の精査をするべきです。)
今回の方針は今さらという感が否めず、事業費のほかに時間を稼がなければならない理由があるのであれば、それこそオープンにするべきだと考えます。
先の一般質問での御答弁では、中央体育館の存廃を検討することは考えていないとも御答弁されており、近いうちに老朽化対策が避けられない状況というのは変わりありません。そして、建築後60年が経過し、耐震基準は満たしていても、避難所としての役割と南海トラフ地震の発生を勘案するともう既に遅いという可能性もありますが、早急に再整備事業の着手を決断することが政治の責任であると考えております。
■質問1(田中まさたけ)
先般示されました方針では「事業費を精査する」とされておりますが、再整備事業に着手する前提で見直しを検討されるのか、また、精査によって事業費をどの程度まで抑制しなければならないと考えているのかお尋ね致します。また、その(事業費の)抑制額の根拠についても御説明頂きたいと思います。
■質問1に対する市の回答
まず、本事業について、着手する前提で見直しを検討するのか、事業費をどの程度まで抑制しなければならないと考えているのかという御質問にお答え致します。
新型コロナウイルス感染症の影響により、本市の令和3年度の市税収入は前年度より約20億円減と大幅な減収となる見込みです。一方で、国からの地方交付税等については市税減収分に見合う額が交付決定されたため、(財政の)全体では新型コロナウイルス感染症による大きな影響は出ない見込みとなっております。しかしながら、今後の財政状況については、新型コロナウイルス感染症の収束時期がいまだ見通せない中、国の動向や社会情勢の変化など予測できない要素も多く、依然として不透明な状況です。
そのため、事業費が高額である西宮中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備事業については、着手前に改めて事業費の精査をすることとしました。この見直しにつきましては、これまで計画してきた内容を生かした再整備事業として着手する前提で実施致します。
事業費の見直しにあたっては、
====ここまでが本会議場での議論の概要====
「事業費が高額なため、事業費を精査する」という方針を示した市の回答が上記となります。
事業費が高額とは。
西宮中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備事業の事業費は、入札が行われるまで示されていた基本計画(令和元年10月修正)では126億6千万円と見込まれていました。しかし、令和3年10月28日に示された資料では137億5千万円に増額されており、時間が経過するだけで事業費が膨らんでいっていることが分かります。
確かに、西宮市の事業費としては、高額であることには間違いありません。しかし、いくらまで事業費を圧縮すれば事業に着手できると判断するのかも明らかにせずに、どうやって事業費を精査するつもりなのか分かりません。
そして、「基本的な運動面の機能・規模を確保した上で」ということで、「例えば、新体育館の面の広さやサブアリーナ、武道場の広さ等は確保される」ということを明言しましたので、これは、これまで協議された内容が尊重されると受け止めれば評価できます。
そして、「事業費の圧縮も含めて見直せる部分がないか検討」とありますが、「見直せる部分がないか」ということは、「見直せる部分がなかったらそのまま進める」ことになるとも解釈できます。
これで事業を直ちに着手しないという判断は、単に課題を先送りしようとしているだけとも理解できます。昔、民主党政権が批判された「決められない政治」を彷彿とさせる判断と言えます。
さらに議論は続きますが、長くなりますので、次のコラム以降で掲載します。